108 Blog

If you can dream it, you can do it.

二人の警備員が走って向かって来る

【72話】

 

東京の伯父さんの家は、江東区木場にある。

 

田舎者の俺からすると大都会だ。

 

近所のコインパーキングに車を停め、伯父さん家まで歩いて向かう。

 

都内の駐車場料金は、とても高い。

 

・・・

 

 

「ピンポーン!」

 

玄関のドアが開くと、伯父さん、タケミチ、知らない女性がいる。

 

女性「はじめまして!チズルです」

 

タケミチの伯母さんじゃない!?

 

もしかして、新しいお母さん?

 

えっ!伯父さん、離婚したの!?

 

しかも、若い女性。

 

ユキさん「はじめまして!ユキです」

 

・・・

 

 

ゲン伯父さん(長男)も去年再婚したみたいだ。

 

年齢は、26歳のキャリアウーマン風。

 

まさに再婚ラッシュである!

 

タケミチの元母は、穏やかな性格だったけど。

 

チズルさんは、ハキハキした元気な人だ。

 

・・・

 

チズル「108くんは、シンディローパーは好き?」

 

シンディローパー!?は知りません」

 

チズル「それじゃ、シンディローパーのCDをかけるね!」

 

初対面なのに、距離の詰め方がすごい!

 

タケミチともすでに仲がいい感じだ。

 

・・・

 

俺「タケミチ。そー言えば、リョウジ君は?」

 

タケミチ「バンドの練習だよ。そろそろ帰ってくると思うけど」

 

えっ!あの百貫でぶのリョウジ君が、バンドのボーカル!?

 

・・・

 

ガチャ!玄関のドアが開き、大勢の女性の声が聞こえて来る。

 

タケミチ「兄ちゃん、帰って来たみたい!」

 

俺たちは、玄関にリョウジ君を迎えに行く。

 

リョウジ「おぉ!108、久しぶりだな。元気にしてたか?」

 

バンドマンなので、痩せてると期待したが、以前より更に大きくなっている。

 

・・・

 

女子A「リョウジ君、明日も素敵な歌声を聴かせてね!」

 

女子B「明日は、PERSONZパーソンズ』歌ってねー!」

 

女子C「私は、ZIGGY『ジギー』が聴きたいな~!」

 

あのリョウジ君が、女子に囲まれながら帰宅!?

 

しかも、モテている。

 

・・・

 

 

俺「あの女子達は誰なの?」

 

リョウジ「あぁ、あの子たちは、俺の追っかけだよ!」

 

・・・

 

俺はモテてるデブを初めて見た。

 

見た目は、ほぼ小錦なのに。

 

・・・

 

リョウジ君は、百貫でぶだけど、男気があって面倒見はいい。

 

タケミチの話だと、歌はめちゃくちゃ上手いらしい。

 

歌が上手い高校生として、ラジオで歌声が流されたこともあるみたいだ♪

 

・・・

 

女子にモテるの理由が、何となく分かった気がした。

 

俺のモテる男の基準が、変わった瞬間だった!

 

・・・

 

 

三兄弟は、美味そうに酒を飲んでいる。

 

三人の嫁は、女子同志かなり盛り上がっている。

 

俺たちは、テレビゲームをしている。

 

・・・

 

「げろげろげろ~♪」

 

イヤーな音がした。

 

音のする方を見ると、タンスの上にいた猫がリバースしている。

 

リバースのターゲットは、シン伯父さん。

 

伯父さんの頭はゲロだらけ。

 

運が悪いと言うか、猫のリバースを頭に被るって聞いたことがない。

 

不幸としか言えない。

 

しかし、これは、ほんの序章にすぎなかった。

 

・・・

 

 

翌日、ゲン伯父さんの案内で、銀座でウインドショッピング。

 

ゲン伯父さんは、ブランド志向。

 

タケミチもチズルさんもブランド品を着ている。

 

タケミチは、リーバイスジーンズにミチコロンドンのTシャツ。

 

おやじとシン伯父さんは、松方弘樹風のファッション。

 

銀座では、完全に浮いている。

 

しかも、双子なので、通行人がチラチラ見する。

 

母とミナツは『ファッションセンターしまむら』の服をお洒落に着飾っている。

 

ユキさんは、ファッションモデルみたいでお洒落だ。

 

俺はケミカルジーンズにプーマのTシャツ。

 

お洒落に興味がないので、俺の服装はたぶんダサい。

 

自分で自分のことが分からない。

 

しかし、この団体は、統一感が全くない。

 

・・・

 

 

ゲン伯父さんの行きつけの高級ブティックに入る。

 

母とミナツは興奮し、はしゃいでる。

 

ユキさんは、目がキラキラしている。

 

ゲン伯父さんは、おやじとシン伯父さんに服を勧めている。

 

・・・

 

俺とタケミチは場違いなので、ブティックの外でジュースを飲みながら駄弁ってた。

 

・・・

 

チズル「タケミチ、108、お待たせ」

 

6人がブティックから出てきた。

 

俺「服は買えたの?」

 

おやじ「ブランド品は、やっぱり高いなぁ~」

 

母「値札見たら吃驚しちゃった!何回も値段確かめたよ!」

 

・・・

 

シン伯父さんは、欲しい服があったみたいだ!?

 

手持ちがないから、銀行でお金をおろすらしい。

 

・・・

 

銀行に到着する。

 

ゲン伯父さんと母は、ATMへ。

 

俺たちは、銀行内で涼んで二人を待つ。

 

・・・

 

「ブゥブゥブゥー」

 

銀行内に凄い音が響き渡る。

 

「ブゥブゥブゥー」

 

周りがざわつく。

 

そして、入り口のシャッターが自動で下り始めた。

 

「ブゥブゥブゥー」

 

どこからともなく、二人の警備員が走って俺たちの方に向かって来る!

 

「ブゥブゥブゥー」

 

シャッターが閉まり、店内は少し薄暗くなる。

 

 

 

全国指名手配

へと続く。

 

 

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