【73話】
ブゥーブゥーブゥー。
これは、ただ事じゃない。
『ルパン三世』の登場か!?
・・・
警備員たちは、シン伯父さんを取り押さえた!?
えっ!
シン伯父さんが、警備員に連れていかれる。
俺たちは、啞然とする。
周りの人たちは、驚愕の表情。
・・・
しばらくして、シャッターが上がる。
アナウンスがあったが、あまりの出来事だったので、内容を覚えていない。
ゲン伯父さんは、銀行員と話している。
・・・
ゲン「俺は、シンが戻ってくるまで待ってるから。おまえらは、喫茶店で待っていてくれ!」
・・・
俺たちは、喫茶店で二人の帰りを待っている。
おやじ「シンのやつ、全国指名手配なのかもな。ユキさん、なにか知ってる?」
・・・
ユキ「私は、なにも知りません!」
タケミチ「シン伯父さん、このまま逮捕されちゃうのかな?」
おやじ「わからないけど、シンは足を洗ったって言っていたから、釈放されると思う」
・・・
待ってる間は、とても不安だった。
足を洗い、前向きに生きようとしている、シン伯父さん。
過去になにをしたのか分からないけど、許してあげて欲しい。
・・・
喫茶店に夕日が差し始めた。
・・・
何時間待っていたのだろう、ダブル伯父さんが戻って来た。
ユキ「釈放されて、良かったよ!」
タケミチ「お勤めご苦労様です!」
おやじ「シン、なにがあった!?」
・・・
シン「ヤ〇ザ時代に、俺が指揮を執った案件があって」
・・・
シン伯父さんは、言いにくそうだ。
そりゃそうだと思う。
自分の過去の悪事を、家族には話したくない。
・・・
ゲン伯父さん「シンが直接関わってないこと。ヤ〇ザを破門になったことが分かり、釈放された!」
チズル「シンちゃん。良かったね!」
ミナツ「ねぇ、おなかすいたよー」
・・・
ゲン「ミナツ。それじゃ、おじちゃんのおごりで、焼き肉でも食べに行くか!?」
ミナツ「うん。いくー!」
・・・
焼き肉屋では、この事件の話を誰もしなかった。
・・・
1年の1学期はハードだったけど、2学期はソフトを希望しています。
2学期になると、クラスでの立ち位置や野球部の派閥が明確になる。
最初は、クワタ、マツダ、マサオと一緒にいる事が多かったが、後半はケンジとパチオつるむようになった。
野球部では、カオルの派閥にマツオ、コジマ、オオヤマが加わっていた。
夏休み期間にカオルのプレハブ小屋に呼ばれたのだろう。
三人共、短ランにボンタン。
そして、ソリコミが分かり易く入っていた。
これが、単独の変身だったら、カオル達に焼きを入れられるからだ。
カオルを慕うように会話する三人の光景が物語っていた。
・・・
放課後、珍しくオオヤマが話し掛けて来た。
オオヤマ「おい!108。小生意気な学ラン着てるんじゃねえよ!」
カッチーン!
コイツ、ヤンキーデビューしたからって、いきってるな。
・・・
俺「お前の方が生意気な学ラン着てるだろ!?このメガネザル!」
オオヤマは目が悪いのか、メガネを掛けている。
まぁ、咄嗟に出た俺なりのディスりだ。
オオヤマ「なんだと、こ、コノヤロー!お、俺をなめてるのか!?」
俺「メガネザルなんか汚くてなめられねぇよ!」
・・・
トントン。
後方から俺の肩を誰かが叩く。
俺は後ろを振り返る。
その瞬間、頬に凄い衝撃が走る。
・・・
あれ!?
クラクラする。
体が勝手に倒れていく。
バタァン。
俺は仰向けで、俺を殴ってやつを見ている。
そいつは、コジマだった。
・・・
なんだ!こいつのパンチ力。
殴れた瞬間、意識が飛びそうになったのは始めてだ。
起き上がろうとしたが、足がふらつく。
こ、これが、足にくるってやつか!?
そして、頬がジンジンする。
・・・
ケンジ「大丈夫か?108」
パチオ「青あざになってメチャ腫れてるぞ!」
・・・
「チワース!!」
顧問の先生とカオルだ!?
異変に気付いた先生に呼ばれる。
「108、その頬どうしたんだ?」
俺「よそ見をしてたら、ボールが当たってしまいました」
ここ部室前出し、かなり無理がある言い訳だ。
先生「そうか。取り合えず保健室に行ってこい」
「マツオ!おまえ108と同じクラスだよな。108を保健室へ連れて行ってやれ」
マツオは複雑な表情をしていた。
・・・
マツオ「コジマ君に逆らわない方が良いよ。カオル先輩のお気に入りだし、たぶん1年で喧嘩最強だと思う」
俺「喧嘩最強ってパチオだろ?」
マツオ「確かにパチオは規格外だけど、あつは喧嘩しない穏健派だからな」
「こないだゲーセンで、パンチングマシンしたんだけど。コジマ君、180kgも出したんだぜ!あれも規格外だよ。俺なんか最高110kgだし」
パンチングマシン!?
やったことないけど、今度やってみよ。
・・・
へと続く。