108 Blog

If you can dream it, you can do it.

喧嘩両成敗なのか!?

【116話】

 

教室に戻るとキムラが話しかけてきた。

 

「108君、凄いよね!」

 

クラスメイトの評価は上々。

 

授業も終わり、下駄箱に向かう。

 

「108君、一緒に帰ろう!?」

 

振り向くと、そこにはキムラがいた。

 

ちょっとホモっぽくて気持ち悪いが、まぁ、いいか。

 

タケヨシは、ジュンジ達と話していたし。

 

・・・

 

「108君は、鍛えてるの?」

 

「高校入学が決まってからは、あまり鍛えてないなぁ~」

 

推薦入学が決まってから、ホットしたのか、俺は酒と煙草を始めた。

 

ラグビー部のレベルも高そうだし、そろそろ鍛え始めようかなぁ~」

 

「キムラは、テニス部だっけ?」

 

「そうだよ。来週入部届けを出す予定だよ!新しいラケットも買ったし、今から楽しみなんだよねぇ~」

 

「へぇー、そうなんだ!キムラも筋トレしてるの?」

 

俺は筋トレマニアなので、よく聞いてしまう。

 

「中学生からテニスを始めて、それから毎日欠かさず筋トレはしてるよ!風邪引いた時と受験期間中以外はね!」

 

「見た目と違いキムラも体育会系なんだな!?」

 

・・・

 

「お~い!108ちゃん、待ってよ!?」

 

「おぉ!タケヨシか!?」

 

「一緒に帰ろうって言ったべ!」

 

「あぁ、おまえジュンジ君達と話してただろ?」

 

「声掛けてくれもいいべ?」

 

「そうだな、一緒に帰るか!」

 

「おぉよ!108ちゃん!!」

 

タケヨシは、人懐っこい調子のいい奴だと思った。

 

・・・

 

タケヨシがキムラを見る。

 

「ところで、何でお前がいるの!?」

 

タケヨシは、キムラを睨めつける。

 

キムラは何も話さないで、タケヨシの顔を見ている。

 

「お前のことを言ってるんだよ!キ・ム・ラ!!」

 

タケヨシは、キムラの頭をポンポンと叩く。

 

キムラはタケヨシの手を払った。

 

「触るんじゃなーよ!!」

 

キムラが吠えた!

 

「はぁ!?キムラのくせに生意気な口を利くなよ!お前やっちゃうよ!!」

 

タケヨシのこの凄味は、修羅場を何度もくぐっていると直感で分かった。

 

キムラはタケヨシの一方的なヤンキー台詞に一言返すのがやっとだ。

 

俺は、二人を止めるかどうか迷ったが、殴り合っている訳じゃないし、そもそも二人のことをまだ知らない。

 

そして、タケヨシが一方的に言い負かしたなと思っと瞬間、キムラが突然キレて奇声を上げながらタケヨシに殴りかかった。

 

キムラは、タケヨシの顔面目掛けて右のストレートを出す。

 

タケヨシは、パンチを掻い潜り顔面にジャブを入れる。

 

足のステップを使って体全体を動かしてるタケヨシ。

 

こいつ、ボクサーだな!?

 

キムラは後退するが、軽いジャブ一発が入っただけなので、キムラはひるまずにタケヨシに殴りかかる。

 

キムラは、素人丸出しのワンツーを出すが、ワンツーを綺麗にかわしジャブ・ジャブ・ストレートでキムラをダウンさせた。

 

キムラは鼻血ブーでうずくまる。

 

「おい!キムラ。お前もう学校に来るんじゃねぇぞ!わかったか!?」

 

そして、キムラに唾を吐いた。

 

「ゴメン!108ちゃん、帰ろうぜ!」

 

こいつは、気に入らないだけで人を殴り、唾を吐く。

 

タケヨシは、俺の小学時代よりも悪いぞ!

