108 Blog

If you can dream it, you can do it.

トモオ君の過去

【第43話】

 

母「108、落ち着いて聞いて」

 

俺「嫌な事だよね。どーしたの?」

 

母「トモオ君が車に撥ねられて。救急車で運ばれたって」

 

そー言えば、昼休憩の時、救急車のサイレンが聞こえてたな。

 

俺「それで、トモオ君は、大丈夫なの?」

 

母「詳しくは、分からないけど、マナブ君のお母さんの話だと、意識はなかったみたいだよ。助かれば良いけど、、、」

 

母の表情や話し方で、トモオ君が重症なのが伝わって来た。

 

俺も、交通事故で、生死を彷徨った経験がある。

 

トモオ君は、俺が初めて気の合った友達だ!

 

何とか、助かってもらいたい。

 

、、、、、、

 

 

次の日、岡村先生から、トモオ君の事を聞かされた。

 

岡村「昨日、トモオ君が交通事故にあって、隣町の病院に入院している」

 

俺「トモオ君は、大丈夫ですか?」

 

岡村「ハッキリした事は判らない。今日の放課後、病院に行ってくる」

 

俺「先生、俺もついて行って良いですか?」

 

・・・・・・

 

岡村「病院の都合もあるし、また今度、お見舞いに行こう」

 

・・・・・・

 

俺「そうですか、わかりました」

 

、、、、、、

 

 

その日の部活は、休んでしまった。

 

家に帰り、部屋でトモオ君の事を考えていた。

 

トモオ君の家に遊びに行った時。

 

トモオ君が話してくれた。

 

トモオ「108君だから言うけど、誰にも言わないって約束してくれる?」

 

俺「誰にも言わない!俺、口堅いから!」

 

トモオ君は、静岡県から、この町に引っ越して来た理由を話し始めた。

 

、、、、、、

 

 

親父さんは、自営業で、そこそこのお金持ちだった。

 

大きな家に住んでいて、月に何度も外食をしていた。

 

冬になれば、北海道でスキー。

 

夏休みは、毎年ハワイ旅行をしていた。

 

でも、そんな贅沢な暮らしは、小3までだった。

 

4年生になると生活が一変し、外食は無くなり、旅行も行かなくなった。

 

それでも、トモオ君には目標があったので、あまり気にしてなかった。

 

トモオ君は、3歳から地元のクラブチームに所属していた。

 

両親も協力的で、母親は毎日の送り迎え。

 

親父さんも、仕事が休みの日は、応援しにグランドまで来てくれた。

 

トモオ君は、サッカーの才能があり、3年生から、4年生の試合にも出ていた。

 

両親やコーチからも、期待されていた。

 

トモオ君の目標は、静岡選抜だった!

 

6年生中心の選抜に、4年生で選ばれるは、難しいけど。

 

5年生になれば、選ばれる自信があった。

 

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5年生になると、母親の手料理がお惣菜になった。

 

今までは、スパイクがキツくなったら、新しいスパイクを買ってくれた。

 

しかし、スパイクも買ってくれなくなった。

 

トモオ君は、薄々気付いていた。

 

それは、夫婦喧嘩が増えたからだ。

 

喧嘩の内容は、お金の事が多かった。

 

そして、両親は離婚した。

 

トモオ君は、お父さんと一緒に暮らす事を選んだ。

 

本当は、母親と暮らしかったけど。

 

1人になったら、親父さんが自殺すると思ったから。

 

・・・・・・

 

こっちでも、サッカーはしたかったけど。

 

お父さんに迷惑が掛かると思って。

 

クラブチームは、諦めたらしい。

 

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俺は、黙ってトモオ君の話を聞いた。

 

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俺「そんな事が、あったんだ、、、」

 

・・・・・・

 

トモオ「だからこそ、一緒にサッカーをしよう!って108君が誘ってくれたのが、とても嬉しかった!!」

 

俺は、泣きそうになったが、グッと涙を堪えた。

 

・・・・・・

 

俺「じゃあ、昼休みや放課後に一緒にサッカーを楽しもうぜ!!」

 

トモオ君は、笑顔で頷いた。

 

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6年生になってから、トモオ君と放課後、遊んでない。

 

俺が、急に部活動にハマったからだ。

 

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日曜日になったら、母親とトモオ君のお見舞いに行こう。

 

そして、こう伝えよう。

 

「元気になったら、また一緒にサッカーしよう!!」

 

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翌日の朝礼。

 

岡田先生が教室に入って来た。

 

・・・・・・

 

 

 

泣きながら微笑んだ

へと続く。

 

 

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