108 Blog

If you can dream it, you can do it.

レッドゾーンで幽霊橋

【91話】

 

クリスマスは、気まずい別れ方をしてしまった。

 

そして、冬休みになった。

 

アオイと冬休みに会う約束は、していない。

 

普段だったら、別れ際に次回の会う日を決めている。

 

正直なところ、今は、アオイに掛ける言葉が見当たらない。

 

俺にとって、冬休みは好都合だった。

 

・・・

 

 

晦日は、三家族が我が家に集結する。

 

シン伯父さん、ユミさん、ゲン伯父、チズルさん、リョウジ君、タケミチ。

 

俺の楽しみは、お年玉とタチミチと遊ぶこと!

 

・・・

 

俺「タケミチは、何時ごろ来るの?」

 

父「朝8時に家を出たみたいだから、渋滞してなければ、そろそろ到着するかもね~!?」

 

「ブンブブーン♪」

 

外から乾いたエンジン音が聴こえてきた。

 

俺は、窓から顔を出し、外を見る!

 

「あっ!ゲン伯父のタクシーだ!!・・・でも、タケミチが乗ってないぞ!?」

 

ゲン伯父は、白タクの運転手。

 

なんでも、タクシードライバーを10年以上すると白タクにパワーアップするみたいだ!

 

あれ!?タクシーの後ろには、スポーツカーがついている。

 

もしかして、あのスポーツカーは、リョウジ君の!?

 

スポーツカーには、薄いスモークが貼ってあるので、運転手までは見えない。

 

・・・

 

俺は、外まで、伯父さんたちを迎えに行く。

 

スポーツカーから降りてきたのは、やっぱり、リョウジ君だ!

 

俺「リョウジ君、この車どーしたの?」

 

リョウジ「いいだろう!108も後で、隣に乗ってみるか!?」

 

俺「イエース!めっちゃ楽しみー!!」

 

タケミチが俺に耳打ちする。

 

「ここだけの話、兄貴の運転やばいよ!」

 

何がやばいのかな!?

 

・・・

 

 

リョウジ「108、そろそろ、行くか!?」

 

そろそろって、家に着いてから、まだ10分も経っていない。

 

ゲン伯父「リョウジ!ドライブは、常に安全第一だぞ!!」

 

リョウジ「りょうか~い!おい、タケミチも行くぞ!」

 

・・・

 

タケミチ「俺は、疲れたから、108と二人で行ってくれば!」

 

あの、タケミチのノリが悪い。

 

・・・

 

 

タイヤとホイールも変えているし、内装もメチャクチャカッコいい!!

 

俺「この車ってソアラだよね?」

 

リョウジ「108、良く知ってるな!?これは『20ソアラツインターボだから、加速が凄いぞ!腰を抜かすなよ。・・・ところで、どこか直線距離が長い道ってあるか?」

 

俺「それなら、幽霊橋だったら、確か2kmくらいあるから、良いかもね!?」

 

リョウジ「じゃあ、そこを案内してくれ!」

 

・・・

 

俺は、助手席に座る。

 

リョウジ「108、危ないからシートベルトを着けろよ!」

 

俺「あれ!?このシートベルってどう着けるの?」

 

リョウジ「これは、4点式ベルトだから、こうやって装着するんだ!」

 

おぉっ!レーサーみたいで、カッコいい!!

 

・・・

 

リョウジ君が、アクセルを踏み、エンジンを吹かす!

 

「キーキキキキキー!?」

 

凄い、ホイルスピンをして、車が発信する!

 

・・・

 

ヤバい!この加速とスピードは、尋常じゃない!?

 

ここは、田舎道だけど、80km~100kmで、走っている。

 

コーナーリングでは、タイヤが鳴る♪

 

4点式ベルトをしているので、振り飛ばされる心配はないのに、気付いたら俺は、シートの下を両手で強く握っていた。

 

・・・

 

「リョウジ君、もうすぐで、幽霊橋だ!」

 

信号が変わるが、リョウジ君は、発信しない。

 

「リョウジ君、青だよ!」

 

リョウジ「前に車がいると、加速出来ないからな!ギリギリまで待つぞ!」

 

なるほどねー。

 

・・・

 

「プップー♪」

 

後方の車がクラクションを鳴らす。

 

それでも、リョウジ君は発進しない。

 

そして、もう一度、クランションを鳴らされる。

 

リョウジ君は、ギアを入れる。

 

「キーキキキキキー♪」

 

またもや、ホイルスピンをし、ソアラは加速する!

 

一瞬体が、後方にもっていかれる。

 

橋の上りをグングン加速し、上りで80km。

 

何速か分からないけど、タコメーターを見るとレッドゾーンだ!!

 

ソアラのエンジンも唸っている!

 

そして、ギアチェンジして、更に加速する!

 

遥か前方に走行車が、薄っすらと見えるだけで、加速するには十分だ!

 

横を見ると、視界がぼやける。

 

なんだ!?このスピードは!!

 

橋の三分の一で、140kmに到達。

 

まだまだ、加速する20ソアラ

 

そして、あっという間に橋の半ばに差し掛かる。

 

もう、外の見る余裕がない俺は、メーターをチラ見する。

 

おぉっ!170kmくらい出ているぞー!!

 

・・・

 

リョウジ「あぁぁ、ダメだ!前の車が邪魔だ!」

 

前を見ると、遥か前方にあった車が、既に目前にある。

 

・・・

 

リョウジ「108、帰りにリベンジしよう!」

 

・・・

 

この日、俺は、ソアラに憧れた!

 

 

 

 

進路とアオイ

To BE CONTINUED🔜

 

 

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