 

キムラも可哀そうだけど、最初に手を出したキムラも悪い。

 

喧嘩両成敗だと思い、俺はタケヨシに何も言わなかった。

 

明日、キムラが学校に来て、タケヨシがちょっかいを出そうとしたら、止めよう。

 

・・・

 

しかし、キムラは次の日も、その次の日も学校に来なかった。

 

・・・

 

 

 

バラ色の高校生活とは程遠い

To BE CONTINUED🔜

 

 

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柔道最強決定戦

【115話】

 

入学早々、スポーツテストがあった。

 

結果は、一学年240人中7位だった。

 

因みにトップ20は、全てラグビー部。

 

1位は、同じクラスのケイイチ。

 

「108ちゃん、凄いね!ラグビーに入らないの!?」

 

身長は170cmくらいで、範馬刃牙みたいな体のケイイチが話し掛けてきた。

 

「サッカー部にするか、ラグビー部にするか迷ってるよ」

 

・・・

 

「俺たちラグビー部は、花園を目指してて、108ちゃんも一緒に行こうよ!」

 

まさかのクラスメートからのヘッドハンティング

 

「108ちゃんは、足も速いし、持久力もあるし、パワーもあるし、ナンバーエイトかウイングで活躍できるよ!絶対に!!」

 

気づいたら、他のラガーマンにも囲まれていた。

 

俺が、ケイイチ達からオファーを受けたのは、スポーツテストの結果が良かっただけじゃない。

 

・・・

 

昨日の体育の授業は、柔道だった。

 

トーナメント方式で、俺は順当に勝ち上がり決勝戦に辿り着いた。

 

準々決勝はラガーマン、準決勝は柔道部だった。

 

そして、決勝の相手は、ヒロシだ。

 

187cm、82kgの喧嘩負けなし、元副番の厳つい男。

 

目の前で、構えるとかなりの迫力でメチャデカい。

 

デカいやつの勝負するのははじめてだった。

 

中学入学前に柔道部のイワサキに一方的に投げられた以来の大男。

 

俺は、本気で勝負できるのが嬉しかった。

 

中学生活は、一方的に殴られるのが多かったからだ。

 

本気で勝負するのは、3年ぶりだ!

 

組んだ瞬間のヒロシのパワーは凄かった。

 

しかし、投げられるわけにはいかない。

 

そして、何度も投げようとチャレンジするが、巨漢のヒロシの足腰はしっかりしていて中々投げさせてくれない。

 

3分間、俺とヒロシの攻防が続いた。

 

そして、残り1分、凄い歓声が上がった!!

 

誰もが、ヒロシが断トツ優勝だった思っていたのだろう!?

 

「108ちゃん、マジスゲーぞ!後世に残る名勝負だー!」

 

何だか柔道場は、メチャメチャ盛り上がっているぞ。

 

アドレナリンが分泌が半端ねー!

 

ヒロシは、鬼の形相だ!?

 

気合が十分に伝わってくる。

 

俺は、一度押し、そして一気に引いた。

 

おぉっ!やっと倒れたぞ!?

 

そのまま、締め技に入ろうとするが、ヒロシも凄いパワーで押し返す。

 

ここでヒロシに勝てば、取り敢えずA組最強の称号をもらえる!?

 

・・・

 

そして、やっと並十字絞めが決まる!

 

ヒロシの押し返しが半端ねー。

 

凄い気迫だけど絶対に負けたくない。

 

「有効!・・・終了!」

 

有効を取ったところで、時間終了してしまった。

 

あと10秒あれば、一本だったのに残念。

 

そして、拍手喝采

 

あれ!?顔が痛いぞ。

 

顔に手を当てると血が付いていた。

 

ヒロシの爪が俺の皮膚をえぐったのだろう。

 

その後、ジュンジ、タケヨシ、イワモトがやたらと俺に話し掛け来るようになった。

 

イワモト「108、気合入ってたぞ!」

 

ジュンジ「108ちゃん、ヒロシと互角に闘った男を始めて見たよ!」

 

タケヨシ「108ちゃん、今日一緒に帰ろうぜ!」

 

ハヤト「108ちゃん、ヒロシ君相手にマジになるなよ!?」

 

ハヤトだけは、ボソッと耳元で囁くように言った。

 

・・・

 

因みに、ヒロシとジュンジはラグビー部だ。

 

この二人は、ラグビー推薦組で入学したらしい。

 

そのヒロシにパワー負けしなかったことが、ラグビー部に認められたのだろう。

 

・・・

 

 

 

喧嘩両成敗なのか!?

