はにかんだ笑顔は満点!
【130話】
久しぶりに中学時代の友達のタキタから連絡がった。
俺はタキタに会うため待ち合わせの駅に向かった。
待ち合わせ場所に行くとタキタ、リンちゃん、マドカちゃんがいた。
「あれ!?リンちゃんとマドカちゃんも一緒?」
「いや~、たまたま二人と会って一緒に遊ぼうかって!108も問題ないよね?」
白々しいタキタだが、まぁ問題ないし騙されたふりをしよう。
「108くんの髪型ヤンキーぽいね!?」
リンちゃんが早速のツッコミを入れていた。
そう、オレは最近アイパーからアイロンパーマにイメチェンをしたのだ。
アイパーは失敗したけど、アイロンパーマの完成度はまずまず。
高校に入学してからつるむ連中が変わったせいか、俺の身なりも変わっていた。
・・・
俺たちは喫茶店でメシを食いながら、思い出話に花を咲かせていた。
「まさか、タキタとリンちゃんが付き合うとは思わなかったよ」
「まぁ、五度目の正直かな。リンは108のことが好きだったし、特に五度目は告るか迷ったけど、告って良かったぜ!」
タキタは照れながら、リンちゃんの思いを語った。
「私は108君に三度も振られたし、待っていても一向に返事はないし、そんな中、五度回の告白で気持ちが揺らいじゃった。でも、今でも108くんのことは好きです。友達としてだけどね!」
何だか、少し悔しい気待ちになった。
タキタはいい奴だし、めでたいことだと思うけど。
どこかで、まだオレのことを好きだと思っていてもらいたかった。
友達として好きってことは、オレが逆に振られた感じにも思えた。
・・・
「オレはこれからリンとデートすることになったから、108、マドカちゃんをよろしく!」
「おい!?そんな話聞いてないぞ!!」
「108君、マドカは可愛いから今がチャンスだぞ!」
二人は、強引にマドカちゃんを押し付け喫茶店を出て行った。
わかり易さがかえって緊張を増した。
マドカちゃんの顔がまともに見れない。
・・・
「108くん、高校生活は楽しい?」
緊張を割って話し掛けてくれたのはマドカちゃんだった。
オレは新しくできた友達の話やサッカー部に入部した話などをした。
引かれるのが嫌だったので、話半分程度で。
「へ~とっても楽しそうだね!ところで108くんって今彼女さんはいるの?」
少しは想像していたが、早速切り込んできた。
「最近、別れちゃって。今はアローン状態だよ。マドカちゃんは?」
「私も知っての通り、アローンだよ。好きな人はいるけど・・・」
マドカちゃんは、顔を赤らめ下を向いてしまった。
もちろん、まどかちゃんは可愛いし、良い子だと思うけど。
好きか嫌いかで言ったら好きな方だし、いろんなことが頭の中をよぎる。
そうだ!高校生活は自分に正直生きようと決めたんだ!
・・・
「マドカちゃんが好きな人って誰なの?」
オレはストレートに聞いてみた。
十中八九オレだと思っていたが、違ったら滑稽だ。
・・・
「108くんが知ってる人だよ。リンとタキタ君の友達かな」
これで、99%オレだと確信した!
「それじゃ、アローンどうし付き合っちゃう!?」
・・・
何だこの間は。
「あ、ごめんなさい。トイレに行ってくる」
マドカちゃんはうつ向いたままトイレに行ってしました。
直後、オレはなんて軽いノリだったと反省した。
これじゃ、まるで遊び人のセリフだ。
それとも、オレの大きな勘違いで別の奴が好きなのか?
共通の友達だと、ケンジ、パチオ、クワタ、シンジがいる。
パチオとシンジはマドカちゃんと顔見知り程度だから、でも高校に入ってから仲良くなったのかも。
いや待ってよ、ケンジはユウコちゃんがいるし、クワタが怪しいぞ!?
オレは勝手な妄想をしていた。
それにしても、マドカちゃん遅いな。
心配したオレはトイレをノックしてみた。
「マドカちゃん、大丈夫?」
トイレの中から、すぐに返答があった。
「うん。大丈夫だよ!」
あれ!?いつもの明るいマドカちゃんの声だ。
しばらくするとマドカちゃんは戻って来た。
「ゴメンね。嬉しくて泣いちゃったから、化粧直ししてたの」
嬉しいってことはOKなのか!?
