リレーのアンカー
【第37話】
5年生は3クラスある。
どのクラスにもボスが存在する。
1組のボスは、ナカタ。
親父さんが、建設会社の社長で、3階建ての豪邸に住んでいる。
サッカー部5年生のキャプテンだ。
ナカタは、学年一の長身で165㎝くらいあり、運動神経も学年で一番。
4年生の時にナカタが6年生の二人組と喧嘩してるのを見た事がある。
あっと言う間に決着がついた。
ナカタの圧勝だった。
2組のボスは、オカベ。
サッカー部5年生の副キャプテンだ。
6年生やナカタより、サッカーが上手い。
クラスの全員をまとめてる様だ。
取り巻きには、ハスダやセキヤマがいる。
親父さんは板金屋。
お爺さんが地主らしく、権力者みたいだ。
3組は2つのチームに分かれている。
一つ目は、108軍団で、俺を含めて9人だ。
同じクラスには、オジサン、リーマン、トモオ、俺の4人。
他の5人は、1組と2組。
そして、チームヒデキ。
ヒデキは、リーダーシップがあり、クラスの五分の三を率いている。
同じクラスになって半年、俺とヒデキは揉めてない。
お互いがけん制していたからだ!
そして、どこに属さないが五分の一程度。
一匹狼のヤスノリだけが、3組で孤立していた。
、、、、、、
俺は、皆から嫌われていたと思う。
特に女子からは、、、
運動神経抜群、頭が良い、面白い、金持ち、イケメン、優しい。
この6つがモテる要素だと思う。
持論だけど、3つ以上ある奴はモテる。
6つ全て持ってると無双だ!!
俺の唯一の取柄は、運動神経だ。
1つしかない。
しかも、嫌わる要素が最低でも2つある。
頭は悪い事と喧嘩ばかりしてる事。
こんな奴が、女子から好かれる筈がない。
クラスの女子達から、嫌われている事も知っていた。
、、、、、、
そんな俺でも下級生の女子には、少しだけモテていたと思う。
きっかけは、運動会。
5年生になるとクラス対抗のリレーに参加できる。
そして、クラスから4人が代表に選ばれる。
ヒデキ、マツシタ、カズヒコ、俺が選ばれた。
俺以外、サッカー部のレギュラー組だ。
その中でも、一番の俊足だった俺が、リレーのアンカーに選ばれた。
、、、、、、
そろそろ、リレーがはじまる。
ドキドキしている。
久しぶりの緊張感。
1組のアンカーは、ナカタ。
2組のアンカーは、オカベ。
、、、、、、
「位置について、よーいドン!」
あっと言う間にスタートした。
1番手のカヅヒコが2位で、マツシタへバトンタッチ。
出だしは、まぁまぁだ。
2番手のマツシタが先頭の1組を抜いた瞬間、2人は接触し転倒。
そのスキに2組が先頭へ。
転倒した2人はすぐに立ち上がり、走り出す。
これゃー、優勝は無くなったな。
、、、、、、
マツシタは、僅差の3位でヒデキにバトンを渡した。
2位との差は、約1m。
1位との差は、約15m。
ヒデキが速い!
1組を抜いたヒデキが2位で、俺にバトンタッチ。
「キャーキャー。キャーキャー」
1位のオカベまでは、約10m。
この差は、厳しいだろうと諦めた瞬間。
「108先輩、ガンバってー!!」
女子の声が聴こえてくる。
空耳か!?
「キャーキャー!キャーキャー!」
全校生徒の声援が凄い!
これは、期待されているのか!?
一気に加速した俺は、オカベとの差を縮めるが、5mはある。
最終コーナーを回ったら、数十メートルでゴールだ。
「キャーキャー!!キャーキャー!!」
黄色い声援が凄い!
オカベが最終コーナーを回りながら、後ろを振り返る。
その瞬間、オカベのバランスが崩れた。
チャンスだ!
俺は、全力でコーナーを回った。
失速したオカベの背中は目の前だ。
ゴールまであと5mほど、その差1m!?
「キャーキャー!!!キャーキャー!!!」
そして、2人はほぼ同時にゴールテープを切った!
ざわざわ・・・
先生たちが話している。
、、、、、、
「優勝は、、、3組!!」
「おぉぉぉーーー!!!」
俺は興奮していた。
へと続く。