To BE CONTINUED🔜

 

 

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番長やキャプテン達が集まる教室

【114話】

 

「マジかよ!?東中のジュンジ君とヒロシ君じゃねぇ!?同じ学校かよ!?」

 

「リーゼントパーマのお兄さん。あの二人って大物なの?」

 

「あの二人は、東中の番長と副番長だよ!ジュンジ君の兄貴は、俺たちの地元の暴走族にも所属してる極ヤンで、ヒロシ君は喧嘩負けなしって噂だよ!」

 

ヒロシって、レイコちゃんをナンパしたゴツい顔の大男じゃんか!?

 

ジュンジは、165cmの小柄だけど、どことなく大物感がある。

 

アイパーにソリコミ、細目のボンタンに程よい丈の短ラン。

 

喧嘩も強そうだけど、ヒロシの方が数倍強そうだ!?

 

「ヒロシ、俺たちA組だよな!?」

 

「そうだよ。ジュンジ君」

 

あれ!?大男が君付けで、小柄が呼び捨てって。

 

あの二人、上下関係が出来てるのか!?

 

つうか、俺と同じA組じゃんか。

 

南中の番長ハヤトと副番のゴトウ。

 

東中の番長ジュンジと副番のヒロシ。

 

・・・

 

「ジュンジ君、ヒロシ君、俺、西中出身のタケヨシって言うんだけど、よろしくね!」

 

二人のことを解説してくれたリーゼントは、タケヨシって奴らしい。

 

こいつの風貌と調子の良さも只者じゃないな。

 

どことなく雰囲気が同中のマツダに似ている。

 

・・・

 

ざわざわ。

 

またもや体育館がざわついた。

 

あの特徴的な歩き方は、ピンクマン。

 

「ヒロシ、アイツのピンクのエナメルベルトだぜ!?センスは置いといて気合入ってるな!?」

 

「ジュンジ君、俺がやっちゃっていいかな?」

 

入学初日に物騒な会話だ。

 

あれ!?ピンクマンもA組だぞ!

 

「カッコいいね!そのドカン。俺、ハヤトって名前だけど、何て名前!?」

 

ハヤトは、自己紹介をする。

 

俺、タケヨシ、ジュンジ、ヒロシ、ピンクマンって、変形学ランを着てる奴だけじゃん!?

 

「おう!俺はイワモトじゃ!ハヤトって言ったっけ!?仲良くやろうや!」

 

ピンクイワモトの話し方は、まるでチンピラだった。

 

またもや笑いそうになったけど、こいつは見た目に反していい奴かもしれない。

 

・・・

 

入学式が終わり、教室へ。

 

気づいたら、ハヤト、タケヨシ、イワモト、ヒロシの四人がジュンジの席の前で、楽しく話している。

 

やっぱり、ヤンキーはつるむのが早いね!?

 

「おい!おまえら席に着け!」

 

教室に入って来たのは、爽やかな男。

 

「俺の名前は『ノダ・ヤスヒト』大学空手選手権で全国三位になったことがある!今年からおまえらの担任だ!よろしく!押忍!!」

 

見た目は爽やかだけど、かなりの体育会系みたいだ。

 

自己アピールするってことは、俺たちになめられたくないのだろう。

 

ノダは、社会人一年生で、人生初のクラス担任が俺たちのA組。

 

ノダは当たりの先生なのか?

 

外れた場合は、最悪の一年間になるかもしれない。

 

・・・

 

入学初日は、無事に終わった。

 

そして、俺の高校生活が始まった。

 

小学時代は、心身ともにハードだった。

 

中学三年間は、勉強に部活に恋に真摯に向き合った。

 

総合すると、俺の九年間はストレスフルだった。

 

高校生活のテーマは『自由に生きる』に限る。

 

・・・

 

二日目の朝。

 

「108くん、俺、アクツ。よろしくねぇ~!」

 

俺の右斜め前に座っているアクツ。

 

こいつの髪型は特徴的だった。

 

右目が完全に隠れてるサイドバック

 

そして、左側はハードジェルでツンツンにしている。

 