「108くん、こちらこそよろしくお願いします!」
マドカちゃんのはにかんだ笑顔は満点だった。
To BE CONTINUED🔜
部長と副部長に呼び出される
【129話】
「息子達が家で暴れているので今すぐに来てください!はい。何度注意しても聞きません。はい。近所迷惑になるのでお願いします。はい。息子の友達ですが、すごい不良です。はい。よろしくお願いします!」
オレは部屋に戻り、カキヤマ母が警察か誰かを呼んだ可能性があると伝えた。
「マジかよ!あのクソ婆ァ!!ぶっ○してやる!」
キレたカキヤマは木刀を持って立ち上がるがフラフラしている。
ガンちゃんとダイスケも我関せずって感じで飲み続けている。
ただの脅しの親子喧嘩の可能性が大だが、酔っ払っているので最悪の結末もある。
オレはカキヤマの腕を引っ張り、止めた。
「何するんだよ!オレ達の親睦会を妨げる奴は誰だろうと許せねぇ~」
言ってることがチグハグしているコイツは完全に酔っているな。
「まぁ、先ずは一杯呑んで落ち着こう!」
「そうだそうだ!マブダチの酒が呑めねぇって言うのか?カキヤマぁ!」
「ナイスホローだダイスケ」とオレは心の中で叫んだ!
そして、ダイスケがカキヤマのグラスに焼酎を注ぐが酔っているのでグラスから焼酎が零れる。
オレ達は再び乾杯をし、その酒を飲み干す。
酔ったオレタチは母親の呼んだ人のことをすっかり忘れて飲み続けているが、一瞬で我にかえる。
どこからともなくサイレンが聞こえる。
サイレン音は少しづつカキヤマ家に近づいてくる。
「ヤベー!察だ逃げるぞー!!」
フラフラのはオレ達はバイクで逃走した。
警察には間一髪捕まらなかったが、カキヤマは後日警察署に呼び出され厳重注意を与えられた。
カキヤマがオレ達のことかばってくれたのでお咎めはなかった。
酒を飲むと狂暴化する奴をオレははじめて目の当たりにした。
・・・
サッカー部のシメ会が終わったとダイスケに聞いた。
俺はダイスケにタケヨシはいい奴だと説得し、3人で部活に出るようになった。
最初は、気まずそうだったけど二人はすぐに打ち解けた。
練習に出て二週間、ミニゲームが行われた。
二、三年VS一年。
オレはガタイが良いことを理由にディフェンスに回された。
試合をして思ったが、二、三年のレベルが低い。
小学時代の同級生の方が上手いぐらいだし、中学時代野球部だった俺からしても技術がとても低い。
オレは後半からミッドフィルダーを任された。
そして、次の日から二、三年に交じって一軍で練習するようになった。
一年から選ばれたのは、オレとスザキ・ケンタの二人だけだった。
オレは小学時代の貯金だけで、高一からレギュラーに選ばれてのだった。
それにして、みんな下手すぎてやる気がおきてこない。
・・・
復帰後、三週間でレギュラーに定着したオレは、試合だけ出るようになっていた。
試合前の一週間だけ練習に参加して試合に出ていた。
次第に週三、週二、週一と減り、部長と副部長に呼び出された。
「108の実力は認めるけど、このままじゃ周りに示しがつかない。真面目に練習に出て試合に出るか、練習に出ないのであれば試合には出せない!」
もちろん、試合に出ることは少しは嬉しいが、やはりチームメートが下手すぎるのでディフェンスのオレ達の負担が多くあまり楽しくない。
試合は勝つから楽しいし、チームメートでも相手チームでも、自分より上手い人がいるから頑張り甲斐や倒し甲斐がある。
監督は素人だし、部長も副部長もオレより下手だし、チームメートとして認められるのは、スザキ・ケンタとタケヨシくらいだった。
そのタケヨシは今や幽霊部員。
この頃のオレのモチベーションはゼロに近かった。
取り敢えず適当な相槌を打って、オレは部室を去った。
To BE CONTINUED🔜
オヤジ狩りもどんちゃん騒ぎもNG
【128話】
俺はガンちゃんの単車の後ろに乗り、カキヤマの家がある最寄り駅で待ち合わせした。
駅にはカキヤマの原チャリが駐車してあり、ダイスケはカキヤマの原チャの後ろに乗った。
カキヤマの原チャは黒の『ホンダ・タクト』。
見るからにシートが狭くて2ケツはきつそうだ。
途中コンビニによりビールと摘まみを買ってカキヤマ家へ。
カキヤマの家は平屋建の古びたアパート。
オレタチが玄関に向かうとカキヤマがこっちだと手招きした。
直接窓からカキヤマの部屋に入れるみたいだ。
部屋は6畳くらいで炬燵が部屋の真ん中に置いてあった。
俺たちは取り敢えずビールで乾杯をした!
