コールドゲーム
【99話】
レギュラーどころか、チャンスも回ってこない可能性がある。
しかし、俺は週5回バッティングセンターに通った。
特に110km/hのストレート。
そして、100km/hのカーブ。
最初は、クリーンヒットが出なかったけど、2週間も通うと十中八九ヒットを打てるようになった。
そして、部活の練習時でも、クリーンヒットするようになってきた。
先生「108、最近バッティングが良いな!?明日の練習試合、レギュラー組のレフトに入れ!」
練習試合だけど、初めてのレギュラー先発だった。
二年間休まず部活動に出て、バッティングセンターでコソ連した結果だ!
・・・
練習試合は、4打数、2安打、2フォアボール、4盗塁成功の好成績だった。
しかも、コジマからツーベースを打ってやったぜ!
コジマの球速は、130km/hとかなり速いけど、ノーコンだ。
球速だったら、エース級なのにノーコンなので、控えピッチャーだ。
エースのカミヤの球速は、100~110km/hだけど、コントロールが良い。
因みに二軍では、一度もカミヤの球を打っていない。
機会があれば、カミヤからも打ってみたい!
・・・
そして、地区予選の二回戦。
俺は、ベンチスタートだった。
・・・
七回裏が終わり、4対1で勝っている。
今の所、出番がない。
そして、八回裏、ツーアウト、二塁三塁。
ヒットが出れば、追加点だ!
先生「108、代打だ!?」
公式戦としては、初めてのバッターボックス。
おい!?最初から出せよ!
このタイミングは、かなり緊張するし、1チャンスかよ!?
ここで、打てなければ、全てが終わる。
当校は、4回戦くらいの中堅校。
残り二試合で、失敗した俺が使われる筈がない。
そう思うと、余計に緊張した。
パチオ「108、ホームランぶちかませよー!!」
ケンジ「最低でも、ホームランなー!!」
これは、応援じゃない、完全たるヤジである。
・・・
俺は、1本目は見送った。
「ストライク!」
2本目、ストレートが来たらブチかますぞ!
2本目、3本目はボール。
これで、1ストライク、2ボール。
3本見送ったことにより、落ち着きを取り戻した。
そして、4球目。
これは、ストライクゾーンのストレートだ。
俺は、コンパクトにバットを振った。
「カキーン!!」
ボールが右中間に飛ぶ。
レフトが前に出て来るが、間に合わない。
「ラッキー!?」
レフト前、1m付近にボールが落ち、そして、後方に転がった。
俺は、1塁を回り、2塁に向かう。
「108、3塁に行けるぞ!?」
そんな声が聞こえてきた!
俺は、振り返る余裕がないので、その声を信じて3塁に向かった。
そして、一瞬後ろを振り返る。
セカンドがボールをキャッチし、3塁に投げるところ。
3塁までは、残り10mくらいか!?
俺は、生まれて初めてのヘッドスライディングをした。
3塁週のグローブが俺の手に触れているが、俺の手も3塁ベースに触れている。
チームメートは、セーフを連呼する。
相手チームは、アウトを連呼。
どっちだ!?
少し、間が開き。
「アウト!アウト!!」
二回も言うなよ、バカヤロー!
二点は追加したけど、俺の初打席はアウトになった。
・・・
先生「良くやったぞ!108!!」
ケンジ「惜しかったな!」
パチオ「スライディングだったら、セーフだっただろ!?スパイクはビビるからな?」
確かにそうかもしれないが、ただ俺は必死だった。
次に機会があれば、スライディングにしよう!
そして、9回表、カミヤに変わりコジマ。
ノーコンでも、5点差あるから、問題ないだろう。
一回戦もコジマは、抑えで出場し、失点は0。
・・・
あれ!?今日のコジマは、スーパーノーコンだぞ。
・・・
なんと、5連続のフォアボール。
そして、連続のヒットで、あっという間に4失点してしまった。
ノーアウト、満塁で、6対5。
エースのカミヤが頭を抱える。
三年のピッチャーは二人しかいない。
先生「ピッチャー交代だ!二年のサワダ!」
コジマは、気に食わない表情だ。
二年のサワダも公式戦では、初登板。
それにして、この起用はむごすぎる。
・・・
試合終了。
その後もボコボコに打たれて、コールドゲームになった。
もう少し、試合に出たかったな。
そして、俺の『野球人生』が終わった。
To BE CONTINUED🔜