俺の前の席がハヤトだから、前列は「BUCK-TICK」だ。

 

アクツもボンタン&短ランを着ているが、160cmくらいと小柄で童顔だ。

 

語尾がかなり上がるのもアクツの特徴。

 

まぁ、いい奴っぽいけど、どことなく子悪党なオーラも出ている。

 

・・・

 

俺の後ろの席は、真面目な学生代表的な男、キムラ。

 

まぁ、席が近い奴から仲良くなるのが、クラス替え直後のセオリーだ。

 

俺は、真面目な奴でも、ヤンキーな奴でも、いい奴だったら友達になりたい。

 

・・・

 

そして、次の日。

 

「108ちゃんは、何部に入るの?」

 

聞いてきたのは、アクツだった。

 

ハヤトが108ちゃんって呼ぶから、いつの間にか『108ちゃん』と呼ばれていた。

 

俺は内心、この呼び方を気に入っていた。

 

ラグビー部かサッカー部で迷っているけど、アクツは?」

 

「俺はサッカー部に入るよ~」

 

「そっか、ハヤトは?」

 

「俺はバンドマンだから、帰宅部だな!」

 

「そっか、キムラは?」

 

「僕はテニスに入ろうと思う」

 

「そっか、皆もう決めてるんだ!?」

 

ラグビー部に入る予定だったけど、少し迷いが出ていた。

 

中学三年間は、仕方なく野球部だった。

 

まぁ、やってみたら楽しかったけど、俺はやっぱりサッカーがしたかった。

 

小学時代の松本先生やトモオ君との約束もあるし。

 

・・・

 

〇〇工業高校は、ラグビー部と柔道部が強い。

 

ラグビー部の監督は、元日本代表。

 

柔道部の先生は、ロサンゼルスオリンピックで金メダルと取った『山下泰裕』の指導もしていたみたいだ。

 

サッカー部の情報は何もない。

 

・・・

 

クラスを見渡すとラガシャツを着てる奴が5人くらいいる。

 

こいつらは、中学時代、ラグビー部の中心選手(キャプテンや副キャプテン)だったみたいだ。

 

スポーツ推薦や腕自慢で入部するやつの多い。

 

中学時代のフユヤマみたいな奴らが同学年に何十人もいる。

 

まぁ、入部するまで三週間もあるので、見学をしてから決めよう。

 

・・・

 

 

 

柔道最強決定戦

To BE CONTINUED🔜

 

 

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ヤンキーだらけの入学式

【113話】

 

今日は、高校の入学式。

 

俺は、母に買ってもらったマウンテンバイクに乗り、ペダルを高速回転させて駅に向かう。

 

春休みの間、マウンテンバイクをチェーンアップした。

 

エンジンはないけど、ニューサドル、泥除け、速度メーター、ハンドルカバー、ドリンクホルダー、ニューグリップを装着。

 

メチャクチャ快適だ!!

 

長い下り坂だと最速69kmまだ出せる。

 

そして、車をインサイドから抜くのがメチャ快感。

 

ぶっちゃっけ、バスで通うよりマウンテンバイクの方が早い。

 

家から駅までは、約25分。

 

往復50分、筋トレのも最適だ!

 

駅に着きケンジと合流し、電車に乗り込む。

 

近くの普通高校はブレザーで、女子高はセーラー服。

 

周りを見渡すと、学ランを着てる奴らも沢山いる。

 

こいつらは、きっと、同じ高校の同級生。

 

おぉっ!ソリコミ、ボンタン、ドカン、短ラン、中ランとバリエーションが豊富だ!?

 

さすがに長ランは、時代遅れなのか電車では見かけなった。

 

「108の中ランとボンタンも決まってるな!」

 

「だろ!・・・あれ!?ケンジは標準じゃん??」

 

「俺は、目立ちたくないから、標準でいいよ!」

 

「いいや、おまえのは標準じゃないな!?そんなワイドな学ランはない!」

 

「それが、俺みたいなデブ体系に合う標準学ランも売っているんだよ!」

 

へ~・・・

 

「あれ!?レイコちゃんじゃない?」

 

ケンジが指さす方を見ると、確かにレイコちゃんだ。

 

「おぉっ!レイコちゃんも、入学初日から、赤い口紅にミニスカじゃん!?ケバいねぇ」

 

・・・

 

「108、レイコちゃん、速攻ナンパされてるぞ!?」

 

小一から知ってる、おてんば娘のレイコちゃん。

 

気にしたことは、一度もなかったけど、こう見ると電車の中でも一際かわいいかも!?