「この時間親はいないの?」
「7時ごろにババぁが仕事から帰って来るよ。オヤジは単身赴任だから殆ど帰って来ねぇし楽にしてくれ!」
「カキヤマは兄弟いないの?」
「俺は一人っ子だよ」
「そうか、彼女はいるの?」
「いねーよ!お前等はいるの?」
「ガンちゃんはいるけど、オレはいねぇーよ。ダイスケは?」
「俺は右手が恋人よ!?」
「右手が恋人って悲しいなぁ~」
「そー言うガンちゃんは、彼女とはどーなの?」
「俺は見た目通りのピュアな男だから、S〇Xはまだだよ」
マリコちゃんにはこのまま純白でいてもらいたい。
・・・
オレタチはバイクや女の話で盛り上がった!
「ドンドンドンドン」
扉を叩く音がする。
カキヤマがドアを開けるとカキヤマの母らしき人が立っていた。
オレタチは、飲酒に喫煙、見た目もビーバップハイスクール。
「もう遅いから、そろそろ終わりにしなさい!」
時計を見たら、もう8時過ぎ。
母親が言うのもごもっともだ。
「うるせーんだよ!ババぁ!!」
カキヤマが吠えて扉を閉めた。
カキヤマ母にも近所にも迷惑かけてるし、そろそろ帰ろうと思いオレは席を立つ。
「108ちゃん、あと一杯だけ飲もうぜ!」
帰ろうとするオレをカキヤマが止めた。
ガンちゃんとダイスケを見ると帰る気がなく飲み続けている。
オレは一旦座って、あと一杯だけ付き合うことにした。
4時間飲みっぱなしのオレタチは相当酔っていた。
酔ったカキヤマは親父の話をし始めた。
何でも、カキヤマの親父は女癖が悪く愛人がいるらしい。
もともとカキヤマは立派な一軒家に住んでたみたいだけど、ある時から愛人が居座るようになり、カキヤマと母親は家を追い出されたみたいだ。
追い出された二人は、このアパートにもう5年も住んでるらしい。
「いつか親父を〇そうと思ってるけど、生活費として毎月10万円をババぁの口座に振り込んでるみたいだから、〇しちゃったらババぁが生活できないだろ。・・・」
酔った勢いかカキヤマは家庭事情をカミングアウトしてくれた。
カキヤマの目には涙が零れ落ちている。
「俺も母子家庭だから大変なのはわかるが、オヤジを〇しちゃったらお前と母親の人生が終わるぞ!」
話の流れでダイスケも母子家庭だと言うことが分かった。
「〇さなくてもボコボコに殴っちゃえば良くねぇか!?何だったら俺も加勢するぜ!」
「ガンちゃん、それってオヤジ狩りだよ。お前も補導されるし、学校にバレたら退学になるぞ!?」
オレはもっともなツッコミを入れた。
・・・
「お前らの気持ちは嬉しいけど、俺の問題だから。ゴメン、テンション落ちるようなことを言っちゃって」
「おし!飲みなおすぞ!!」
そこから、オレタチはどんちゃん騒ぎをした。
何度もドアの外からカキヤマの母親の声がうっすらと聞こえたが、音楽をガンガンにかけていたので、あまり気にすることなくオレタチは飲み続けていた。
飲み過ぎてション弁に行きたくなったオレは、部屋の鍵を開けて廊下に出た。
用を足して部屋に戻ろうとすると奥の部屋からカキヤマの母親が誰かと話す声が聞こえた。
オレは声のする部屋のガラス窓を少しだけ横にスライドさせ中を覗き込んだ。
・・・
To BE CONTINUED🔜
カキヤマとダイスケ
【127話】
「見た目とか特徴とはどんな感じですか!?」
見た目はモロ貴女ですが、口が裂けても言えねぇ。
「マリコと同じ清楚系だってよ!」
「私が清楚系!?そんなことないよ~」
そーだろうね、当校と比べたら貴女の学校の生徒は皆清楚系だよね。
・・・
「そーだなぁ、マリコちゃんと同じくらいの髪の長さだったかも」
オレは適当なことを言ってみた。
