煙草デビュー
【第29話】
1か月後、ユニフォームが渡された。
4番のユニフォームをもらった俺は、また練習を休みがちになった。
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夏休みの恒例行事は、お爺ちゃん&お祖母ちゃんが住む、青森県に遊びに行く事だ。
青森県までは、父の運転で片道10時間もかかる。
途中のドライブインで、仮眠を取る父。
母は、仮免中だから運転は出来ない。
俺とミナツは、お菓子を食べて、寝てるだけ。
両親共に青森県出身だ。
毎年、お盆の前後、2週間ほど滞在する。
父の家族構成。
曾祖母、お爺ちゃん、お祖母ちゃん、長男、次男、父(三男)、四男だ。
ちなみに次男と父は双子だ。
ホントかウソか判らないけど、先に産まれた方が、弟になるらしい。
父が先に産まれたから弟。
母の家族構成。
お爺ちゃん、お祖母ちゃん、長男、長女、次男、三男、母だ。
母と三男は、一回り年が離れている。
父の実家と母の実家は隣町で、車で30分くらい。
父の実家はぼろい。
かなりぼろい。
何故なら、今時珍しい藁ぶき屋根。
トイレは、ボットン便所。
間取りは、5DKあるから割と広い。
お爺ちゃん、お祖母ちゃん、曾祖母の3人暮らし。
藁ぶきの家から、歩いて20分位の所に四男が住んでいる。
双子の次男は、何処に住んでるか不明。
長男は東京都の江東区に住んでいる。
俺の楽しみは二つある。
東京伯父さんの次男の『タケミチ』と遊ぶ事。
タケミチは、俺と同じ5年生。
コイツもかなりのやんちゃ坊主だ。
タケミチの兄貴『リョウジ君』は、4個上の中学3年生。
リョウジ君は、中3で体重が100kgあるデブだ。
見た目は置いといて、俺には優しい。
そして、歌が上手い!
バンドのボーカルをしてるみたいだ。
会う度に録音したカセットテープをもらった。
『BOOWY』とか『吉川晃司』とか『KUWATA BAND』とか。。。
そして、二つ目はお年玉。
親戚一同が集まる夏休みは、お年玉パラダイスである!
5年生になった俺は、一律5千円もらえる。
総額は6万円くらい。
中学生のリョウジ君は、1万円もらってる。
中学生になるのが楽しみだ。
お年玉の殆どが、帰り際に母に没収されるのが残念だけど。
母曰く、俺の将来の為に貯金をするみたいだ。
本当なのか!?
まぁ、いい、没収される前に使い切ってやる。
17時になると食事&宴会が始まる。
食卓には、海鮮料理がメインで並ぶ。
俺は、明太子と津軽漬けしか食べない。
他は見た目がキモい。
晩ご飯を食べ終わった俺とタケミチは、プロレスやトランプをして遊ぶ。
しかし、だんだんと飽きてくる。
妹のミナツは、次男の長女『ミオ』次女『アイコ』と女子会をしている。
ミオは1個上の5年生、アイコはミナツと同級生。
ミオとアイコの両親は別居中みたいだ。
ミトとアイコは、母とアパート暮らし。
父(シン伯父さん)は、噂だとヤ〇ザらしい。
Tシャツから刺青が見えている。
小2の時。
お父さんが、クイズを出した。
父「108、どっちがパパかわかるか?」
俺は迷いに迷って、父だと思う方へ歩み寄った。
結果は、シン伯父さんだった笑。
2人は一卵性双生児だ。
小2には見分けがつかない。
中3のリョウジ君は、俺達と遊ばない。
晩ご飯を食べると、高校生の家に遊びに行っている。
金太郎(お爺ちゃん)家の裏に高校生が住んでいる。
歩いて3分くらい。
俺もタケミチも行きたいけど、連れて行ってくれない。
俺達は、リョウジ君を見張ることに事にした。
リョウジ君が外に出たら、追いかけるぞとタケミチと話し合っていた。
しかし、その日はリョウジ君が寝ちゃったので、2人だけで高校生に会いに行くことにした。
タケミチは昨年に遊びに行った事があるみたいだ。
俺らは、こっそり家を抜け出した。
歩くこと3分、高校生の家に着いた。
「ピンポーン!」
タケミチが呼び鈴を押すとおばさんが出てきた。
おばさん「あれ、タケミチ君、久しぶりだね。大きくなって!」
タケミチ「コイツは、いとこの108」
俺「はじめまして。こんにちは!」
おばさん「ショウだったら部屋にいるから、さあ上がって」
高校生の部屋に入るのは、初めてだ。
ショウ君ってどんな人だろう?
部屋に入るとショウ君は、煙草を吸ってた。
煙いぞ、この部屋。
ショウ「おう、タケミチ!元気にしてたか?」
タケミチ「ショウ君、元気だけど、煙草臭いよ」
ショウ「お前等、煙草吸ったことないの?」
タケミチ「ないよ」
実は4年生の時に一度だけ、吸ったことがある。
俺「ありません!」
部屋を見渡すと、エロい水着のポスター貼ってある。
その隣には、ダーツがある。
ラジカセからは洋楽が流れている♪
やっぱり、高校生はカッコいいな!
俺達は、一緒にゲームしたり。
ショウ君の初体験の話を聞いたりして、盛り上がった!
ショウ君の話を聞いてる内に、俺も早く大人になりたいと思った。
俺「ショウ君、煙草もらっていいい?」
ショウ君「いいよ。ゆっくり吸うんだぞ!」
咳き込みながらも、はじめて1本を吸い切った。
4年生の時は、一口吸って、眩暈がして止めた。
そして、タケミチも煙草デビューした!
へと続く。