 

「それにしても、極ヤンにナンパされてるな!?」

 

ナンパしてる奴は、185cm以上はありそうだ。

 

角刈りにソリコミが入っている。

 

ワタリ45cm位はあるボンタンに長ランを羽織ってる!?

 

顔付も岩みたいにゴツい。

 

入学前にナンパする度胸も凄いが、長ランを着るこいつはきっと大物だな。

 

要チェックだな。

 

・・・

 

最寄り駅に着き、学校に向かい歩いていると。

 

亀のようにゆっくりと歩いてる奴がいる。

 

本当に遅い、90歳のお爺ちゃんより遅い。

 

斜め横に足を出すスローな歩き方。

 

そう、これは、ビーバップハイスクールの出て来るテルの歩き方。

 

今時、そんな歩き方は、チンピラでもしない。

 

歩き方だけじゃない、こいつのベルトは、ピンクのエナメルだ!?

 

ドカンに短ラン、そして、ピンクのエナメルベルト。

 

さっき奴といい、こいつといい、入学初日から目立ち過ぎだ!

 

そもそも、〇〇工業高校は、偏差値52~57ある。

 

こいつらは、明らかに偏差値20台の素行だ。

 

中学時代にセキヤマが般若の刺繍が入った短ランを着ていたが、それは中学生の若気の至り。

 

高校生と言ったら、バイクにも乗れる大人だ。

 

・・・

 

まぁ、何れにしても、楽しい高校生活になりそうだ!?

 

俺は、ドキドキワクワクしていた。

 

そして、入学式の会場である体育館に入る。

 

あれ!?ヤンキーがかなり多いぞ!?

 

俺と同じ機械科だけでも、10人以上はいる。

 

・・・

 

俺の席は、A組だからここかな!?

 

「俺、ハヤトって名前だけど、何て名前!?」

 

何だ、こいつ、馴れ馴れしいな。

 

しかも、こいつの格好はダサい!?

 

髪型は、パンクみたいにツンツンで、ソリコミが入っている。

 

ベースは黒髪だけど、金色のメッシュが入っている。

 

ボンタンに超・超・短ラン。

 

ビーチク下、10cmくらいしか丈がない。

 

こんな、短ラン存在するのか!?

 

そして、ベルトは白いエナメル。

 

・・・

 

まぁ、ニコニコしてるし、敵意はないようだ。

 

「俺は108、ハヤトよろしくな!」

 

「おう!よろしくな!108ちゃん!?」

 

ちゃん!?・・・

 

ハヤトは、俺の一つ前の席だった。

 

「番長。チワース!!」

 

「おう!ゴトウも来たか。ところで、今日から俺のことハヤト君って呼べ!番長はハズイだろ!?」

 

後から、聞いた話だけど、ハヤトは中学では番長、ゴトウは副番長だったらしい。

 

それにしも、今時、番長に副番長って昭和かよ。

 

俺は、笑いを堪えるのに必死だった。

 

・・・

 

まだ、生徒は半分くらいかな。

 

ざわざわ。

 

体育館がざわつくき始めた。

 

もしや、大物の登場か!?

 

・・・

 

 

 

番長やキャプテン達が集まる教室

To BE CONTINUED🔜

 

 

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寂しい別れ

【112話】

 

始発のバスに乗り、カオリが俺の町にやっていた。

 

正確に言うと、カオリは俺の町をバスで通過するだけ。

 

俺は最寄りのバス停から、バスに乗り込む。

 

「良かったよ~。108が乗ってこなかったどうしようと思ったよ!」

 

「カオリは大袈裟だなぁ~。乗り遅れないように15分も前からバス停で待っていたよ!」

 

そう、今日は俺とカオリの卒業旅行。

 

日帰りなのが少しだけ残念だけど、カオリと1日一緒に過ごせるのは嬉しい。

 