「同級生はショートヘアーだから、やっぱり先輩ですね!?・・・ただ私も入部したばかりで先輩とあまり話したことないから。・・・」
「だったら、大丈夫だよ。自分で声を掛けてみるよ。マリコちゃん、ありがとう!」
「協力できなくってごめんなさい」
でも、同級生がショートヘアーで良かった。
なんとか誤魔化せたみたいだ。
「じゃあ、私は授業があるから先に行くね!」
それにしても、世の中には不思議なことがあるもんだ。
ガンちゃんとマリコちゃんのカップルは、日本七不思議にしてもおかしくない。
「ガンちゃん、とりあえず一服するか!?」
緊張感から解き放たれたオレは煙草を吸いたくなった。
「それじゃ、星川商店に行くか!?」
星川商店は、高校から徒歩3分の駄菓子屋で、煙草が吸える貴重な場所だ。
いつ行っても、誰かが煙草を吸っている憩いの場。
オレ達は飲み物を買って、奥の喫煙スペースに向かう。
店内は意外と広く、奥の庭スペースに椅子が10席ほど置いてある。
あれ!?朝一から二人もいるぞ!?
サッカー部のダイスケとカキヤマだった。
「なぁ~に、お前たちもサボりか!」
ガンちゃんは二人に話し掛けた。
「学校じゃ吸えねぇからなぁ~。ところで、ガンちゃんはサッカー部は辞めたの?」
「あぁ、ノリでやろう思ったけど、オレにはスポーツは向いてねぇな。最近地元の暴走族に入ったし」
「へ~!?ガンちゃんは確か〇〇中出身だからチームは〇〇天使だよね!オレ、〇〇連合なんだけど知ってる?」
「おぉっ!知ってるよ隣町の族だからなぁ。カキヤマだっけか!?単車は何乗ってるの?」
「オレはまだ無免小僧だから原チャに乗ってるよ!でも免許が取れたら『GS400』に乗るつもりよ!」
ガンちゃんとカキヤマは、単車の話で盛り上がってる。
・・・
こいつはタケヨシと中坊時代に因縁があったダイスケ。
悪そうな目つきの奴だなぁ。
「ダイスケだよな!?部活は行ってるの?」
「行くわけねぇじゃん!108ちゃんは?」
こいつ、オレの名前を知ってるし、いきなりちゃん付けとは距離をつめていたな。
「だよな。オレもシメ会が終わったら出るつもりだけど、ダイスケは?」
「オレも出るよ。サッカーは好きだし。・・・ところで108ちゃんはタケヨシと仲良いの!?」
「まぁ、たまに遊んでるけど。二人は仲悪そうだね?」
「いや~。中坊の時にタケヨシの中学とオレの中学のサッカー部で乱闘があってよ。
あいつの顔面ボコボコに蹴りまくってやったよ!」
ダイスケの話だと、練習試合の時に北中のタケヨシとダイキがガンをつけてきたのが切っ掛けで乱闘になったらしい。
話の流れだとヤンキー数が多い東中が勝ったのだろう。
最初にガンを飛ばして手を出したのはタケヨシ達らしいけど、ダウンしてる相手に容赦なくタコ殴りするダイスケもやり過ぎだと思った。
「108ちゃん、今日は暇してる!?」
突然、カキヤマが話し掛けてきた。
「まぁ、放課後だったら暇だけど何で!?」
「俺ん家に遊びに来ねーか?ガンちゃんも来るってよ!?ダイスケも来るよな?」
「おう!108ちゃんも行こうぜ!カキヤマの家には酒も大量にあるぞ!」
やることもないし、放課後オレたちはカキヤマの家に遊びに行くことにした。
To BE CONTINUED🔜
清楚系弓士とのファーストコンタクト
【126話】
オレとガンちゃんは、いつもより15分も早く駅で待ち合わせをした。
5分前に着いて、ガンちゃんを待っていると、あの子がオレの前を通り過ぎた。
ドキッとする美しさのあの子は、一瞬で改札の中へと吸い込まれて行った。
胸がドキドキ鳴っている。
今がチャンス!
