はじめてのラ〇ホテル
【89話】
アオイは、ホッとした表情だ。
俺もアオイの顔を見てホッとする。
「アオイ、大丈夫か?」
・・・
アオイ「ちょっと、パ二くっちゃったよ~」
「状況がわからなかったから、俺もパ二くった。でも、タキタのフォローで、二人に戻れたね!」
アオイ「うん。でも、あと10分しかないし、カラオケ出ないといけないね」
マグカップは、既にリュックサックの中に戻している。
保冷剤を入れてもらったので、おそらくクリスマスケーキも無事だ。
でも、どこで、二次会をしよう?
この町には、カラオケボックスは一店舗だけだし。
・・・
ゆっくりと二人っきりで、一緒に過ごせるのは、もうホテルしかない!
ホッとして、気が緩んだのか、俺は大胆な発言をする。
「誰にも邪魔されず、二人っきりで、クリスマスケーキを食べられるは、ホテルしかないよね!?」
・・・
アオイ「・・・」
キョトンとするアオイ。
俺の顔が赤くなるが、わかる・・・
・・・
アオイ「いいよ。ホテルに行ってクリスマスケーキを食べよう!」
えぇっ!?ダメもとで、言ったのに・・・
マジかよ!?
これは、夢ですか!?
俺は、ほっぺをつまんでみる。
「痛っ!?」
クスっとアオイが笑う。
「本当にいいの?」
「公園じゃ寒いし、ケーキを食べるだけだよ!」
でも、中学生が入れるものなのか?
俺たちは、カラオケボックスを出て、ラブホテルに向かった。
途中、児童養護施設に自転車を停める。
「おーい!」
振り返ると、クワタが二階の窓から顔を出し、手を振っている。
クワタ「もう、カラオケ終わったの!?」
なんで、クワタが知ってる!?
俺「おう!」
クワタ、このタイミングで、こっちに来るなよ・・・
アオイが耳元で囁く。
「クワタ君が下りて来る前に行こっ!」
クワタ「アオイ!あんまり遅くなるなよ~!」
・・・
ホテルは、児童養護施設から歩いて5分くらい。
クワタが見えなくなった俺たちは、手を繋いだ。
しばらく歩くと、ホテルの看板が見えてきた!?
今にも心臓が口から出そうだ。
冬なのに手も汗ばんでいる。
「入り口は、どこかな?」
アオイ「私が知っているわけないじゃん!?」
そー言う意味で聞いたんじゃないけど・・・
ラブホテルに入るのは、初めてだ。
あれ!?フロントがないぞ!
・・・
車が停まっていて、その前に部屋があるホテルだ。
よく見ると、車が停まっている部屋の前に電光掲示板があり、明かりが消えている
電光掲示板には、部屋の写真が映っているみたいだ。
「これって、電光掲示板が光ってる部屋が、空室ってことだよね?」
アオイ「わからないけど、たぶん、そうだと思う」
一通り、見て回ると、空いてる部屋が二室ある。
休憩二時間:3,980円
宿泊:6,980円
思ってたより、安いぞ!
二部屋とも同じ料金だし、間取りも同じっぽいので、人目に付きにくい奥の部屋を選んだ。
あれ!?すんなり、部屋に入れたぞ!
えぇっ~!?このホテル、和室で布団なの??
普通、ラブホテルは、回転ベッドじゃないの!?
これじゃ、まるで旅館じゃんか!?
「コンコン!」
ドアを叩く音がする。
俺は、恐る恐る、ドアを開ける。
「ギー!」
そこには、老婆が立っている。
老婆「休憩?それとも宿泊かい?」
俺「きゅ、休憩でお願いします!」
老婆「前払いで、3,980円ね~」
俺は、財布から、4千円を渡す。
老婆は、オーバーオールのポケットから、お釣りを出した。
「はい、20円のお返しね~。休憩は2時間だから、終わったら、部屋から電話してくださいね~」
終わったらって!?下品な婆さんだ。
老婆「では、ごゆっくり」
疑った顔で、ジロジロと顔を見られていたが、たぶんセーフだ!!