駅に着き、ディズニーランドまでの切符を購入した。

 

「108、忘れずに第二ボタン持って来てくれた!?」

 

「うん、どうぞ!俺の第二ボタン」

 

「ありがとう!でも、本当にこれ第二ボタン!?」

 

「えぇっ!?な、なんで?」

 

カオリは、鋭いところがある。

 

見てないようで、人のことを良く見ている。

 

「だって、第二ボタンに付いてる裏ボタンが第三ボタンの裏ボタンだよ!?」

 

俺も忘れていたが、俺の裏ボタンは、5つとも異なる。

 

カオリは、いつの間にか裏ボタンまでチェックしてたんだ!?

 

俺は、あたふたしながらも、何とか誤魔化した。

 

「まぁ、そう言うんだったら、信じよう。ところで、卒業式に108のボタンをもらいに来る人はいなかったの!?」

 

カオリは、俺の卒業式を覗いてたのかと言うくらい、的確に指摘をしてきた。

 

「俺がボタンを渡したのは、カオリだけだよ!」

 

俺は、嘘をついてしまった。

 

カオリは、怪しんでいたが、それ以上のツッコミはなかった。

 

・・・

 

ディズニーランドでは、カオリに合わせて乗り物に乗ったり、食べたい物を食べた。

 

嘘をついたせめてもの償い。

 

エレクトリカルパレード見たかったけど、そろそろ帰らないとね!?」

 

「あぁ、もうこんな時間か!?高校生になったら、今度は泊りで来よう!」

 

「うん。そーしよ~。絶対に約束ね!」

 

・・・

 

俺たちは、出口に向かったが、混んでいるのと土地勘がないので、なかなか出口に辿り着かない。

 

しかも、トイレに行きたくなった俺たちは、トイレに寄る。

 

男子トイレは混んでなかったが、女子トイレは渋滞だった。

 

また、乗り継ぎが悪かったのと、途中で人身事故があり、更に大幅に帰りが遅くなってしまった。

 

そして、バス乗り場がある駅に着いた時は、もう20時を過ぎていた。

 

「帰りのバスは、20:23だね。カオリは大丈夫?」

 

「うん。家に電話してくる」

 

・・・

 

「お母さんが、駅まで迎えに来てくれるって!」

 

20:18のバスに乗り、俺は30分後に下車する。

 

そこから、カオリが住む町の最寄り駅まで、約40分もかかる。

 

カオリが到着するのは、21:30を過ぎてしまう。

 

・・・

 

俺たちは、バスに乗り込み、たわいもない話をしていた。

 

「ところで、108は高校では何部に入るの?」

 

一瞬、ドキッとしたけど、嘘をついても仕方がないので、ラグビー部に入ることを伝えた。

 

「○○工業高校のラグビー部ってかなり強いよね!?」

 

「良く知ってるね!?前回は準優勝だったから、今年は優勝を狙ってるみたいだよ!スポーツ推薦でも全国から優秀なラガーマンがたくさん入部するって噂だし、俺も今から楽しみだよ!」

 

・・・

 

「そんな強豪校のラグビー部に入部したら、108の休みはないよね!?」

 

「うん。でも、時間を作ってカオリに会いに行くから。あ、ごめん!?ここだから降りるね」

 

変なタイミングで、最寄りのバス停に着いてしまった。

 

別れ際のカオリの表情は、とても寂しく見えた。

 

・・・

 

 

 

ヤンキーだらけの入学式

To BE CONTINUED🔜

 

 

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早稲田大学VS慶応義塾大学

【111話】

 

今日は、中学校の卒業式。

 

入学式はハードだったけど、卒業式は何事もなく終わった。

 

「108、記念写真撮ろうぜー!!」

 

タキタ、ケンジ、パチオ、クワタ、シンジ、リンちゃん、マドカちゃん、ユウコちゃんの9人で写真を撮った。

 

ユウコちゃんは、ケンジの彼女。

 

最近、サモハンキンポー似のケンジにも彼女ができた。

 

従兄のリョウジ君もそうだけど、デブはモテる。

 

人は中身も重要だと思い知った。

 

サモハン・ケンジは、俺と同じ〇〇工業高校に一般入試で受かっていた。

 