彼女は一人だったし、追いかけて呼び止めようか!?
でも、呼び止めて駅のフォームで告白するのもかなりの勇気がいる。
やっぱり、ガンちゃんが来るまで待って、橋渡しをしてもらうのが利口だ。
・・・
そして、5分後にガンちゃんと無事に合流した。
「108とりあえず一服するべ!」
「そんなことより、清楚系弓士が5分前にオレの前を通り過ぎたぞ!」
「マジか!?それで声掛けなかったのか?」
「一瞬だったからな~」
「そうか!オンナとは8:15に〇〇駅の改札口で待ち合わせだから、一服する時間はまだあるぞ!」
オレ達は駐輪場の階段下で一服してから、7:58の電車に乗った。
○○工業高校の最寄り駅までは3駅で約17分。
この時間帯の電車は混み合っている。
始発から28駅目なので、座れたら奇跡。
車内に乗り込むと髪型が派手な奴が話し掛けてきた。
「二人は機械科の108くんとガンちゃんだよね!?オレは〇〇科のカンダ・ショウ。よろしくね!」
爽やかな彼は、ウインクをしながら挨拶をしてきた。
ベビーフェイスで整った顔は、とてもモテそうだ!?
髪は肩まで伸びていて、女子みたいにヘアゴムで髪をまとめている。
髪色は、ピンクとグリーンのメッシュが入っている。
ビジュアル系のバンドマンなのか!?
「ショウくん、よろしく!オレのことは108ちゃんって呼んでよ!」
「OK!じゃあ、オレのことはカンチャンって呼んでよ!」
・・・
「ショウくん、おはよう!今日も一緒に学校に行こうね~」
「うん!一緒にいこー!?エリナちゃん、アキコちゃん、マホちゃん!」
「それじゃ、108ちゃん、ガンちゃん、またね~」
・・・
「あの3人組って二年の女子だべ!?」
確かに同高の貴重な女子。
うちの高校には約50人の女子がいる。
一学年約10人から30人ほど。
うちらの同期は15人。
うち一人は、同郷のレイコちゃん。
二年は20人でキレイな先輩も3人いる。
その3人がカンチャンに声を掛けた『エリナ、アキコ、マホ』
「ありゃー3人とカンチャンやってるべ!?」
「そりゃわからんけど、あいつは相当モテるキャラだよな~」
・・・
「で108は、清楚系弓士に彼氏がいなかったらコクるの!?」
もちろん、いなければチャンスだけど、怖さも強い。
一つ、振られるのが怖い。
同じ電車、隣の学校、噂になるのが怖い。
二つ、最近何を思ったかアイパーにしてしまったので、告白するにはハードルが高い。
清楚系弓士はきっと爽やか系ボーイが好みなんだろう。
コクるにしても、髪型を爽やかに変えてからにしよう。
「あたりめーじゃん!今日じゃないけど、近々面と向かってコクるよ!」
・・・
そして、最寄り駅に着き改札口に向かう。
相変わらずスローモーション。
生徒全員に抜かれ俺らは最後に改札を出る。
えっ!?まじか!?そんなことってある!?
「おう!待ったか!?マリコ!」
改札口を出て先にいたのは、清楚系弓士だった。
オレは困惑した。
ガンちゃんの彼女は清楚系弓士!?
それと清楚系弓士はガンちゃんの友達!?
