108 Blog

If you can dream it, you can do it.

孤独な男

【53話】

 

俺は、病院にいた。

 

タックルをもろに受けた俺の膝は脱臼した。

 

早やくても全治2カ月。

 

再脱臼を防ぐためには、3カ月は必要だと言われた。

 

・・・

 

そして、俺のサッカー人生は幕を閉じた。

 

・・・

 

地区予選の結果は、3位だった。

 

勝戦は、1対2。

 

3位決定戦は、3対1。

 

俺は、決勝戦も3位決定戦も見ていた。

 

勝戦で負けた選手は、泣いていた。

 

俺とサブキーバーのマナブだけ、泣いてないと、後から非難を受けた。

 

サブの中で、マナブだけ一度も試合に出れなかった。

 

泣けるわけがないと、俺は思った。

 

チームが負けたことは、しょせん人ごと。

 

やる気があっても、ドクターストップでは、どうにもならない。

 

・・・

 

 

「明けましておめでとう!今年もよろしくお願いします!」

 

病院は休みなので、家でダラダラしている。

 

はじめての寝正月。

 

暇すぎて、いろいろな事を考えてしまう。

 

基本的には、プラス思考な俺でも、今回ばかりは、悪い事しか浮かばない。

 

トモオ君のこと、ユウコちゃんのこと、108軍団のこと、サッカーのこと。

 

俺は、全てを失った。

 

けがの後、昼休みのサッカーも出来ないし、放課後はリハビリ。

 

誰かと遊ぶ気力も失い、引きこもり気味。

 

そこからの冬休み。

 

108軍団も、ほぼ解散状態だ。

 

・・・

 

 

『6年生・3学期』

 

オジサン「108君、関東大会3位だったよ!」

 

県大会で3位だった当校は、冬休みの間、関東大会に出場したみたいだ。

 

まぁ、俺には関係ないけど、立派な成績だ。

 

 

・・・

 

3学期になってから、108軍団が集まることは、なかった。

 

同じクラスのオジサンとリーマンと、たまに話すくらい。

 

休み時間は、一人で漫画を読んでいた。

 

・・・

 

 

岡村「今日の一限目は、自習にする」

 

俺は、一人で漫画を読んでいた。

 

・・・

 

ヒデキ「俺が呼ばれたやつは、ベランダに来いよ!」

 

!?

 

ヒデキは、男子の名前を一人ずつ呼ぶ。

 

呼ばれた男子は、ベランダに行く。

 

寒い中、ヒデキは、何をやってるんだ??

 

俺は、おまえに呼ばれても行かないけどな。

 

・・・

 

気付いたら、俺、オジサン、リーマン、ヤスノリの4人が残されていた。

 

女子は、誰も呼ばれてない。

 

ヒデキのやる事は、昔から分からない。

 

・・・

 

ヒデキ「リーマン」

 

俺の顔をチラッと見たリーマンは、ベランダに行った。

 

これって、もしかして。

 

・・・

 

「オジサン」

 

オジサンは、俺を見ないで、ベランダに行く。

 

残るは、俺とヤスノリ。

 

女子達は、ざわついてる。

 

ベランダの男子たちも、クエスチョン状態。

 

そこから、30分もの間、俺とヤスノリだけが、女子と教室に残されていた。

 

・・・

 

チャイムまで残り5分で、ベランダのドアが開いた。

 

ヒデキ「ヤスノリ君」

 

残り5分まで、引っ張って、俺を一人にさせたヒデキ。

 

いつか、仕返ししてやると一瞬だけ思ったが。

 

別にどーでもいいとも思ってしました。

 

 

 

50人に囲まれてリンチ

へと続く。

 

 

1話からみる