108 Blog

If you can dream it, you can do it.

あの日を境に足を洗った

【第26話】

 

今までは、親に怒れても罪悪感はなかった。

 

色々な事があり、心が壊れていたのだろう。

 

交通事故前の記憶は殆どないが、喧嘩の絶えない夫婦だったみたいだ。

 

 

両親には学がない。

 

勉強を教えてもらった事がない。

 

交通事故で、3か月以上もの間、勉強をしなかったこともあり

 

学校の勉強について行けなく、俺はすっかり落ちぶれていた。

 

 

そして、毎日のように虐めが続き、心も体も壊れていった。

 

本当に生き地獄だった。

 

 

お父さんは、怒ると怖かったが、普段は優しい。

 

二重人格者だ。

 

お母さんは、叱ることはあるけど、とても優しい人だ。

 

 

そんな俺も、4年生になった頃には、虐められなくなっていた。

 

少しずつだけど、心を取り戻していた。

 

だからこそ、お母さんに合わせる顔がなかった。

 

 

家から役場までは、歩いて10分くらい。

 

お母さんを待ってる時間が永遠に感じた。

 

、、、、、、

 

窓越しから、お母さんの悲しい顔が見えた。

 

ドアを開けるなり、頭を下げて、何度も何度も謝っていた。

 

この時は、本当に申し訳ないと思った。

 

 

家に帰り、お母さんの前に座った。

 

お母さんは、大粒の涙を流しながら。

 

「108、一緒に死のうか」

 

俺も涙が止まらなくなった。

 

悲しくて、悲しくて。

 

次から次へと涙が溢れてくる。

 

虐められた時は、どちらかというと悔しくて泣いていた。

 

お父さんに殴られた時は、怖くて痛くて泣いた。

 

こんなにも、感情がこみ上げてくるのは、始めてだった。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 

何度も何度もお母さんに謝った。

 

 

もう、悲しむお母さんを見たくない。

 

俺はこの時、心に誓った。

 

 

この日を境に俺は、人の物を盗むのを止めた。

 

 

 

木刀で殴られる

へと続く。

 

 

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