108 Blog

If you can dream it, you can do it.

カオリの合格発表

【110話】

 

最近、カオリと会っていない。

 

俺が推薦合格したので、塾をやめたのと、カオリが今まさに受験勉強中だからだ。

 

合格後、カオリにお祝いをしてもらったのが最後。

 

もうかれこれ1カ月は会っていない。

 

でも、受験勉強は今日で終わり。

 

明日、入学試験なので、カオリも受験勉強から解放される。

 

俺は、カオリを勇気づけたくて電話をした。

 

「もしもし、勉強中だったか?」

 

「明日に備えて寝ようとしてたとこだよ。今さらジタバタしてもしょうがないしね!」

 

カオリは、竹を割ったような性格だ。

 

そんな、カオリの性格が俺は好きだった。

 

俺は、様々な苦い経験から、いろいろと考えてしまう。

 

俺とカオリは対照的なのかもしれない。

 

「カオリだったら、大丈夫だよ!」

 

「うん。明日は108にもらったHBのシャープペンの芯を使うね!」

 

「おう!合格したら、カオリが行きたかった『ディズニーランド』に行こう!!」

 

「行きたい!絶対合格するね!!」

 

カオリの成績だったら、絶対に受かると思う。

 

俺たちは、受験生だったこともあり、まだ遠出をしたことがない。

 

ぶっちゃけ、ディズニーランドには興味がないけど、カオリが喜んでくれれば、俺も幸せだ。

 

カオリが無事に合格しますように!

 

俺は、神頼みをしていた。

 

・・・

 

 

そして、合格発表の日。

 

カオリの手ごたえは、二重丸みたいだ。

 

俺は、カオリからの連絡を待った。

 

あれ!?もう、20時過ぎたけど、カオリからの電話が鳴らない。

 

・・・

 

きっと、家族とお祝いをしてるのかな。

 

22時まで待っても電話が鳴らないので、俺は寝ることにした。

 

・・・

 

翌日、19時過ぎに電話が鳴った。

 

俺は、電話に滅多に出ないけど、カオリだと思い電話に出た。

 

「あれ!?108だよね?」

 

「うん。そうだよ!ところで、どうだった!?」

 

「それがね、落ちちゃった。たぶん面接が原因だと思う」

 

「マジか!?カオリの成績だったら絶対受かると思ったのに・・・」

 

「志望校の面接時に、髪を後ろで束ねないといけなかったの。たぶん、ピアスの穴を見られたのかも?」

 

「そうか、残念だね・・・」

 

受かっていると思っていた俺は、それ以上カオリに掛ける言葉がなかった。

 

「でも、滑り止めの高校には受かったから、そっちの高校に行くから問題なしだよ!」

 

メチャ悔しいはずなのに、カオリは意外と明るかった・・・

 

あんなに勉強を頑張っていたのに報われない事ってあるよね。

 

・・・

 

「高校生になったら、108とは離れちゃうね」

 

そう、俺とカオリの家は、二つ隣の町。

 

そして、俺は東に二つ先の高校に行く。

 

カオリは、西に二つ先の高校に行くことになった。

 

学校帰りに会うことは物理的に無理なので、会えるのは学校が休みの日になる。

 

しかし、俺は〇〇工業高校では、ラグビー部に入る予定だ。

 

○○工業高校のラグビー部は、県内でも強豪校。

 

休みがなく練習があるので、練習後にカオリに会うことができない。

 

カオリが四つの町を越えて俺に会いに来てくれば、会うことは可能だけど、距離的に難しい。

 

カオリの町からバスに乗り約80分、そこから電車に乗り5駅。

 

部活が終わるのが18時だとして、そこから1時間会って19時。

 

電車やバスの本数も少なめなので、タイミングが悪いとカオリの帰りは21時過ぎになってしまう。

 

・・・

 

「カオリは高校生になったら、やりたいことはあるの?」

 

「そうだね、アルバイトしてお金を稼ぎたいなぁ」

 

「へー、何か欲しい物があるの?」

 

「オシャレもしたいし、108といっぱいデートしたいし、さくさん稼がないとね!」

 

俺のことも考えてくれていたカオリの気持ちが嬉しい。

 

・・・

 

「そうか!俺もバイトしてみるかな!?」

 

俺は思ってもないことを言っていた。

 

ラグビー部に入部することは、カオリに伝えられなかった。

 

・・・

 

 

 

早稲田大学VS慶応義塾大学

To BE CONTINUED🔜

 

 

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