108 Blog

If you can dream it, you can do it.

思い出のロビンソン・クルーソー

【87話】

 

クリスマスイブ当日。

 

なんだかんだあったけど、アオイにマグカップをプレゼントできる!

 

今日のプランは、こうだ!

 

午後12時:コージーコーナーで待ち合わせ。

 

コージーコーナーで、クリスマスケーキを購入。

 

午後1時カラオケボックス

 

カラオケを1時間ほど歌う。

 

午後2時:クリスマスケーキを食べる。

 

そのタイミングで、クリスマスプレゼントを渡す。

 

午後3時クリスマスパーティー終了。

 

アオイの家まで送る。

 

オプションとして、最低でも『B』、可能であれば『C』まで持って行きたい。

 

まぁ、これは、ただの願望だ!

 

・・・

 

コージーコーナーで待っていると、アオイが現れた。

 

「108くん、お待たせしました!」

 

「俺も今来たところだよ!」

 

あれれ!?

 

今日のアオイの服装は、普段より大胆だ!

 

メチャ寒いのに露出度が高い!!

 

アオイと家は、エタニティ。

 

いい香りがする。

 

これは、もしかしたら、今日、いけるかも!?

 

・・・

 

俺たちは、コージーコーナーで、生クリーム苺デコレーションケーキを購入した。

 

思っていたより、高額だった!!

 

今日の軍資金は、15,000円。

 

俺のお小遣いの月額が1,500円。

 

オプションとして、オヤジの車を洗車すると500円。

 

庭の雑草を刈ると500円。

 

しかし、冬はほとんど雑草が生えない。

 

・・・

 

小遣いだけだと、月2回のミスドのデート代で終わる。

 

そんな俺が、なんで15,000円の軍資金があるかって言うと。

 

年に2回、お年玉とお盆休みに大金がもらえるからだ!

 

お爺ちゃん&お祖母ちゃん&伯父さんたちから、それぞれ、5,000円~10,000円。

 

中学生になってからは、年間の総額は10万円くらい。

 

その半分は母に預け、残りの半分は俺のが管理している。

 

小学生の時は、ほとんどが没収だったけど、中学生になったら、ルールが変更された。

 

従って、俺の使えるお金は、10万円くらいある。

 

ちなみに10万円は『ロビンソン・クルーソー』の本の中に隠してる。

 

ロビンソン・クルーソーは、思い出の本。

 

俺は、小学1年生の時にダンプカーにはねられた過去がある。

 

そのダンプカーの運転者(ヤマモトさん)が、俺にプレゼントしてくれた本。

 

それが、ロビンソン・クルーソーだ!

 

残念な話だけど、そのおじさんは、交通事故から4年後に亡くなってしまった。

 

しかも、交通事故で・・・

 

・・・

 

ヤマモトさんは、ヤマモトポ〇プと言う会社を経営していた。

 

俺は、そのヤマモトポンプのダンプカーにはねられて、生死を彷徨った苦い経験がある。

 

ヤマモトさんは、何度もお見舞いに来てくれた。

 

退院してからも、家までわざわざ退院祝いを持って来てくれた。

 

ロビンソン・クルーソー以外にも、宝島の本も頂いた。

 

毎回、ケーキや果物も買ってきてくれた!

 

ちなみに子供の頃は、甘いものが好きだった。

 

・・・

 

その時、ヤマモトさんには、俺の一つ年下の女の子がいると聞かされた。

 

ヤマモトさん「同じくらいの子供の親として気持ちはわかります。本当に申し訳ございませんでした!!」

 

ヤマモトさんは、涙を浮かべて、何度も何度も俺の両親に謝っていた。

 

俺は、7歳になったばかりなので、そのことの意味があまりよくわかっていなかった。

 

・・・

 

 

4年生になると、ぼろアパートから、新築一戸建て引っ越した。

 

登下校中、とても気になる店の前を通る。

 

そこには、トラックが数台並んでいる。

 

トラックの車体には『ヤマモトポ〇プ』の文字が・・・

 

あれ!?ヤマモトポ〇プ店って聞いたことがあるぞ?

 

なんだっけ?

 

俺は家に帰り、母に聞いてみた。

 

母「おまえが交通事故にあった時に運転してたのが、ヤマモトポ〇プ店の社長だよ。確か三年生に女の子がいるはずだよ!」

 

俺の記憶が蘇ってきた!?

 

4年生の俺の心は、崩壊寸前だった。

 

今であれば、ヤマモトさんが悪いわけじゃないことは、心でわかる。

 

でも、幼かった俺は、ヤマモトさんを恨んだ!

 

3か月も入院したせいで、高額な入院費がかかり。

 

そのせいで、俺の家は貧乏家族。

 

俺は、いじめの対象になり、地獄を味わった。

 

しかも、腰や足に傷が残り、その傷がコンプレックスになっていた。

 

・・・

 

そんな、ある日の登下校中。

 

ヤマモトポ〇プ店の前を通ると、玄関から女の子が出てきた。

 

あっ!山本の娘だな!!

 

俺は、女の子に声を掛ける。

 

「俺は、おまえのオヤジに殺されそうになったんだぞ!いまだに身体も傷だらけで、凄く辛い思いをしているんだぞ!おまえのオヤジは犯罪者だ!」

 

女の子は、ビックリした顔で、俺の顔を見る。

 

・・・

 

そして、女の子は泣いてしまった。

 

俺は、居心地が悪くなり、その場を去った。

 

・・・

 

この頃の俺は、全てに対してムカついていた!

 

女の子を泣かせたことに対しても罪悪感がなかった。

 

・・・

 

 

それから、1年後。

 

母「ヤマモトポ〇プ店のヤマモトさん、昨日、交通事故にあって亡くなっちゃったみたいだよ。可哀そうにね。おまえのお見舞いも何度も来てくれた優しい人だったのにねぇ。あの後、1年くらい仕事が出来なかったみたいだよ。」

 

俺「なんで、仕事ができなかったの?」

 

母「詳しくは、わからないけど、免許が停止になって仕事が出来なくなったみたいだよ。ワンマン社長だったから、代わりのドライバーもいなかったし、数カ月間の営業停止にもなっていたみたい。まだ小さい女の子がいるのにねぇ。本当に大変だったと思うよ!」

 

俺は、とても、後悔した。

 

なんで、あんな酷いことを言っちゃったんだろう。

 

・・・

 

俺「ヤマモトさんのお通夜に行きたいけど、行ってもいいかな?」

 

母は、キョトンとした表情だ。

 

・・・

 

母「わかったわ。一緒にお別れに行こう!」

 

・・・

 

 

 

咄嗟についた噓はバレている!?

To BE CONTINUED🔜

 

 

1話から見る!