「科は違うけど、高校でもよろしくな!サモハン・ケンジ!!」

 

「おい!サモハン言うな!・・・よろしくな!108」

 

同じ中学から〇〇工業高校に入学することになったのは、ケンジ、マサオ、レイコの4人。

 

マサオは幼馴染だけど、いろいろとあって今はつるんでない。

 

レイコちゃんは、小学生の時はおてんば娘、中学からは女性になっていた。

 

どちらかというとヤンキー側で、野球部のコジマと付き合っていた。

 

噂だと、コジマは〇〇工業高校に野球推薦で入る予定だったけど、落ちたらしい。

 

コジマの球速は、エース級だったけど、ノーコンだし、素行が悪い。

 

おまえが受かるはずがないと俺は思った。

 

レイコちゃんは、コジマと同じ高校に行きたくて〇〇工業高校を受験して受かった。

 

しかし、レイコちゃんは、可愛そうだ。

 

彼氏がいないのに工業高校って・・・

 

・・・

 

「108くん、第二ボタンもらっていいかな!?」

 

俺のボタンは、カオリに渡す約束をしていた。

 

「いいよ!どうぞ」

 

「ありがとう!私の宝物にするね!!」

 

やっぱり、マドカちゃんの笑顔はドキッとする可愛さがある。

 

まぁ、カオリには、第三ボタンを第二ボタンに移動して渡せば良いか!?

 

バレることはないので、それくらいいいよね。

 

・・・

 

 

春休み期間にオヤジとラグビーの試合を見に行く。

 

早稲田大学VS慶応義塾大学。

 

試合を生で見るのは初めてだった。

 

「やっぱり、大学生は体がデカい!?」

 

今の俺は181cm、75kgと普通体系。

 

しかも、中三の冬で成長が止まってしまった。

 

理由は、たぶん、酒と煙草を始めたからだと思う。

 

両親やカオリには内緒にしていたが、俺は隠れて酒と煙草をやっていた。

 

在学中は、登校前と下校中、そして夕食後に外に出て吸っていた。

 

春休みになってからは、酒もコンスタントに飲み始めていた。

 

基本、夕食後、自分の部屋で飲んでいたが、親にバレることはなかった。

 

・・・

 

中三で181cmだったので、高校では185cmオーバーになる予定だったのに、思い通りに体は成長しなかった。

 

早稲田大学VS慶応義塾大学の試合は、興奮そのものだった。

 

「おまえの高校もラグビー強豪校だろ!?ホントに大丈夫か?」

 

オヤジは、ヤンチャ坊主だったくせに俺に対しては、とても慎重だった。

 

中一の時に空手をしたいと言った時も、空手なんかしたら鼻や歯が折れるぞって言って、空手をやらせてもらえなかった。

 

俺の頭をカチ割ったくせに、良く言うよと思っていた。

 

「問題ないよ!俺は〇〇工業高校でラグビーをするよ!」

 

・・・

 

そして、後半戦。

 

タックルが首に入ってしまい倒れてしまった。

 

動かないラガーマンは、すぐに担架が乗せられ退場する。

 

「あれは、ヤバい倒れ方をしたから、もうダメかもな!?」

 

その後、運ばれたラガーマンは試合には戻らなかった。

 

やっぱり、ラグビーはメチャハードだな!

 

少しだけ、ビビったが、俺の決意は変わらなった。

 

そして、試合終了。

 

ラグビーをやめた方がいい!打ち所が悪いと下半身不随になるぞ!耳も潰れて女にモテなくなるぞ!」

 

オヤジは、俺にラグビーをやらせないつもりだ。

 

しかし、俺はもう、大人な高校生だ!?

