オヤジ狩りもどんちゃん騒ぎもNG
【128話】
俺はガンちゃんの単車の後ろに乗り、カキヤマの家がある最寄り駅で待ち合わせした。
駅にはカキヤマの原チャリが駐車してあり、ダイスケはカキヤマの原チャの後ろに乗った。
カキヤマの原チャは黒の『ホンダ・タクト』。
見るからにシートが狭くて2ケツはきつそうだ。
途中コンビニによりビールと摘まみを買ってカキヤマ家へ。
カキヤマの家は平屋建の古びたアパート。
オレタチが玄関に向かうとカキヤマがこっちだと手招きした。
直接窓からカキヤマの部屋に入れるみたいだ。
部屋は6畳くらいで炬燵が部屋の真ん中に置いてあった。
俺たちは取り敢えずビールで乾杯をした!
「この時間親はいないの?」
「7時ごろにババぁが仕事から帰って来るよ。オヤジは単身赴任だから殆ど帰って来ねぇし楽にしてくれ!」
「カキヤマは兄弟いないの?」
「俺は一人っ子だよ」
「そうか、彼女はいるの?」
「いねーよ!お前等はいるの?」
「ガンちゃんはいるけど、オレはいねぇーよ。ダイスケは?」
「俺は右手が恋人よ!?」
「右手が恋人って悲しいなぁ~」
「そー言うガンちゃんは、彼女とはどーなの?」
「俺は見た目通りのピュアな男だから、S〇Xはまだだよ」
マリコちゃんにはこのまま純白でいてもらいたい。
・・・
オレタチはバイクや女の話で盛り上がった!
「ドンドンドンドン」
扉を叩く音がする。
カキヤマがドアを開けるとカキヤマの母らしき人が立っていた。
オレタチは、飲酒に喫煙、見た目もビーバップハイスクール。
「もう遅いから、そろそろ終わりにしなさい!」
時計を見たら、もう8時過ぎ。
母親が言うのもごもっともだ。
「うるせーんだよ!ババぁ!!」
カキヤマが吠えて扉を閉めた。
カキヤマ母にも近所にも迷惑かけてるし、そろそろ帰ろうと思いオレは席を立つ。
「108ちゃん、あと一杯だけ飲もうぜ!」
帰ろうとするオレをカキヤマが止めた。
ガンちゃんとダイスケを見ると帰る気がなく飲み続けている。
オレは一旦座って、あと一杯だけ付き合うことにした。
4時間飲みっぱなしのオレタチは相当酔っていた。
酔ったカキヤマは親父の話をし始めた。
何でも、カキヤマの親父は女癖が悪く愛人がいるらしい。
もともとカキヤマは立派な一軒家に住んでたみたいだけど、ある時から愛人が居座るようになり、カキヤマと母親は家を追い出されたみたいだ。
追い出された二人は、このアパートにもう5年も住んでるらしい。
「いつか親父を〇そうと思ってるけど、生活費として毎月10万円をババぁの口座に振り込んでるみたいだから、〇しちゃったらババぁが生活できないだろ。・・・」
酔った勢いかカキヤマは家庭事情をカミングアウトしてくれた。
カキヤマの目には涙が零れ落ちている。
「俺も母子家庭だから大変なのはわかるが、オヤジを〇しちゃったらお前と母親の人生が終わるぞ!」
話の流れでダイスケも母子家庭だと言うことが分かった。
「〇さなくてもボコボコに殴っちゃえば良くねぇか!?何だったら俺も加勢するぜ!」
「ガンちゃん、それってオヤジ狩りだよ。お前も補導されるし、学校にバレたら退学になるぞ!?」
オレはもっともなツッコミを入れた。
・・・
「お前らの気持ちは嬉しいけど、俺の問題だから。ゴメン、テンション落ちるようなことを言っちゃって」
「おし!飲みなおすぞ!!」
そこから、オレタチはどんちゃん騒ぎをした。
何度もドアの外からカキヤマの母親の声がうっすらと聞こえたが、音楽をガンガンにかけていたので、あまり気にすることなくオレタチは飲み続けていた。
飲み過ぎてション弁に行きたくなったオレは、部屋の鍵を開けて廊下に出た。
用を足して部屋に戻ろうとすると奥の部屋からカキヤマの母親が誰かと話す声が聞こえた。
オレは声のする部屋のガラス窓を少しだけ横にスライドさせ中を覗き込んだ。
・・・
To BE CONTINUED🔜