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If you can dream it, you can do it.

彫刻刀と空を舞う椅子

【第40話】

 

俺は、やる気がない。

 

担任が岡村だからだ。

 

やる気がない俺は、授業中に寝ていた。

 

ZZZ。。。

 

「ガシャーン!」

 

大きな音がして、俺は起きた!

 

「キャーッ!」

 

女子の悲鳴も聞こえて来る。

 

「おぉぉぉー!」

 

俺は、寝ぼけながら、音の鳴る方に目をやる。

 

「ガシャン!」

 

ヤスノリが机や椅子を投げている。

 

「コ、コ、コノヤロー!」

 

椅子が空を舞っている。

 

キャーキャー言いながら、廊下まで逃げる女子もいる。

 

壁側に追い詰められた奴らは、ブルってる。

 

そして、ヤスノリが椅子攻撃は、止まらない。

 

「キャー!キャー!」

 

女子達はブルブル震え蹲ってる。

 

岡村がヤスノリを説得しているようだ。

 

様々な音にかき消されて、何を言っているか、俺には聴こえない。

 

岡村の横で、ヒデキも何かをヤスノリに言っている。

 

ヤスノリは、ヒデキ達に椅子を投げつけた。

 

椅子がヒデキの頬をかすめた。

 

「ガシャーン!パリーン!」

 

窓ガラスが割れた。

 

そして、ヤスノリはポケットから彫刻刀を出す!

 

女子達の悲鳴が奇声に変わる。

 

「ギャーッ!!」

 

横から見てる俺には、地獄絵図に見える。

 

ヤスノリ「お前だけは、許さない!」

 

何にキレているか、俺には解らない。

 

その方向に岡村とヒデキが居る事から察すると。

 

きっかけは、2人のどちらかだと思う。

 

ヤスノリは、岡村の方じゃなく、ヒデキの方向へ歩いて行く。

 

右手には、彫刻刀が握られている!

 

ヒデキは、その場から俺がいる方向に逃げて来る。

 

ヤスノリは、逃げるヒデキに方向を変える。

 

そして、ヒデキを追う。

 

ヒデキは、猛ダッシュで、教室から廊下に逃げる!

 

ヤスノリは、ヒデキを追い、俺の方に迫って来る!

 

あれれ!?

 

コイツ、もしかして、俺の事を刺さないよな!?と思った瞬間。

 

俺はヤスノリを殴っていた!

 

不意打ちを食らったヤスノリは、その場に倒れた。

 

俺の正拳が鼻頭にヒットし、鼻血を出している。

 

その時のヤスノリの目は飛んでいた!

 

ほぼ、白目のヤスノリが立ち上がる。

 

これは、来るなと思った俺は身構える。

 

立ち上がったヤスノリは、奇声をあげながら俺に襲い掛かる。

 

ヤスノリの右手には、彫刻刀。

 

この時、俺には、ヤスノリの動きがスローモーションに映っていた。

 

彫刻刀を振りかぶる時、ヤスノリの右側が隙だらけだ。

 

俺は、ヤスノリの彫刻刀を搔い潜り、もう一度殴り倒す。

 

ヤスノリは、2度目のダウン。

 

そして、ヤスノリの手を蹴り上げた。

 

彫刻刀が手から落ちた。

 

そこに騒ぎを聞きつけた先生達が、ヤスノリを取り押さえる。

 

岡村は、何も出来ず。

 

茫然と立ち尽くしていた。

 

情けない先生だ。

 

 

 

地獄の特訓

へと続く。

 

 

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