トモオ君の過去
【第43話】
母「108、落ち着いて聞いて」
俺「嫌な事だよね。どーしたの?」
母「トモオ君が車に撥ねられて。救急車で運ばれたって」
そー言えば、昼休憩の時、救急車のサイレンが聞こえてたな。
俺「それで、トモオ君は、大丈夫なの?」
母「詳しくは、分からないけど、マナブ君のお母さんの話だと、意識はなかったみたいだよ。助かれば良いけど、、、」
母の表情や話し方で、トモオ君が重症なのが伝わって来た。
俺も、交通事故で、生死を彷徨った経験がある。
トモオ君は、俺が初めて気の合った友達だ!
何とか、助かってもらいたい。
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次の日、岡村先生から、トモオ君の事を聞かされた。
岡村「昨日、トモオ君が交通事故にあって、隣町の病院に入院している」
俺「トモオ君は、大丈夫ですか?」
岡村「ハッキリした事は判らない。今日の放課後、病院に行ってくる」
俺「先生、俺もついて行って良いですか?」
・・・・・・
岡村「病院の都合もあるし、また今度、お見舞いに行こう」
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俺「そうですか、わかりました」
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その日の部活は、休んでしまった。
家に帰り、部屋でトモオ君の事を考えていた。
トモオ君の家に遊びに行った時。
トモオ君が話してくれた。
トモオ「108君だから言うけど、誰にも言わないって約束してくれる?」
俺「誰にも言わない!俺、口堅いから!」
トモオ君は、静岡県から、この町に引っ越して来た理由を話し始めた。
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親父さんは、自営業で、そこそこのお金持ちだった。
大きな家に住んでいて、月に何度も外食をしていた。
冬になれば、北海道でスキー。
夏休みは、毎年ハワイ旅行をしていた。
でも、そんな贅沢な暮らしは、小3までだった。
4年生になると生活が一変し、外食は無くなり、旅行も行かなくなった。
それでも、トモオ君には目標があったので、あまり気にしてなかった。
トモオ君は、3歳から地元のクラブチームに所属していた。
両親も協力的で、母親は毎日の送り迎え。
親父さんも、仕事が休みの日は、応援しにグランドまで来てくれた。
トモオ君は、サッカーの才能があり、3年生から、4年生の試合にも出ていた。
両親やコーチからも、期待されていた。
トモオ君の目標は、静岡選抜だった!
6年生中心の選抜に、4年生で選ばれるは、難しいけど。
5年生になれば、選ばれる自信があった。
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5年生になると、母親の手料理がお惣菜になった。
今までは、スパイクがキツくなったら、新しいスパイクを買ってくれた。
しかし、スパイクも買ってくれなくなった。
トモオ君は、薄々気付いていた。
それは、夫婦喧嘩が増えたからだ。
喧嘩の内容は、お金の事が多かった。
そして、両親は離婚した。
トモオ君は、お父さんと一緒に暮らす事を選んだ。
本当は、母親と暮らしかったけど。
1人になったら、親父さんが自殺すると思ったから。
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こっちでも、サッカーはしたかったけど。
お父さんに迷惑が掛かると思って。
クラブチームは、諦めたらしい。
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俺は、黙ってトモオ君の話を聞いた。
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俺「そんな事が、あったんだ、、、」
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トモオ「だからこそ、一緒にサッカーをしよう!って108君が誘ってくれたのが、とても嬉しかった!!」
俺は、泣きそうになったが、グッと涙を堪えた。
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俺「じゃあ、昼休みや放課後に一緒にサッカーを楽しもうぜ!!」
トモオ君は、笑顔で頷いた。
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6年生になってから、トモオ君と放課後、遊んでない。
俺が、急に部活動にハマったからだ。
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日曜日になったら、母親とトモオ君のお見舞いに行こう。
そして、こう伝えよう。
「元気になったら、また一緒にサッカーしよう!!」
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翌日の朝礼。
岡田先生が教室に入って来た。
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へと続く。