弓道部の彼女は清楚系
【125話】
サッカー部のシメ会は二週間続くらしい。
オレとタケヨシは、その間は部活に出ないと決めた。
○○工業で一番キツいシメ会はラグビー部。
何とシメ会が1ヶ月間、ほぼ毎日続く。
シメ会の内容もエグ過ぎる。
新入部員は、体育館倉庫の壁側に裸で正座をさせられる。
正確に言うとパンイチ(パンツ一丁)。
壁側を向いて正座するので、先輩達のことは見えない。
そこから、十数メートル付近にラグビーボールがセットされる。
そして、二三年が次々とボールを一年に向かって蹴り込まれる。
正面を向いていれば、ボールが飛んでくる軌道も分かるから、ココロの準備もできるが、後ろ向きなので、いつボールが飛んでくるか分からない恐怖がある!?
しかも、二三年のキックは県内最強クラス。
日本代表選手のキックも飛んでくる。
そんな怪物達のキックを1ヶ月間も浴び続けなきゃいけないので、最初の一週間で三分の一が辞め、二週間後には半分が辞める。
ただ、そのシメ会を一部免除してもらえるラッキーマンもいる。
卒業生にアニキがいるヤツは、シメ会がゆるく期間も二週間らしい。
ジュンジのアニキはラグビー部の中心選手だけじゃなく喧嘩も最強だったので、ジュンジはユルいシメ会だったらしい。
ヒロシは生意気だから、毎日ボコボコにされている。
あちこち傷だらけでキツそうだ。
キレた先輩も何人かいて、バックドロップなどのプロレス技をかけられ、そのまま病院送りの一年が絶えないらしい。
そんな怖い話を聞くとラグビー部に入らなくって良かったと思う。
・・・
今日も部活をサボり、ガンちゃんと下校する。
ガンちゃんと二人きりで帰るのは初めてだ。
「108は彼女いるの?」
「この間、別れたばっかだよ!」
「ガンちゃんは?」
「オレは三週間前に出来たよ!」
「マジか!?きっかけは?」
「駅で見かけて告ったらOKしてくれたよ!」
「やるねー!」
入学早々のアタック成功率が高いってコトが真実味を帯びてきた。
チンピラ度数ナンバーワンのガンちゃんの彼女は、きっと女子校の激ヤンなんだろな。
近所の女子高は、この辺では有名なヤンキー高校。
同中からは、オオタ・イクエが通っている。
もちろん、中学時代もヤンキーだった。
・・・
「実はオレも気になっている女子がいてさぁ~」
「いいじゃんか!どこの高校よ!?」
「○○高校の一年だと思う。二三回見かけただけだから、名前は分からないけど、遅刻しなければ、8:15着の電車に乗ってるよ!」
「じゃあ、明日告っちゃえよ!」
「おいおい、いきなりかよ!?ココロの準備が必要だよ」
「そんなこと言ってると、すぐに彼氏が出来ちゃうぞ!もう既にいるかもな!?」
「いいや!あの清楚な女子に彼氏はいないはず!?」
「清楚系なの?ヤンキーナンナが好きだと思ってたよ!」
「そのまま返すよ!ガンちゃんの彼女はもちろんゲキヤンだろ?」
「ちげーよ!俺の彼女は黒髪だし、ビアスも空けてねーし、制服も標準ブレザーだし、弓道を愛する清楚系だよ!」
えぇっ!?弓道を愛する清楚系って、もしかして。
いいや!?あの清楚なお嬢様がチンピラに振り向く筈がない。
それこそ、月とスッポンだ!?
・・・
「マジか!?ガンちゃんと清楚系じゃ釣り合わねーな!?」
「そりゃ言いすぎだろ!?ところで、駅で見かける子は、どんな特徴のオンナなの?」
「奇遇なんだけど、オレが気になる子も弓道部だよ!?ガンちゃんの彼女の友達かもよ?」
「マジか!?そしたら明日聞いてみるわ!何だったら108の代理でオレから伝えようか、そのオンナに?」
「いいよ!自分から告るから!?」
・・・
To BE CONTINUED🔜