108 Blog

If you can dream it, you can do it.

ウーロンハイの初体験~父と息子の絆深まる夜

【119話】

 

 夕暮れの街灯が点灯し始めた頃、照明の柔らかな光が漏れるスナックの入り口に、俺と親父が立っていた。

 

 春の風が、彼らの周りを軽やかに舞っている。

 

 スナックの中からは、懐かしいメロディーが聞こえてきて、それが二人を迎え入れるかのようだった。

 

「108、ウーロンハイで良いか!?」

 

 店の中から、オヤジの声が響く。

 

 それは、冗談を交えた温かな声音だった。

 

 俺は、一瞬たじろぐものの、すぐに心を決めた。

 

「うん、大丈夫だよ。初めてだけど、楽しみにしてる!」

 

 その声には、未知への期待とわずかな緊張が混じっていた。

 

 親父は、推薦入学が決まった息子に、これまでとは違う絆を感じていた。

 

 飲酒がバレて、一緒に酒を飲むようになってから、二人の関係はより深まっていた。

 

 スナックの中は、暖かい光と賑やかな声で満ちていた。

 

 シン伯父さんが、既にカラオケで盛り上がっている。

 

 親父とシン伯父さんは、俺が大人の仲間入りをするこの日を、どこか誇らしげに見守っていた。

 

 俺は、初めてのウーロンハイを口にした。

 

 冷たくて、ほろ苦い。でも、それがなぜか心地よかった。

 

 親父の隣で、自分も大人になったような気がして、胸がいっぱいになる。

 

 ウーロンハイやウイスキー&ブランデーの飲み方を教わりながら、俺は、親父やシン伯父さんとの会話を楽しんだ。

 

 話は、学校のことから、未来の夢まで、幅広く広がっていった。

 

 そして、カラオケの時間。

 

 酔っぱらって、みんなの前で歌う快感。

 

 俺は、初めての経験に心を躍らせた。

 

 オヤジもシン伯父さんも、俺の歌を聴きながら、満足げに微笑んでいる。

 

 この夜、俺は、自分が大人の仲間入りを果たしたことを深く実感した。

 

 そして、親父との絆が、以前よりもずっと深まったことを感じた。

 

 ウーロンハイ、そしてスナックでの時間は、俺にとって、忘れられない宝物となった。

 

 

 夜は更け、街の灯りが僅かに残るプレハブの前で、青春の一ページが静かに織りなされようとしていた。

 

「カンパーイ!」の掛け声と共に、四つのグラスが軽やかに響き合う。

 

 この瞬間、仲間たちの絆は、ビールの泡のように、軽やかでありながらも深いものへと変わっていった。

 

「仲間と駄弁りながら飲むバドワイザーは美味い!」

 

 その言葉が、空気を一層暖かくする。

 

 しかし、その温もりは、煙草の煙と共に、どこか遠くへと消えていくようだった。

 

 煙草と酒の相性の良さ、それは予想以上に酔いを早める。

 

 酔いがまわり始めた頃、外からはバイクの音が。

 

 まるで、この夜を盛り上げるための序章のよう。

 

「コンコンコココン! ココココーンココン!」

 

 その変わったリズムのドアノックに、一同は戸惑いながらも、期待を膨らませる。

 

「ドア開いてるよー!」タケヨシがそう声をかけると、ドアが開き、そこには特大サイズのリーゼントパーマが。

 

 この夜、予期せぬゲストの登場に、空気は一変した。

 

「見かけない族車があると思ったら、先約かい!?」

 

 その一言に、緊張が走る。

 

 しかし、その緊張はすぐに和らぎ、「こいつ、俺のダチのダイキ。そして、同じクラスの108ちゃんとガンちゃん!」と紹介があると、笑顔が溢れ出した。

 

 ガンちゃんは「ダイキよろしくな! とりあえず駆けつけ三杯な!?」と提案。

 

 その懐の深さに、一同は心を開いた。

 

「おう! ガンちゃん、108ちゃん、よろしくな~!」と返す声は、もはや旧知の仲のように暖かい。

 

