鳩とブッチーと化け猫
【第21話】
今日は日曜日。
父の趣味は、鳩のレースだ。
ぼろいアパート暮らしだけど、田舎なのか庭が広い。
庭には、鳩小屋が2部屋ある。
1部屋に30羽程の鳩が飼われている。
鳩の足には、白いテープみたいな物が巻かれている。
テープには、数字が刻まれている。
俺「鳩の足に付いてる数字って何?」
父「これは、鳩の名前みたいなもので、その数字を見れば誰だかわかるんだよ」
俺「へー、日曜日の夕方に鳩を空に逃がすのは何で?」
父「逃がしてる訳ではなくて、散歩をさせてるの」
鳩小屋のドアを開けると、鳩は一斉に空へ飛んで行く。
空で集団の塊となり、旋回しながら飛んでいる。
とても気持ちよさそうだ。
俺もいつか空を飛んでみたい。
散歩が終わると鳩は、小屋に戻ってくる。
たまに帰ってこない鳩もいるけれど笑
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父は、動物が好きみたいだ。
シロがいなくなってから、1年。
2匹目の犬が家にやってきた。
白ベースに茶色いブチブチががある。
シロより大きい。
父「ブチブチだらけだな」
俺「ホントだ!ブッチブチだね」
父「じゃあ、名前は、ブッチーにしよう!」
ブチブチの犬は『ブッチー』と命名された笑。
子供だったので、犬種は分らないけど。
スラっとしたカッコいい犬だ!
めちゃくちゃ元気が良くて、散歩の時は引きずられる。
そして、ゴハンを食いっぷりがいい。
ブッチーはシロより、頭がいい。
お手、お代わりはすぐに覚えた。
母に聞いたことがある。
父が動物好きな理由を。
母も父のお母さんから聞いたみたいだ。
父が子供の頃の話である。
悪ガキだった父は、動物虐待をしていたみたいだ。
そんなある日、猫を殺してしまったらしい。
その日の夜、異変が。
突然、痙攣を起こし、泡を吹いた倒れた。
そこから、高熱で数日間寝込むが、一向に良くならない。
そして、とうとう奇声を上げ始めた。
父のお母さんには、それが猫に見えたらしい。
1週間経っても目覚めないどころか、人に見えなくなっていた。
お母さんは、霊媒師を呼んだ。
霊媒師は、猫の祟りだと言い、お祓いが始まった。
父は、悶え苦しんだ。
除霊が終わり、父は正気を取り戻し、そして、目覚めた。
へと続く。