この二人は似合っていない。
アイパーのオレが言うのも何だが、不似合いカップル日本一だと思う。
「ガンちゃん、おはよう!」
清楚系弓士はガンちゃんに笑顔で挨拶をした。
そしてオレを見て軽くお辞儀をした。
戸惑いながらもオレも清楚系弓士に会釈をした。
「マリコ。昨日話した108」
ガンちゃんが清楚系弓士にオレを紹介した。
「はじめまして。108です」
名前を言うのがやっとだ。
「108くんって、うちの高校でも有名人だよ!?」
・・・
「そうそう、電車通学の一年生弓道部の女子は二人しかいないから、先輩の可能性もありますよね!?」
オレのターゲットは君ですって言える訳がない。
何て答えればいいのだ!?
でも、さっきマリコちゃんを追いかけなくて良かったよ~。
ナンパ(コクった)相手が友達の彼女って笑えない。
・・・
To BE CONTINUED🔜
弓道部の彼女は清楚系
【125話】
サッカー部のシメ会は二週間続くらしい。
オレとタケヨシは、その間は部活に出ないと決めた。
○○工業で一番キツいシメ会はラグビー部。
何とシメ会が1ヶ月間、ほぼ毎日続く。
シメ会の内容もエグ過ぎる。
新入部員は、体育館倉庫の壁側に裸で正座をさせられる。
正確に言うとパンイチ(パンツ一丁)。
壁側を向いて正座するので、先輩達のことは見えない。
そこから、十数メートル付近にラグビーボールがセットされる。
そして、二三年が次々とボールを一年に向かって蹴り込まれる。
正面を向いていれば、ボールが飛んでくる軌道も分かるから、ココロの準備もできるが、後ろ向きなので、いつボールが飛んでくるか分からない恐怖がある!?
しかも、二三年のキックは県内最強クラス。
日本代表選手のキックも飛んでくる。
そんな怪物達のキックを1ヶ月間も浴び続けなきゃいけないので、最初の一週間で三分の一が辞め、二週間後には半分が辞める。
ただ、そのシメ会を一部免除してもらえるラッキーマンもいる。
卒業生にアニキがいるヤツは、シメ会がゆるく期間も二週間らしい。
ジュンジのアニキはラグビー部の中心選手だけじゃなく喧嘩も最強だったので、ジュンジはユルいシメ会だったらしい。
ヒロシは生意気だから、毎日ボコボコにされている。
あちこち傷だらけでキツそうだ。
キレた先輩も何人かいて、バックドロップなどのプロレス技をかけられ、そのまま病院送りの一年が絶えないらしい。
そんな怖い話を聞くとラグビー部に入らなくって良かったと思う。
・・・
今日も部活をサボり、ガンちゃんと下校する。
ガンちゃんと二人きりで帰るのは初めてだ。
「108は彼女いるの?」
「この間、別れたばっかだよ!」
「ガンちゃんは?」
「オレは三週間前に出来たよ!」
「マジか!?きっかけは?」
「駅で見かけて告ったらOKしてくれたよ!」
「やるねー!」
入学早々のアタック成功率が高いってコトが真実味を帯びてきた。
チンピラ度数ナンバーワンのガンちゃんの彼女は、きっと女子校の激ヤンなんだろな。
近所の女子高は、この辺では有名なヤンキー高校。
同中からは、オオタ・イクエが通っている。
もちろん、中学時代もヤンキーだった。
・・・
「実はオレも気になっている女子がいてさぁ~」
「いいじゃんか!どこの高校よ!?」
「○○高校の一年だと思う。二三回見かけただけだから、名前は分からないけど、遅刻しなければ、8:15着の電車に乗ってるよ!」
「じゃあ、明日告っちゃえよ!」
「おいおい、いきなりかよ!?ココロの準備が必要だよ」
「そんなこと言ってると、すぐに彼氏が出来ちゃうぞ!もう既にいるかもな!?」
「いいや!あの清楚な女子に彼氏はいないはず!?」
「清楚系なの?ヤンキーナンナが好きだと思ってたよ!」
「そのまま返すよ!ガンちゃんの彼女はもちろんゲキヤンだろ?」
「ちげーよ!俺の彼女は黒髪だし、ビアスも空けてねーし、制服も標準ブレザーだし、弓道を愛する清楚系だよ!」
えぇっ!?弓道を愛する清楚系って、もしかして。
いいや!?あの清楚なお嬢様がチンピラに振り向く筈がない。
それこそ、月とスッポンだ!?