 

オヤジの言うことなんか聞いてられっかよ。

 

「オヤジが何と言おうと俺は、ラグビーをするよ!」

 

・・・

 

 

 

寂しい別れ

To BE CONTINUED🔜

 

 

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カオリの合格発表

【110話】

 

最近、カオリと会っていない。

 

俺が推薦合格したので、塾をやめたのと、カオリが今まさに受験勉強中だからだ。

 

合格後、カオリにお祝いをしてもらったのが最後。

 

もうかれこれ1カ月は会っていない。

 

でも、受験勉強は今日で終わり。

 

明日、入学試験なので、カオリも受験勉強から解放される。

 

俺は、カオリを勇気づけたくて電話をした。

 

「もしもし、勉強中だったか?」

 

「明日に備えて寝ようとしてたとこだよ。今さらジタバタしてもしょうがないしね!」

 

カオリは、竹を割ったような性格だ。

 

そんな、カオリの性格が俺は好きだった。

 

俺は、様々な苦い経験から、いろいろと考えてしまう。

 

俺とカオリは対照的なのかもしれない。

 

「カオリだったら、大丈夫だよ!」

 

「うん。明日は108にもらったHBのシャープペンの芯を使うね!」

 

「おう!合格したら、カオリが行きたかった『ディズニーランド』に行こう!!」

 

「行きたい!絶対合格するね!!」

 

カオリの成績だったら、絶対に受かると思う。

 

俺たちは、受験生だったこともあり、まだ遠出をしたことがない。

 

ぶっちゃけ、ディズニーランドには興味がないけど、カオリが喜んでくれれば、俺も幸せだ。

 

カオリが無事に合格しますように!

 

俺は、神頼みをしていた。

 

・・・

 

 

そして、合格発表の日。

 

カオリの手ごたえは、二重丸みたいだ。

 

俺は、カオリからの連絡を待った。

 

あれ!?もう、20時過ぎたけど、カオリからの電話が鳴らない。

 

・・・

 

きっと、家族とお祝いをしてるのかな。

 

22時まで待っても電話が鳴らないので、俺は寝ることにした。

 

・・・

 

翌日、19時過ぎに電話が鳴った。

 

俺は、電話に滅多に出ないけど、カオリだと思い電話に出た。

 

「あれ!?108だよね?」

 

「うん。そうだよ!ところで、どうだった!?」

 

「それがね、落ちちゃった。たぶん面接が原因だと思う」

 

「マジか!?カオリの成績だったら絶対受かると思ったのに・・・」

 

「志望校の面接時に、髪を後ろで束ねないといけなかったの。たぶん、ピアスの穴を見られたのかも?」

 

「そうか、残念だね・・・」

 

受かっていると思っていた俺は、それ以上カオリに掛ける言葉がなかった。

 

「でも、滑り止めの高校には受かったから、そっちの高校に行くから問題なしだよ!」

 

メチャ悔しいはずなのに、カオリは意外と明るかった・・・

 

あんなに勉強を頑張っていたのに報われない事ってあるよね。

 

・・・

 

「高校生になったら、108とは離れちゃうね」

 

そう、俺とカオリの家は、二つ隣の町。

 

そして、俺は東に二つ先の高校に行く。

 

カオリは、西に二つ先の高校に行くことになった。

 

学校帰りに会うことは物理的に無理なので、会えるのは学校が休みの日になる。

 

しかし、俺は〇〇工業高校では、ラグビー部に入る予定だ。

 

○○工業高校のラグビー部は、県内でも強豪校。

 

休みがなく練習があるので、練習後にカオリに会うことができない。

 

カオリが四つの町を越えて俺に会いに来てくれば、会うことは可能だけど、距離的に難しい。

 

カオリの町からバスに乗り約80分、そこから電車に乗り5駅。

 

部活が終わるのが18時だとして、そこから1時間会って19時。

 

電車やバスの本数も少なめなので、タイミングが悪いとカオリの帰りは21時過ぎになってしまう。

 

・・・

 

「カオリは高校生になったら、やりたいことはあるの?」

 

「そうだね、アルバイトしてお金を稼ぎたいなぁ」

 

「へー、何か欲しい物があるの?」

 

「オシャレもしたいし、108といっぱいデートしたいし、さくさん稼がないとね!」

 

俺のことも考えてくれていたカオリの気持ちが嬉しい。

 

・・・

 

「そうか!俺もバイトしてみるかな!?」

 

俺は思ってもないことを言っていた。

 

ラグビー部に入部することは、カオリに伝えられなかった。

 

・・・

 

 

 

早稲田大学VS慶応義塾大学

To BE CONTINUED🔜

 

 

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