108 Blog

If you can dream it, you can do it.

大木に逆さ吊りの刑

【第32話】

 

タケミチは、俺から見ても悪ガキだ。

 

金太郎の家の裏には、空き家がある。

 

2週間滞在してるけど、人影がない。

 

俺達は、その空き家に忍び込んだ。

 

玄関も窓も全て閉まっている。

 

レースカーテン越しから、家の中が見える。

 

家の中の家具は置いてあるし、掃除も行き届いている感じ!?

 

俺「本当に空き家なの!?」

 

「ガシャーン!!」

 

えっ!?

 

窓ガラスが割れている。

 

タケミチが石を投げて割ったみたいだ。

 

タケミチは、鍵のロックを外して、家の中に入る。

 

俺もタケミチの後を続く。

 

家の中は、生活感があるような、ないような。

 

ソファーの後ろには、高そうなガラス棚がある。

 

中にはアンティーク調のグラスやお皿が綺麗に並べられている。

 

家具はどれも高級感がある。

 

俺「これって、留守なだけじゃない!?」

 

タケミチ「今は誰も居ないし、関係ねぇよ!」

 

タケミチは突然、家具を力ずくで倒した。

 

そして、家の物を破壊し始めた。

 

タケミチ「おい、108もやろうぜ。気持ちいぞ!」

 

以前、マサオ君と教習車をボコボコにして、親父にボコボコにされたからなぁ。

 

でも、ストレス発散になりそうだし、やっちゃえー!

 

「ガシャーン、ガシャーン」

 

「ボコボコ・・・」

 

ものの数分で、リビングは崩壊した。

 

、、、、、、

 

俺達が、リビングから外に出ると、近所の人達が道路に集まっていみたいだ。

 

俺「ヤバい。バレたか!?」

 

タケミチ「逃げるぞ!」

 

俺達は家の裏側に周り、塀を乗り越えて逃げた。

 

途中、自販機で『鉄骨飲料』を飲んだ。

 

タケミチは、小5なのに『トマトジュース』を飲んでいた。

 

俺「今何時?」

 

タケミチ「11時半。そろそろ、昼だし帰るか」

 

俺は、嫌な予感がした。

 

俺の嫌な予感は当たる。

 

でも、午後から母の実家に行く予定だったので、戻る事にした。

 

金太郎の家に帰ると、庭にタケミチ父(伯父さん)が居た。

 

明らかに怒っている。

 

伯父「タケミチ、こっちに来い!」

 

滅茶苦茶キレてる感がヒシヒシと伝わってくる。

 

声が大きかったので、俺の父母達も家から出てきた。

 

母「108、こっちに来なさい!」

 

父「・・・・・・」

 

沈黙が怖い。

 

「いてぇー!!」

 

振り返ると、タケミチが伯父さんにボコボコに殴られている。

 

鼻血が出て、目が腫れあがってる。

 

それを見た、俺父が止めに入る。

 

伯父さんはタケミチを殴るのを止めた。

 

そして、タケミチ母が仲裁に入る。

 

ランチどころじゃない。

 

俺は、車に乗せられて母の実家に。

 

道中、親父に怒られたが、殴られる事はなかった。

 

殴られてる甥を見て、冷静になったのか。

 

母の実家に行くので、殴れなかったのかは不明だが、ボコられなくて良かった。

 

 

後日のタケミチ談。

 

あの後、タケミチは大木に吊るされた。

 

ロープで足を結ばれて、逆さ吊り2時間の刑だったみたいだ。

 

帰ってきた金太郎に助けてもらったと、タケミチが笑いながら話してた。

 

タケミチ「俺は、2時間の逆さ吊りで、助かったけど」

 

「何年か前に兄貴は、裸で逆さ吊りされて、木刀で叩かれてたよ!」

 

「あれに比べたら、ラッキーだよ!」

 

って、おい!それって俺の親父より厳しくねぇ!

 

金太郎の息子達は、どんな育て方をされたのだろう、、、

 

 

 

夏の淡い思い出

へと続く。

 

 

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