清楚系弓士とのファーストコンタクト
【126話】
オレとガンちゃんは、いつもより15分も早く駅で待ち合わせをした。
5分前に着いて、ガンちゃんを待っていると、あの子がオレの前を通り過ぎた。
ドキッとする美しさのあの子は、一瞬で改札の中へと吸い込まれて行った。
胸がドキドキ鳴っている。
今がチャンス!
彼女は一人だったし、追いかけて呼び止めようか!?
でも、呼び止めて駅のフォームで告白するのもかなりの勇気がいる。
やっぱり、ガンちゃんが来るまで待って、橋渡しをしてもらうのが利口だ。
・・・
そして、5分後にガンちゃんと無事に合流した。
「108とりあえず一服するべ!」
「そんなことより、清楚系弓士が5分前にオレの前を通り過ぎたぞ!」
「マジか!?それで声掛けなかったのか?」
「一瞬だったからな~」
「そうか!オンナとは8:15に〇〇駅の改札口で待ち合わせだから、一服する時間はまだあるぞ!」
オレ達は駐輪場の階段下で一服してから、7:58の電車に乗った。
○○工業高校の最寄り駅までは3駅で約17分。
この時間帯の電車は混み合っている。
始発から28駅目なので、座れたら奇跡。
車内に乗り込むと髪型が派手な奴が話し掛けてきた。
「二人は機械科の108くんとガンちゃんだよね!?オレは〇〇科のカンダ・ショウ。よろしくね!」
爽やかな彼は、ウインクをしながら挨拶をしてきた。
ベビーフェイスで整った顔は、とてもモテそうだ!?
髪は肩まで伸びていて、女子みたいにヘアゴムで髪をまとめている。
髪色は、ピンクとグリーンのメッシュが入っている。
ビジュアル系のバンドマンなのか!?
「ショウくん、よろしく!オレのことは108ちゃんって呼んでよ!」
「OK!じゃあ、オレのことはカンチャンって呼んでよ!」
・・・
「ショウくん、おはよう!今日も一緒に学校に行こうね~」
「うん!一緒にいこー!?エリナちゃん、アキコちゃん、マホちゃん!」
「それじゃ、108ちゃん、ガンちゃん、またね~」
・・・
「あの3人組って二年の女子だべ!?」
確かに同高の貴重な女子。
うちの高校には約50人の女子がいる。
一学年約10人から30人ほど。
うちらの同期は15人。
うち一人は、同郷のレイコちゃん。
二年は20人でキレイな先輩も3人いる。
その3人がカンチャンに声を掛けた『エリナ、アキコ、マホ』
「ありゃー3人とカンチャンやってるべ!?」
「そりゃわからんけど、あいつは相当モテるキャラだよな~」
・・・
「で108は、清楚系弓士に彼氏がいなかったらコクるの!?」
もちろん、いなければチャンスだけど、怖さも強い。
一つ、振られるのが怖い。
同じ電車、隣の学校、噂になるのが怖い。
二つ、最近何を思ったかアイパーにしてしまったので、告白するにはハードルが高い。
清楚系弓士はきっと爽やか系ボーイが好みなんだろう。
コクるにしても、髪型を爽やかに変えてからにしよう。
「あたりめーじゃん!今日じゃないけど、近々面と向かってコクるよ!」
・・・
そして、最寄り駅に着き改札口に向かう。
相変わらずスローモーション。
生徒全員に抜かれ俺らは最後に改札を出る。
えっ!?まじか!?そんなことってある!?
「おう!待ったか!?マリコ!」
改札口を出て先にいたのは、清楚系弓士だった。
オレは困惑した。
ガンちゃんの彼女は清楚系弓士!?
それと清楚系弓士はガンちゃんの友達!?
この二人は似合っていない。
アイパーのオレが言うのも何だが、不似合いカップル日本一だと思う。
「ガンちゃん、おはよう!」
清楚系弓士はガンちゃんに笑顔で挨拶をした。
そしてオレを見て軽くお辞儀をした。
戸惑いながらもオレも清楚系弓士に会釈をした。
「マリコ。昨日話した108」
ガンちゃんが清楚系弓士にオレを紹介した。
「はじめまして。108です」
名前を言うのがやっとだ。
「108くんって、うちの高校でも有名人だよ!?」
・・・
「そうそう、電車通学の一年生弓道部の女子は二人しかいないから、先輩の可能性もありますよね!?」
オレのターゲットは君ですって言える訳がない。
何て答えればいいのだ!?
でも、さっきマリコちゃんを追いかけなくて良かったよ~。
ナンパ(コクった)相手が友達の彼女って笑えない。
・・・
To BE CONTINUED🔜