【92話】
「新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします!」
毎年のことだけど、年が明けてから、年越し蕎麦を食べる風習は、やめてほしい。
眠いし、そもそも、腹が減っていない。
・・・
お節料理は、美味しくないし、来年からは、蕎麦は夕飯に食べたい!
そもそも、不味いお節料理を廃止にしてもらいたい!
・・・
「おはよう!」
母「108にも年賀状が届いてるよ!」
俺は、年賀状を書くのを五年生で止めた。
まぁ、送る友達がいなくなったのが、原因なんだけど。
・・・
今年は、ケンジ、パチオ、タキタ、クワタ、フユヤマ・・・
あれ!?リンちゃんとアオイからも届いているぞ!
女子から年賀状が届いたのは、初めてだった。
・・・
リンちゃんの年賀状には、志望校は、もう決まりましたか?
と書いてあった。
俺は、伯父さんみたいに、自動車整備の仕事をしたい!
そうなると、工業高校で、専門的なことを学びたい。
リョウジ君も、工業高校から、自動車関連会社に就職する予定みたいだ。
・・・
きっと、リンちゃんは、頭が良いからエリート校に行くのだろう。
・・・
アオイからの年賀状には、ずっと一緒に居たいね!
と書いてあった。
俺も、アオイと同じ気持ちだけど、心がついていかない。
それでも、アオイと向き合わないといけないことは、分かっている。
・・・
俺「タケミチは、行きたい高校とかってあるの?」
タケミチ「俺が入れる高校があれば、どこでも良いかな。・・・108は?」
「俺は、自動車整備士になりたいから、工業高校にしようと思ってる!」
リョウジ「108、それは、やめた方がいいぞ!工業高校は、女がいないから、3年間最悪だぞ!」
俺「でも、リョウジ君は、彼女もいるし、モテモテじゃん!」
リョウジ「俺は、バンドのボーカルやってるから、他校からモテてるだけだよ。同じ高校の連中は、ほとんどが彼女いなくて地獄だぞ!悪いことは言わないから、共学にしとけ!」
確かに、工業高校じゃなくても、高卒後に専門学校に行くって手もあるし、将来についてちゃんと考えてみよう。
・・・
三が日が終わり、あと数日で三学期が始まる。
俺は、将来のことやアオイのことを冬休み中、ずっと考えていた。
・・・
でも、やっぱり、18歳と同時に車が欲しいし、そう考えると工業高校を卒業して、すぐに自動車関連の仕事をしたい。
俺は、工業高校を調べ始めた。
・・・
アオイは、俺を信じて、話してくれた。
あんな壮絶な過去、俺だったら、言えないと思う。
アオイは、とても勇気がある人だ!
俺よりも、アオイの方が何倍も苦しいはず。
・・・
俺は勇気を出して、アオイに電話をした。
・・・
「プルルル、プルルル?」
・・・
「ガチャ!〇〇児童養護施設です」
・・・
「クワタ君は、いますか?」
思わず、クワタを呼んでしまった。
・・・
クワタ「108、どーしたの?」
俺「年賀状、ありがとう!」
クワタ「あぁ、・・・それで、何の用?」
俺「・・・アオイっている?」
・・・
クワタ「アオイは、お母さんの所に行っているみたいだよ!」
あぁ!?そうか、夏休みと正月に母に会うって言っていたな。
・・・
クワタ「おまえら、何かあった?」
俺「・・・別に何もないけど、何で?」
クワタ「クリスマスイブの日、泣いて帰って来て。それ以来、アオイの元気がないんだよ」
・・・
俺「まぁ、ちょっと喧嘩しちゃって。・・・ところで、アオイがいつ戻って来るかわかる?」
クワタ「ゴメン。わからないな」
・・・
結局、冬休み中にアオイに会うことは、できなかった。
・・・
三学期が始まった。
放課後の駐輪場で、アオイに話し掛ける。
俺「ちょっと、話せる?」
アオイ「うん。私も108くんに話したいことがあるの」
・・・
To BE CONTINUED🔜