タケヨシとガンちゃん
【118話】
「108ちゃん、一緒に帰ろうぜ!?」
振り返ると、タケヨシがいた。
「鼻の調子はどーよ?」
「もう痛くねぇけど、ちょっとぶよぶよしてるよ。触ってみるか?」
「いいや、遠慮しとく」
「108ちゃん、このあと暇?」
「あぁ、暇は暇だけど。また喧嘩か!?」
「ちげーよ。今から俺ん家に遊びに来ねーか?」
「いいけど、お前ん家どこよ!?」
「俺は北中の近くだよ!」
おぉ!?俺んち並に遠いし、俺ん家と逆方面だよ。
「お前ん家行ったら、帰れなくなっちまうよ~」
「じゃあ、俺ん家に泊まればいいじゃん!プレハブ部屋だから自由だぜ!」
どうしようかなぁ。
・・・
あれ!?あの亀並みの速度のヤローは、イワモト。
イワモトを見つけたタケヨシは、イワモトに駆け寄る。
「おーい!ガンちゃん!今から俺ん家に遊びに来ねーか?108ちゃんも一緒だぞー!」
イワモトは、振りかり、ニヤッと微笑んだ。
イワモトスマイル意外と可愛いぞ笑。
「おぉ!タケヨシっ家か!?じゃあ、ビールでも買って今日は呑み明かすか!」
いつの間にか俺も行くことになっていた。
まぁ、いいか、こいつ等のことも知れるし、面白そうだ。
俺たちは、最寄り駅に着く。
「タケヨシっ家はどこよ?」
「俺ん家は、北中の近くだけど知ってるか?」
「おぉ、わかるよ。駅まで何で来てるの?」
「俺は〇〇駅まで原チャだけど、ガンちゃんは?」
「近くに単車が置いてあるから、俺と108で北中に行くよ!」
「おう!わかった。じゃあ、北中で集合な!」
イワモトは、学校近くまで単車で来ていた。
イワモトの単車は、公園の茂みに隠すように停めてあった。
「イワモト、この単車どーしたの?」
「ガンちゃんでいいよ!おう、これは先輩に譲ってもらったのよ!渋いだろ!?」
「渋いって言うか、だいぶ派手だな!?これ何で言う単車な?」
「SUZUKI GT380『サンパチ』だよ!」
俺は、単車に興味がないから、よく分からないが、これは単車と言うより族車だ。
ムラサキの車体、ロケットカールに三段シート。
出来ることなら乗りたくない。
ガンちゃんは、単車のエンジンをかけた。
何じゃ、この地が唸るような騒音は!?
「108、後ろに乗れよ!」
俺は、戸惑いながらのサンパチの後部座席に座った。
そして、公園から公道に出て、サンパチは急発進する。
歩くのはメチャ遅いのに、単車はウイリーするくらいのスタートダッシュ。
「おぉっ!このシート意外と調子良いじゃん!?」
見た目に反して、座り御心地は良いし、風が気持ちいい!!
エンジン音も五月蠅く目立つ族車は、通行人からしたらとても迷惑だと思う。
中学時代では、目立たないように生きてきたが、俺は元々目立ちがり屋。
久々に注目されるは、最高に気分が良かった!
ガンちゃんと話してみたら、俺の隣町出身だった。
「ガンちゃんは、族には所属してるの?」
「中3から〇〇に所属してるよ!」
「へ~、族って楽しいの?」
俺たちは、たわいもない話をしながら北中に向かった。
「ガンちゃん、煙草屋に寄ってくれ!」
・・・
俺は単車に乗せてもらったお礼として、缶コーヒーと煙草をガンちゃんに奢った。
ガンちゃんはマルボロで、俺はセブンスター。
一服しながら、仲間と昔話をするこの感じ、楽しいなぁ~。
・・・
何でも、ガンちゃんは中学時代、テニス部のキャプテンで、県大会3位だったみたいだ。
人は見かけによらないと本気で思った。
「ところで、ガンちゃんはテニス部に入るの?」
「タケヨシのサッカー部に入るみたいだから、俺もサッカー部に入るよ!108は!?」
「俺は、ラグビー部とサッカー部で迷ってるよ!」
「迷ってるんだったら、サッカー部に入ろうぜ!!」
おいおい、ガンちゃんは、角刈りの鬼ゾリで、タケヨシはリーゼントパーマだ。
そんな、風貌でサッカーするなよ笑。
「あぁ、考えとくよ!」
・・・
北中に着くとタケヨシが原チャで待っていた。
「おまえら、遅せーよ!つーか、ガンちゃんの族車カッコいいじゃんか!俺にも乗せてくれよ!?」
「おぉっ!良いけどコカすなよ。じゃあ、俺と108は原チャに乗るわ!」
タケヨシは、初めて乗る族車でローリングしている。
「タケヨシ、おめー単車乗るのうめーな!?」
こいつのドラテク、中学時代に何度も単車に乗ってるな。
・・・
俺ん家ほどじゃないけど、タケヨシ家の周りは田舎だった。
母屋の隣には、タケヨシのプレハブ部屋があり、10畳くらいありとても広い。
バドワイザーのポスターが貼ってあり、漫画が沢山ある。
特攻の拓、カメレオン、ビーバップハイスクール、湘南純愛組、ろくでなしブルース、魁・男塾、湘南爆走族、今日から俺は、ヤンキー漫画しかない。
・・・
To BE CONTINUED🔜