柔道最強決定戦
【115話】
入学早々、スポーツテストがあった。
結果は、一学年240人中7位だった。
因みにトップ20は、全てラグビー部。
1位は、同じクラスのケイイチ。
「108ちゃん、凄いね!ラグビーに入らないの!?」
身長は170cmくらいで、範馬刃牙みたいな体のケイイチが話し掛けてきた。
「サッカー部にするか、ラグビー部にするか迷ってるよ」
・・・
「俺たちラグビー部は、花園を目指してて、108ちゃんも一緒に行こうよ!」
まさかのクラスメートからのヘッドハンティング。
「108ちゃんは、足も速いし、持久力もあるし、パワーもあるし、ナンバーエイトかウイングで活躍できるよ!絶対に!!」
気づいたら、他のラガーマンにも囲まれていた。
俺が、ケイイチ達からオファーを受けたのは、スポーツテストの結果が良かっただけじゃない。
・・・
昨日の体育の授業は、柔道だった。
トーナメント方式で、俺は順当に勝ち上がり決勝戦に辿り着いた。
準々決勝はラガーマン、準決勝は柔道部だった。
そして、決勝の相手は、ヒロシだ。
187cm、82kgの喧嘩負けなし、元副番の厳つい男。
目の前で、構えるとかなりの迫力でメチャデカい。
デカいやつの勝負するのははじめてだった。
中学入学前に柔道部のイワサキに一方的に投げられた以来の大男。
俺は、本気で勝負できるのが嬉しかった。
中学生活は、一方的に殴られるのが多かったからだ。
本気で勝負するのは、3年ぶりだ!
組んだ瞬間のヒロシのパワーは凄かった。
しかし、投げられるわけにはいかない。
そして、何度も投げようとチャレンジするが、巨漢のヒロシの足腰はしっかりしていて中々投げさせてくれない。
3分間、俺とヒロシの攻防が続いた。
そして、残り1分、凄い歓声が上がった!!
誰もが、ヒロシが断トツ優勝だった思っていたのだろう!?
「108ちゃん、マジスゲーぞ!後世に残る名勝負だー!」
何だか柔道場は、メチャメチャ盛り上がっているぞ。
アドレナリンが分泌が半端ねー!
ヒロシは、鬼の形相だ!?
気合が十分に伝わってくる。
俺は、一度押し、そして一気に引いた。
おぉっ!やっと倒れたぞ!?
そのまま、締め技に入ろうとするが、ヒロシも凄いパワーで押し返す。
ここでヒロシに勝てば、取り敢えずA組最強の称号をもらえる!?
・・・
そして、やっと並十字絞めが決まる!
ヒロシの押し返しが半端ねー。
凄い気迫だけど絶対に負けたくない。
「有効!・・・終了!」
有効を取ったところで、時間終了してしまった。
あと10秒あれば、一本だったのに残念。
そして、拍手喝采。
あれ!?顔が痛いぞ。
顔に手を当てると血が付いていた。
ヒロシの爪が俺の皮膚をえぐったのだろう。
その後、ジュンジ、タケヨシ、イワモトがやたらと俺に話し掛け来るようになった。
イワモト「108、気合入ってたぞ!」
ジュンジ「108ちゃん、ヒロシと互角に闘った男を始めて見たよ!」
タケヨシ「108ちゃん、今日一緒に帰ろうぜ!」
ハヤト「108ちゃん、ヒロシ君相手にマジになるなよ!?」
ハヤトだけは、ボソッと耳元で囁くように言った。
・・・
因みに、ヒロシとジュンジはラグビー部だ。
この二人は、ラグビー推薦組で入学したらしい。
そのヒロシにパワー負けしなかったことが、ラグビー部に認められたのだろう。
・・・
To BE CONTINUED🔜