108 Blog

If you can dream it, you can do it.

50人に囲まれてリンチ

【54話】

 

孤独だった。

 

学校に俺の居場所は、なかった。

 

オジサンやリーマンも今や、チームヒデキだ。

 

俺って、こんなに嫌われていたっけ!?

 

考えてもしょうがないので、俺は考えるを止めた。

 

・・・

 

最近は、映画にはまっている。

 

きっかけは、再放送で見た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だ!

 

今までは、シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガー、ジャッキーチェン、サモハンキンポー主演の映画が好きだった。

 

まぁ、いわゆる、アクション映画。

 

・・・

 

ここに来て、衝撃の1本に出会った!

 

俺は、アクション映画だけではなく、SF映画にはまっていった。

 

水金土日のロードショーは、欠かさず録画した。

 

日曜日になると、レンタルビデオ店で、見た事のない映画を借りた。

 

俺の部屋は、いつの間にか映画のポスターだらけになった。

 

・・・

 

 

両親は、ここ最近、カラオケにハマってる。

 

週末の夜は、もっぱらカラオケスナックに通っている。

 

趣味が高じて、カラオケ機器まで購入し、自宅で歌っている。

 

俺も、二人の影響で、カラオケを始めた。

 

気が付けば、演歌や歌謡曲を歌えるようになっていた笑。

 

・・・

 

 

最近は、家に居ることが多くなった。

 

以前と比べて、居心地も良い。

 

膝の調子も良くなってきたので、筋トレを始めることにした。

 

ホームジム・マルチマシンをお年玉貯金で購入。

 

59,800円の本気のマシーンで、毎日トレーニング。

 

リストウェイト、アンクルウェイトを装着し、サウナスーツを着てブッチーの散歩をするのが日課

 

俺は、何を目指しているのだろう。

 

・・・

 

 

卒業式まで、残り1カ月。

 

谷あり、谷あり、谷ありの6年間だったけど。

 

中学生活は、楽しみたい。

 

・・・

 

 

昼休み。

 

タクヤ「108君、久しぶり」

 

ヨシダ「膝の調子はどう?」

 

こいつらと話すのも久しぶりだ。

 

「俺に何か用?」

 

タクヤ「相談したいことがあるんだけど、今日の放課後空いてる?」

 

俺「相談って何?」

 

ヨシダ「ちょっと、ここでは言いにくい事なんだ」

 

まぁ、暇だし、いいか。

 

「わかった。どこで話す?」

 

タクヤ「108君の教室まで行くから、授業が終わったら待ってて」

 

「おう、わかった!」

 

・・・

 

授業が終わり、待つこと10分、なかなか来ない。

 

しびれを切らせ、教室を出たところに、二人が現れた。

 

ヨシダ「108君、遅くなってゴメンね!」

 

タクヤ「・・・」

 

「まぁ、いいけど、どこで話す?」

 

タクヤ「公園で話そう」

 

・・・

 

公園に向かう道中、さえない表情の二人。

 

なんだろ?誰かに虐められてるのかな。

 

・・・

 

公園のベンチが見えてきた。

 

あの禁断のベンチには、座りたくない。

 

タクヤ「あっ、ちょっと待ってて!忘れ物を取ってくる」

 

タクヤは、公園から走って出て行った。

 

!?

 

俺「ヨシダ、話って何?」

 

ヨシダ「・・・」

 

俺「1組の連中に虐められてるのか?」

 

・・・

 

ヨシダ「108君、本当にごめんなさい!」

 

ドタドタ・・・

 

大勢で歩く足音が響く。

 

音の鳴る方に目をやると、ぞろぞろと公園の中に入って来る。

 

見た事のあるやつらだ。

 

先頭には、1組のナカタ、2組のオカベ、3組のヒデキ。

 

その後ろには、ハスダ、セキヤマ、タクヤがいる。

 

その後ろにも、その後ろにも、大勢の同級生が公園に入って来た。

 

ざっと見渡す限り、50人以上はいる。

 

もしかしたら、野郎全員か!?

 

後方には、オジサン、リーマン、マナブ、シンジ、ノリオもいる。

 

・・・

 

この頃の俺は、精神が崩壊していたと思う。

 

50人以上の野郎を見ても、恐怖心がない。

 

108軍団を見ても、心が傷つかない。

 

・・・

 

こいつら、俺を寄ってたかってリンチするのか?

 

それとも、各クラスのボスとのタイマンか?

 

いずれにしても、病み上がりの俺には、対抗できない。

 

・・・

 

2列目から、セキヤマがお決まりのヤンキースタイルで歩いて来る。

 

他の連中は、動いていない。

 

セキヤマの細い鋭角な眉毛と鬼ゾリは、いつ見ても迫力がある!

 

セキヤマ「おう!108。おまえ生意気なんだよ!やっちまうぞ!!」

 

顔の距離が近いし、煙草臭い。

 

その距離、約15cm。

 

・・・

 

このシーンもビーバップで見たことあるなぁ。

 

見た目は、ちょっと怖いけど、滑稽だ。

 

・・・

 

俺は、セキヤマの両肩を掴み、みぞおちに膝を入れていた。

 

セキヤマは、悶えながら腰を落とす。

 

透かさず、〇的に蹴りこむ。

 

セキヤマは、倒れのたうち回る。

 

これで、当分は、何も出来ないだろう。

 

・・・

 

 

「俺に何か用?」

 

誰かも返事がない。

 

・・・

 

 

俺「用がなければ、帰るから」

 

おぉ、この流れだと、この場から逃げられるかも。

 

俺は、公園の入り口に向かい歩いて行く。

 

しかし、入り口付近は、大勢いの野郎が道をふさいでる。

 

道を開けてくれないかな。

 

・・・

 

 

完全に囲まれた。

 

逃げ道がないって、こういうこと。

 

これは、リンチだな、痛そう。

 

・・・

 

遠くの方から、大人の声が聞こえてきた。

 

「おい!おまえら何をやっているんだ!!」

 

!?

 

次の瞬間、蜘蛛の子を散らすように、同級生たちは逃げて行った。

 

あっと言う間に広いいつもの公園に戻っていた。

 

ふと、振り返るとセキヤマだけ、逃げ遅れていた。

 

セキヤマは、俺を睨んでいる。

 

セキヤマ「108、覚えとけよ!」

 

定番の捨て台詞を吐いて、苦しそうに公園を出て行った。

 

・・・

 

疲れた俺は、ベンチに座る。

 

すると、一人の女子が、俺のもとに駆け寄ってきた。

 

「108君、大丈夫?」

 

・・・

 

 

 

松山先生からの手紙

へと続く。

 

 

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