・・・
アオイ「大丈夫だった?」
俺「うん。問題なし!それにしても、ラブホテルって和室に布団なの?」
アオイ「そうね。・・・イメージとだいぶ違うよね?」
・・・
時間があまりない!そんなことより、急がないと。
俺「お腹も空いたし、ケーキを食べようか!」
アオイ「そうだね、用意するね!」
・・・
「あれ!?包丁ってないよね?」
俺たちは、食器棚を探すが、ティーカップとティースプーンしかない。
アオイ「お皿とホークは持ってきたけど、包丁持ってくるの忘れちゃった」
俺「じゃあ、お婆さんに聞いてみるよ!」
「プルルルル~ガチャ!」
「あのぉ、包丁って貸してもらえますか?」
老婆「お客さん、包丁で何をするんだい?」
「あぁ、クリスマスケーキを切るのに使いたいです!」
老婆「そーかい。わしゃビックリしたよ!今から持って行くね」
・・・
アオイ「今日はいろいろあったけど、ケーキとっても美味しいね!!」
何度見ても、アオイの笑顔は、かわいい!
・・・
あれ、もう、20分が経ってしまった。
急がないと、ミッションクリアーできないぞ!!
・・・
「そうだ!アオイにプレゼントがあるんだけど、いま渡してもいいかな!?」
アオイ「ホント~!嬉し~!!・・・実は、私からも108くんにクリスマスプレゼントがあるの!」
俺「マジで~!じゃあ、俺から渡すね!」
・・・
俺は、リュックサックから、マグカップを出し、アオイに手渡した。
「ラッピングしてなくてごめんね!」
アオイ「えぇっ!?これって、マグカップだよね!!とってもお洒落だし、私の好きなブルーだね!めちゃ嬉しーよ!!108くん、ありがとうー!!大事に使うねっ!」
「やっぱり、アオ色が好きなんだね!アオイの名前は『碧』だから、碧色にしたんだ!」
こんな喜んだ、アオイを初めて見た!
ガンバって作ってよかった!!
後で、ユキさんにもお礼を言わないと。
・・・
「このマグカップ。ペアなんだ~!!」
俺は、もう一つのマグカップを出した!
「えっ!?お揃いなんだ!嬉しー!!さっそく紅茶でも入れるね~!」
俺「実は、このマグカップ。手作りなんだ!マグカップの裏も見て見てよ!」
・・・
アオイ「108くんとアオイの名前が入ってる!凄い!!私のために作ってくれたんだね!やっぱり、このマグカップ使うのがもったいないな~!」
本当は、カラオケボックスで、サプライズしたかったけど、これはこれで、結果オーライ!
大成功である!!
・・・
アオイ「今度は、私からのプレゼントね!恥ずかしいから後ろを向いてもらっていい?」
なんだろ!?楽しみだな!
「108くん、目を閉じて。いいって言うまで、目は開けないでね!」
「うん。わかった!」
アオイが近づいて来る。
俺の真後ろに立っている。
なんだろ?
アオイ「ちょっとだけ、しゃがんでもらっていい」
俺は、膝を軽く曲げ、しゃがむ。
首に何かが、巻かれた。
あぁ、マフラーか!?
とても、温かい。
アオイ「はい!目を開いていいよ!」
目を開くと、白いマフラーが首に巻かれている。
アオイ「このマフラー、108くんをこと思って編んだの。上手くはないけど、良かったら使ってね!」
メチャクチャ嬉しい~!!
今までもらったプレゼントで、間違いなくナンバーワン!!
俺は、振り返り、アオイを抱きしめた。
「ありがとう!マフラー大事に使うね!」
こんなに幸せを感じたのは、生まれて初めてだ!
・・・
アオイは、照れているようだ。
「108くんが作ってくれたマグカップで、紅茶を飲んでみよう!」
「ティーパックの紅茶だけど、良いよね!」
「カンパーイ!!」
・・・
あれ!?もう、17時過ぎだ!
アオイの門限は、18時だから、遅くてもホテルを17:50に出ないと間に合わない。
このままでも、幸せだけど、やっぱり、ミッションを成功させたい!!
・・・
俺は、キスをする雰囲気を作り、アオイとキスをした。
俺たちが座っている場所には、布団が敷いてある。
和室ってサイコー!!
そして、そっとアオイの体を倒す・・・
ドラマだと、彼女に蹴られるシーンがよくあるけど、アオイは、抵抗してこない。
ドキドキが止まらない・・・
これは、行ける!?
To BE CONTINUED🔜