ガンちゃんVSアンドレ・ザ・ジャイアント
【121話】
「はぁ、離せよ!コラぁ!」
俺たちは、あまりの身長とパワーに唖然とした。
こいつは、人間じゃねぇ~。
・・・
アンドレの顔はゆがみ、ガンちゃんを床に落とす。
床に落されたガンちゃんは、すぐに立ち上がり、アンドレに殴りかかろうとするが、ケンキチロウ達二年に三人がかりで取り押さえられた。
「おい!大男〇ろしてやるよ!」
かなり、興奮しているガンちゃん。
アンドレも急所は弱かったみたいだ。
そうとう痛かったのか、アンドレの目に薄っすらと涙が。
ガンちゃんの興奮は1分ほど続いた。
「もう、いいよ。離せよ!俺は今を持ってサッカー部を辞めるから~よ!」
そして、ガンちゃんは教室を出て行った。
ガンちゃん、一時間で部活を辞めるのは、早すぎるだろ!?
『短気は損気』
俺は小学時代、校長先生が話してくれた言葉を思い出していた。
・・・
「お~い!一年。今から自己紹介をしてもらう!名前と出身中学と兄弟構成を話せ。じゃあ、右前から!」
「あ、はい。〇〇中学出身のカキヤマ・ハジメです。兄弟はいません」
「はい!次はカキヤマ君の後ろの席ね~」
二年は何で兄弟を聞いているかな!?
・・・
「地元の〇〇中出身のアマトウ・タケシです。兄弟は三つ上にアニキがいます!」
「三つ上のアマトウって、この学校の卒業生のアマトウ先輩の弟か!?」
「はい。そうです!」
二年が少しざわつく。
「そうか!タケシ君よろしくな!」
あぁ、そう言うことかぁ。
縦社会のこのご時世、怖い先輩には絶対服従。
その弟を知らずにシメたら問題になるってか!?
それにしても、アマトウって俺と同じくらいのタッパがあるなぁ。
控えめのボンタンに中ランって、俺とセンスが同じじゃんか!?
しかし、子悪党感がモロに顔に出ている。
・・・
「東中出身のナカムラ・ダイスケです。兄弟は妹がいます!」
「はい。次」
タケヨシがビビってたダイスケは、ジュンジとヒロシと同じ東中なんだ!?
・・・
そして、俺の番が来た。
「〇〇中出身の〇〇108です。妹が一人います」
「お前が一年で7位の〇〇108か!?期待してるぞ!」
アイパー男が俺に興味を持ったみたいだ!?
サッカー部では、一番の運動神経だと思うが、それだけじゃないと思う。
俺の地元は、県内でも有名なサッカータウンになりつつあった。
県内でも関東でもベスト4に入る強豪校。
それは、松山先生の指導力のお陰だと思う。
・・・
でも、期待には応えられない。
俺は小学時代は補欠だったし、中学では野球部だった。
高校ではラグビー部に入る予定だったが、ひょんなことからサッカー部に入部することになった。
俺を誘ったガンちゃんは、一時間で辞めてしまった。
・・・
「〇〇中出身のスザキ・ケンタです!中学ではサッカー部のキャプテンをしていました!兄弟はいません」
「スザキ、お前のポジションは!?」
「はい!俺はフォワードをしてましたが、ミッドフィルダーも出来ます!」
「そうか!スザキも期待してるぞ!」
アイパーは、この自己紹介で、人選をしてるのかもしれない。
ところで、あのなりでアイパーはサッカー部なのか!?
・・・
「北中出身のハクネ・タケヨシっす。一人っ子ですが、先輩たち俺のこと虐めないでくださいね~」
「お前が北中のハクネ・タケヨシね!?高校ではサッカー部潰すなよ!」
「はい!真面目にサッカーやりま~す!」
タケヨシのしゃべり方は、敬語こそ完全に先輩をなめてるしゃべり方だ。
・・・
「はい!これで、自己紹介終わり。次は声出し練習!」
声出し練習って何だろ!?
「お前ら、今日から俺たち先輩に会ったら、外でも挨拶すること!俺たちの顔が見えたら『チョワース!』って腹の中から声を出すんだぞ!それじゃ、カキヤマから」
このなダサい挨拶を外でもするって恥ずかしすぎる。
「チョワース!チョリース!チョワース!」
「声が小さい!もう一回!」
そして、ケンキチロウ達は、竹刀で机を叩く!?
・・・
「声が裏返ってるぞ!もう一回!」
ここは、軍隊なのか!?
今は昭和じゃない、平成だぞ!
全然気合が入らない俺は、50回くらい『チョワース!』を言わされた。
結局1時間以上も『チョリース!』だけで、時間が費やされた。
喉が枯れたので、次の日は部活をサボり、タケヨシのプレハブ部屋で、ガンちゃん達とバドワイザーを飲んでいた。
・・・
To BE CONTINUED🔜