日本人の枠を遥かに超えている!?
【120話】
「チョワース!チョワース!チョリース!チョワース!」
二年のスギヤマをはじめ、二年連中は三年にヘンテコな挨拶をしている。
チョワース!ってなんだよ。
しかも、どさくさに紛れてチョリースって言ってる奴もいるし。
定番はチワース!だと思うぞ俺は。
そして、アフロみたいなボンバーヘッドが中央に立つ。
「一年の皆さん、初めまして!?俺は部長の『イノウエ・マドカ』だ!そして、今年から副部長になった・・・」
イノウエのあれは、天然パーマなのか!?
俺たちは部長の頭が気になってしょうがない。
タケヨシが俺の腕をつつく。
横を見るとメチャ笑いを堪えてるタケヨシ。
俺は小声でタケヨシに話す。
「マドカちゃんのボンバーヘッドの中には、何匹鳥がいるのかな!?」
タケヨシは腹を抱えて笑いを堪えている。
「ヒィーヒィーヒッヒッヒィー」
ガンちゃんの声は漏れちゃっている。
ガンちゃんの爆笑を堪えてる顔が、とても可笑しい。
・・・
イノウエの隣には、スギヤマいる。
イノウエがスギヤマの肩を叩く。
「副部長の『スギヤマ・ケンキチロウ』です!一年生の皆さん、サッカー部にようこそ!今日から皆さんは正式部員です!一緒に国立目指してガンバりょう!!」
俺たちはもう我慢の限界だった。
スギヤマの名前は、ケンキチロウなのか!?
ここまでは、何とか耐えられたが、最後に噛んでしまった。
ガンバりょうって、気合入れられても、頑張る気になれない。
俺たちは我慢できずに吐き出してしまう。
笑が伝染したのか、皆も我慢の限界を超えたのか、爆笑の渦に巻き込まれた。
ケンキチロウの顔は真っ赤っか。
ボンバー・マドカも笑いを堪えているが、堪え切れていない。
どうも、締まらない自己紹介だった。
・・・
練習内容は、いたって普通で、パス、シュート、一対一などだった。
「今日の練習は、これで終わりにする!一年はこのまま残ってくれ!?」
まだ、一時間しか練習してないぞ!?
かなり、ゆる~い部活だな。
「一年は着替え終わった後、16時半までに二年B組に集合だ!遅れたら校庭10周だからな!?」
・・・
俺たちは着替えて、指定の教室に向かった。
もうすでに一年は集まっていた。
教室40席の三分の二くらいが埋まっている。
一年は30人くらいかな!?
そして、教室の壁側に二年生が腕組をして立っている。
緊張感が漂う教室。
一年はもちろん、二年も沈黙している。
これは噂に聞く『シメ会』だなぁ、とすぐに理解した。
「どうしたお前ら!?お通夜みたいに静かだなぁ~。」
ガンちゃんが、一年に向かって話しかけるが、沈黙する一年。
ガンちゃんは、壁側にいる一人の二年に歩み寄る。
相変わらず、歩くスピードはスローモーション。
両手はボンタンに手を突っ込み、ニヤついている。
「パイセンこれから俺たちをシメちゃうの!?」
二年はガンちゃんにビビっているみたいだけど、何も言わない。
風貌だけで見たら、ガンちゃんはチンピラそのもの。
先輩たちの見た目は、爽やかじゃないけどスポーツマンぽい。
二年は15人くらいしかいないので、喧嘩をしたら一年の楽勝だと思う。
「おい!一年坊は集まっているか!?」
廊下から声が聞こえてきた。
ケンキチロウ含め5人が竹刀を持って教室に入って来た!?
教室がざわついた。
あれ!?練習にはいなかった大男とアイパー男がいるぞ!?
なるほどね、この二人は、シメ専門だと直感した!
「イワモト、席に着け!」
アイパーがイワモトに命令する。
「はぁ!?誰だよテメェーは!」
ガンちゃんは、ポケットに手を入れたままアイパーに歩み寄る。
今回のガンちゃんは、歩くのが早めだ。
「俺は二年のナカオだよ!今年の一年はイケイケだねぇ~」
ガンちゃんほどじゃないけど、このアイパー男、なかなかの貫禄。
そして、アイパーの顔に顔を近付けて睨みつける。
近い!?顔と顔の距離は約5cm。
どちらかが、ちょっとでも動いたらキスしちゃうだろ!?
「おい!小僧!?」
大男が二人に割って入る。
ガンちゃんが振り返った瞬間、ガンちゃんが宙に浮いた。
大男はガンちゃんの胸ぐらを掴み持ち上げている。
マジかよ!?あの大男、ガンちゃんを片手で持ち上げてるぞ!
この大男は今まで俺が会った人間で一番大きい!?
恐らく2mを超えている。
体つきもかなりゴツイし、絶対にサッカー部じゃないことだけはわかる。
柔道!?それともレスリングか!?
何れにしても日本人の枠を遥かに超えている。
・・・
To BE CONTINUED🔜