番長やキャプテン達が集まる教室
【114話】
「マジかよ!?東中のジュンジ君とヒロシ君じゃねぇ!?同じ学校かよ!?」
「リーゼントパーマのお兄さん。あの二人って大物なの?」
「あの二人は、東中の番長と副番長だよ!ジュンジ君の兄貴は、俺たちの地元の暴走族にも所属してる極ヤンで、ヒロシ君は喧嘩負けなしって噂だよ!」
ヒロシって、レイコちゃんをナンパしたゴツい顔の大男じゃんか!?
ジュンジは、165cmの小柄だけど、どことなく大物感がある。
アイパーにソリコミ、細目のボンタンに程よい丈の短ラン。
喧嘩も強そうだけど、ヒロシの方が数倍強そうだ!?
「ヒロシ、俺たちA組だよな!?」
「そうだよ。ジュンジ君」
あれ!?大男が君付けで、小柄が呼び捨てって。
あの二人、上下関係が出来てるのか!?
つうか、俺と同じA組じゃんか。
南中の番長ハヤトと副番のゴトウ。
東中の番長ジュンジと副番のヒロシ。
・・・
「ジュンジ君、ヒロシ君、俺、西中出身のタケヨシって言うんだけど、よろしくね!」
二人のことを解説してくれたリーゼントは、タケヨシって奴らしい。
こいつの風貌と調子の良さも只者じゃないな。
どことなく雰囲気が同中のマツダに似ている。
・・・
ざわざわ。
またもや体育館がざわついた。
あの特徴的な歩き方は、ピンクマン。
「ヒロシ、アイツのピンクのエナメルベルトだぜ!?センスは置いといて気合入ってるな!?」
「ジュンジ君、俺がやっちゃっていいかな?」
入学初日に物騒な会話だ。
あれ!?ピンクマンもA組だぞ!
「カッコいいね!そのドカン。俺、ハヤトって名前だけど、何て名前!?」
ハヤトは、自己紹介をする。
俺、タケヨシ、ジュンジ、ヒロシ、ピンクマンって、変形学ランを着てる奴だけじゃん!?
「おう!俺はイワモトじゃ!ハヤトって言ったっけ!?仲良くやろうや!」
ピンクイワモトの話し方は、まるでチンピラだった。
またもや笑いそうになったけど、こいつは見た目に反していい奴かもしれない。
・・・
入学式が終わり、教室へ。
気づいたら、ハヤト、タケヨシ、イワモト、ヒロシの四人がジュンジの席の前で、楽しく話している。
やっぱり、ヤンキーはつるむのが早いね!?
「おい!おまえら席に着け!」
教室に入って来たのは、爽やかな男。
「俺の名前は『ノダ・ヤスヒト』大学空手選手権で全国三位になったことがある!今年からおまえらの担任だ!よろしく!押忍!!」
見た目は爽やかだけど、かなりの体育会系みたいだ。
自己アピールするってことは、俺たちになめられたくないのだろう。
ノダは、社会人一年生で、人生初のクラス担任が俺たちのA組。
ノダは当たりの先生なのか?
外れた場合は、最悪の一年間になるかもしれない。
・・・
入学初日は、無事に終わった。
そして、俺の高校生活が始まった。
小学時代は、心身ともにハードだった。
中学三年間は、勉強に部活に恋に真摯に向き合った。
総合すると、俺の九年間はストレスフルだった。
高校生活のテーマは『自由に生きる』に限る。
・・・
二日目の朝。
「108くん、俺、アクツ。よろしくねぇ~!」
俺の右斜め前に座っているアクツ。
こいつの髪型は特徴的だった。
右目が完全に隠れてるサイドバック。
そして、左側はハードジェルでツンツンにしている。
俺の前の席がハヤトだから、前列は「BUCK-TICK」だ。
アクツもボンタン&短ランを着ているが、160cmくらいと小柄で童顔だ。
語尾がかなり上がるのもアクツの特徴。
まぁ、いい奴っぽいけど、どことなく子悪党なオーラも出ている。
・・・
俺の後ろの席は、真面目な学生代表的な男、キムラ。
まぁ、席が近い奴から仲良くなるのが、クラス替え直後のセオリーだ。
俺は、真面目な奴でも、ヤンキーな奴でも、いい奴だったら友達になりたい。
・・・
そして、次の日。
「108ちゃんは、何部に入るの?」
聞いてきたのは、アクツだった。
ハヤトが108ちゃんって呼ぶから、いつの間にか『108ちゃん』と呼ばれていた。
俺は内心、この呼び方を気に入っていた。
「ラグビー部かサッカー部で迷っているけど、アクツは?」
「俺はサッカー部に入るよ~」
「そっか、ハヤトは?」
「俺はバンドマンだから、帰宅部だな!」
「そっか、キムラは?」
「僕はテニスに入ろうと思う」
「そっか、皆もう決めてるんだ!?」
ラグビー部に入る予定だったけど、少し迷いが出ていた。
中学三年間は、仕方なく野球部だった。
まぁ、やってみたら楽しかったけど、俺はやっぱりサッカーがしたかった。
小学時代の松本先生やトモオ君との約束もあるし。
・・・
〇〇工業高校は、ラグビー部と柔道部が強い。
ラグビー部の監督は、元日本代表。
柔道部の先生は、ロサンゼルスオリンピックで金メダルと取った『山下泰裕』の指導もしていたみたいだ。
サッカー部の情報は何もない。
・・・
クラスを見渡すとラガシャツを着てる奴が5人くらいいる。
こいつらは、中学時代、ラグビー部の中心選手(キャプテンや副キャプテン)だったみたいだ。
スポーツ推薦や腕自慢で入部するやつの多い。
中学時代のフユヤマみたいな奴らが同学年に何十人もいる。
まぁ、入部するまで三週間もあるので、見学をしてから決めよう。
・・・
To BE CONTINUED🔜