・・・
「マジか!?ガンちゃんと清楚系じゃ釣り合わねーな!?」
「そりゃ言いすぎだろ!?ところで、駅で見かける子は、どんな特徴のオンナなの?」
「奇遇なんだけど、オレが気になる子も弓道部だよ!?ガンちゃんの彼女の友達かもよ?」
「マジか!?そしたら明日聞いてみるわ!何だったら108の代理でオレから伝えようか、そのオンナに?」
「いいよ!自分から告るから!?」
・・・
To BE CONTINUED🔜
自分に正直に本能のままに生きる
【124話】
オレは自信を失いかけていた。
カオリの本当の気持ちを知りたいけど、聞くのが怖い。
「とりあえず、フォアローゼスで乾杯しよ!」
水と氷を買い忘れたので、ストレート飲み。
むしゃくしゃしてオレはフォアローゼスを一気飲みする。
あれ!?カラダの中が熱くなってきたぞ!
「すごーぃ!でも、一気飲みして大丈夫?」
「大丈夫!カオリも一気飲みしてみろよ!カラダが熱くなるぜ!」
酒がまわって気が強くなったのか、カオリに対して命令口調になってる気がする。
オレ達は一時間足らずでフォアローゼスを空にしてしまった。
「カオリ、おまえろれつが回ってないぞぉ~」
「108もへんらぞぉ~」
オレのアタマもグルグルに回っている。
・・・
オレは酔った勢いで聞いてみた。
「カオリはまだアイツのコト好きなんだろ!?」
・・・
カオリは一拍半ほど置いて答えてくれた。
「付き合ってる時は好きだったけど、今は大嫌いだよ!?・・・な~に、もしかして、嫉妬しているの?」
その言葉が聞けて少しだけホッとしてる自分がいる。
「気にしてねーよ!カオリがオレのことを好きなのは知ってるし、オレがカオリのことを好きだってことカオリは知ってるよな?」
「うん!知ってるよ~カオリと108は両想いだねぇ~」
カオリはあいつじゃなくてオレを好きだってコトを今確信した!
不安がなくなった瞬間、ものスゴくカオリが欲しくなった!?
・・・
オレは勢いまかせにカオリに抱きついた。
二人とも酔っているので、いつもより大胆。
何だろうこの感覚!?
ココロとカラダが深海に吸い込まれるような。
オレもカオリもトランス状態に入っているみたいで。
・・・
オレはカオリの名前を叫ぶ!
そして、カオリも返してくれる。
「好きだよ!大好きだよ!!・・・くん」
!?
今、カオリは何て言った?
耳垢が詰まっているのかなボクは。
酔ったアタマで、カオリの言葉を思い出してみる。
ンンン?空耳じゃないよな、やっぱり、そーだよな。
だんだんと酔いが覚めてきたぞ。
・・・
「急にどーしたの!?」
どうやら、カオリは自分の発言に気づいてないみたいだ。
「ゴメン。急に体調悪いからトイレに行ってくる」
カオリは、まだトランス状態だけど、オレのことを気遣っているのがわかる。
「大丈夫!?飲み過ぎちゃったよね。背中さすろうか?」
「大丈夫だから、すぐに戻るから」
オレは落ち着かせるために湯船を浸かり、カオリの発言を何度も思い返す。
もう、酔いは完全に覚めている。
やっぱり、『シンペイくん』って言ったよね。
・・・
ベッドに戻るとカオリは大きなイビキをかいて寝ていた。
その寝顔を見たら、気持ちが一気に冷めてしまった。
もう、カオリとは一緒に居たくない。
オレはカオリをベッドに残しホテルを後にした。
・・・
その後、ポケベルが何度も鳴っていたが、オレは二度とポケベルを見ることはなかった。
それから数週間、カオリから家に電話があったけど、居留守を使って電話にも出なかった。
オレの恋は、ここで終わった。
・・・
はじめての彼女に裏切られ、二人目の彼女にも裏切られた。
オレは女子のことが分からなくなっていた。
大きなショックから、女性不信になりそうになったが、思い直した。
これからは、自分に正直に生きよう!!
そう、それが、高校生から始まるオレのスタイル。
もう、オンナの人は信じない。
本能のまま生きて行こう!
・・・
To BE CONTINUED🔜