お前の心は腐ってる
【第46話】
今日も雨が降っている。
梅雨の季節は、蛙が五月蠅いから嫌いだ。
オジサン「108君、夏休みに招待試合があるみたいだけど、参加する?」
オジサンは、6年生になってから、真面目に部活に参加していた。
俺「どこと試合するの?」
オジサン「東京都のクラブチームの大会なんだけど、松山先生のコネで参加できるみたいだよ!」
すっかり、部活の事を忘れていたけど。
最近は、少しずつ気力も出て来た。
、、、、、、
俺「参加するかは判らない。取り敢えず、今日から部活に出るよ!」
部活を真面目にやると決め、母に買ってもらった『プーマのスパイク』を履いて2か月ぶりのグランドへ。
相変わらず、皆がジロジロと俺の事を見る。
、、、、、、
久々の練習は疲れたが、トモオ君の事を忘れられた。
練習を終えて、松山先生の前に整列する。
松本先生に合わす顔がない俺は、下を向いていた。
「108」
ンンン?
「○○108」
俺は顔を上げて、松山先生を見る。
松山先生の目が怖い。
ピンポイントで俺の名前を呼んでいる。
「108、前に出て来い!」
ざわざわ・・・
皆が俺の事を見ている。
生徒数は、80人以上もいる。
松山先生が名指しで、誰かを前に呼ぶ事は、今までにない。
俺は、恐る恐る、松山先生の所に歩いて行く。
皆の視線が刺さるようだ。
、、、、、、
俺は、歩きながら、何を言われるのかを考えた。
練習をサボってばっかりいるからか?
でも、そんな事で、全生徒の前に呼ばれるか!?
個別に言えば、いい事だ。
練習に出ないで、辞めてないのは、俺だけ。
辞めてない奴は、みんな真面目に練習に出ている。
そもそも、練習について行けない奴は、みんな辞めている。
人の山をかき分けて、歩いているので、中々たどり着けない。
色々な事を考えながら、松山先生の前に立った。
、、、、、、
松山先生「お前の心は腐ってる!!」
えっ、先生は、何を言っているの!?
周りがざわめく。
俺の頭は、一瞬真っ白になった。
こんな事を言われたのは、生れてはじめてだった。
心がついて行かない。
松山先生は、続ける。
「俺は、お前に期待していた!お前のサッカーセンスは、ずば抜けている。4年生の時から真面目に練習を続けていたら、お前は、キャプテンになっていたと思う」
俺は、今までに無い感情になった。
心に風穴を開けられた!?
稲妻が脳天から心臓に落とされた!?
言葉に表すのが難しいが、そんな感覚になっていたと思う。
、、、、、、
へと続く。