 四人は、それからとことん飲みまくった。

 

 酒が尽きると、タケヨシが母屋から新たな酒を持ってきてくれた。

 

 彼とダイキの中学時代の話は、まるで映画の一場面のようだった。

 

 サッカー部でのコンビプレー、そして退部に至るまでの波乱万丈。

 

 しかし、その過去があるからこそ、今の彼らがある。

 

 ダイキが最近ロカビリーに目覚めたという話は、夜を更に盛り上げた。

 

「タケヨシも一緒にロカビリーやろうぜ!?」

 

 その一言が、さらに夜を熱くする。

 

 そして、俺らは潰れるまで踊り続けた。

 

 何だろう、この感覚は。こいつらといると、何もかもが楽しく感じる。

 

 まるで、青春の最高の瞬間を、今、ここで体験しているようだ。

 

「メチャメチャ楽しいし、サイコーじゃん!」

 

 その言葉が、夜空に響き渡る。

 

 この夜、俺らはただの仲間ではなく、生涯忘れられない「友」となったのだ。

 

 それぞれの心の中に、この一夜の記憶が、色褪せることなく刻まれていく。

 

 青春の一ページは、まさに名作のように、俺らの心に永遠に残るだろう。

 

 

 その日、青春の一ページが、熱く、そして切なくめくられた。

 

「108ちゃんもサッカー部に入ろうぜ!?」

 

 タケヨシの声は、夏の終わりを惜しむかのように、軽やかでありながらもどこか切ない響きを持っていた。

 

「おう!そうするわ!?」

 

 俺の返事は、その場のノリで決めたものだが、その瞬間、俺の中には何かが変わり始めていた。

 

 友情という名の酒に酔いしれ、未来への一歩を踏み出す決意が、彼の心を揺さぶったのだ。

 

 俺らは、その夜、タケヨシの家で気の置けない仲間たちと共に過ごし、翌日、ガンちゃんのサンパチで学校へと向かった。

 

 時間はすでに午後、彼らの足取りは重く、しかし確かなものだった。

 

 今日は、サッカー部への入部届を出す最終日。

 

 俺らは、部室へと向かった。

 

 扉を開けると、そこには部員たちの熱気が満ちていた。

 

「俺たち、サッカー部に入りたいけど、部長はいる!?」

 

 俺の声に、部屋の空気が一瞬で変わった。

 

「君たちは1年生だよね?」

 

 そこに立っていたのは、二年生のスギヤマだった。

 

 彼の声には、先輩としての威厳と、どこか不安げな響きが混じっている。

 

「そうすか! スギヤマパイセンよろしくっす!」

 

 ガンちゃんの返事は軽く、しかし彼の中には、これから始まるサッカー部での日々への期待が膨らんでいた。

 

 しかし、そんな軽やかな雰囲気も束の間、校庭に出た彼らの前に、過去の因縁を持つ小柄なヤロー、ナカムラが現れる。

 

 タケヨシとナカムラの間には、見えない緊張が漂っていた。

 

 過去の傷が、まだ癒えていないことを物語っていた。

 

「もう、おまえの傷は治ったの!?」

 

 ナカムラの言葉は、鋭いナイフのように空気を切り裂いた。

 

「前の話じゃんか!? ダイスケちゃん。高校では仲良くよろーよ!」

 

 タケヨシの返事は強がりで、しかしその声には震えがあった。

 

 その時、部長の声が彼らを現実に引き戻す。

 

「おーい! みんな集合な!」

 

 青春の一コマは、このようにして始まった。

 

 互いに誤解と不安を抱えながらも、俺らはサッカーという共通の目標のもとに集まった。

 

 これから俺らを待ち受ける試練と喜び、そして成長の物語が、今、幕を開けようとしていた。

 

 サッカー部という新しい世界で、俺は何を見つけ、何を学び、そして何を超えるのか。

 

 

 

笑いと挑戦のサッカー部日記~新一年生の成長物語

To BE CONTINUED🔜

 

 

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