108 Blog

If you can dream it, you can do it.

100万円を渡した

【70話】

 

シン伯父さんと、おやじは双子。

 

一卵性双生児ということもあって、遠目から見たら、区別がつかないほど似ている。

 

・・・

 

彼女がいるってことは、離婚したってこと?

 

ミオとアイコは、まだ伯母さんと、あのアパートで暮らしているのだろうか?

 

聞きたいことはあるが、聞いちゃいけない気がする。

 

・・・

 

ユキ「108くん、ミナツちゃん。これからよろしくお願いします!」

 

「よろしくお願いします!!」

 

「お父さんたちは、大事な話をするみたいだから、こっちで遊ぼっか」

 

伯父さんと両親は、リビングで何かを話し始めた。

 

・・・

 

遊ぶって!?和室には遊具が何もないし、綺麗なお姉さんと遊ぶのは、気まずい。

 

ミナツ「ユキさんは、かわいいし、お洒落だね!」

 

ミナツの性格は、明るくて、とてもお喋りだ。

 

ここは、女子同志、二人で盛り上がってくれると助かる。

 

ユキ「私、洋服のデザインの仕事をしてたし、お洒落が好きなんだ!」

 

女子会が始まったので、俺は漫画を読むふりをして、聞き耳を立ててた。

 

・・・

 

何でも、伯父さんとユキさんは、カラオケスナックで出会ったみたいだ。

 

仕事はファッションデザイナーで、趣味はカラオケと英会話。

 

学生時代に英検1級を取得して、スチュワーデスを目指していたけど、いろいろあってデザイナーになったみたいだ。

 

まぁ、ヤ〇ザな伯父さんとは、月とスッポンである。

 

真面目な女性が、悪い男を好きになる心理なのか!?

 

それとも、訳あり?

 

中1の俺には、不思議だった。

 

・・・

 

 

おやじもそうだけど、伯父さんも風呂上りは、パンイチで出てくる。

 

俺もだけど笑。

 

伯父さんの刺青は、迫力がある!

 

顔、ヒジ下、ヒザ下以外は刺青だ。

 

ちなみに、お爺ちゃんは、腕に刺青が入っている。

 

岩木山津軽富士』と漢字で『男山』が描かれている。

 

長男(伯父さん)は、腿にバラと何かの文字。

 

おやじも、腿にワンポイントの墨が入っている。

 

四男(伯父さん)は、不明だけど、たぶん入っている。

 

・・・

 

 

刺青は、この時代の流行りなのか!?

 

俺は、流行っても絶対に入れない!

 

なぜなら、刺青はカッコ悪いと小学時代に学んだからだ。

 

・・・

 

 

金太郎(お爺ちゃん)の家には、風呂がないから、銭湯に行くことが多い。

 

銭湯では、刺青を入れている人も、たまに見かける。

 

そこで、俺は衝撃的な刺青を見てしまった!?

 

女性の名前の下に命と彫られてる。

 

大好きな彼女や奥さんの名前だと思う。

 

俺は、その刺青を見て思った。

 

きっと、大好きだった時に勢いで入れたのだろう。

 

しかし、別れたらどうなる!?

 

そう、彼みたいになる!

 

彼は、刺青を二本線で、消しているつもりなのか!?

 

〇〇〇命に二本線って、名前が丸見えですけど笑。

 

予算の事情で、二本線を入れるのがやっとだったのか。

 

・・・

 

せめて四本線だったら、名前が分からなかったのに、非常に残念な大人だ。

 

その時は、良いと思っても、人の価値観は変わる。

 

刺青は、若気の至りで済まないことを、小学時代に学べた。

 

・・・

 

 

2週間くらいで、シン伯父さんとユキさんは、新居に引っ越した。

 

2DKの綺麗なアパート。

 

しかも、隣町の一等地。

 

社会的に信用がない伯父さんは、部屋を借りることが出来ない。

 

ユキさんも今は無職だから、借りることができない。

 

・・・

 

 

後から、母はぶつぶつ独り言のように俺に話してくれた。

 

母曰く、部屋はおやじの名義で借りたらしい。

 

現金も100万円、伯父さんに渡したらしい。

 

伯父さんの仕事は、おやじの知り合いの工場で働くことになった。

 

ユミさんは、これから仕事を見つけるらしい。

 

母「あの人は、100万円は貸したって言ってるけど、あのお金は戻って来ない気がするわ」

 

・・・

 

おやじは、人が好いところがある。

 

俺が幼稚園児の頃、会社の後輩の連帯保証人になって、大金を肩代わりしたみたいだ。

 

母「あのお金があれば、108が小学生になるタイミングで、引っ越しできたのにねぇ」

 

おやじが連帯保証人にならなければ、俺は虐められなかったのか!?

 

・・・

 

「あの人は、カッコつけなのよ!まぁ、困ってる人をほっとけない優しいところもあるけどねぇ」

 

・・・

 

 

間もなくして、伯父さんとユカさんは、籍を入れた。

 

・・・

 

 

 

とても、とても、悲しい話

へと続く。

 

 

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