108 Blog

If you can dream it, you can do it.

中学校の門前~待ち受けていたのは

【56話】

 

 春休みのある日、俺は妹のミナツと家で留守番をしていた。

 

 静かな午後、家の中は穏やかで、テレビの音だけが響いていた。

 

「プルルルル、プルルルル」

 

 突然、電話の着信音が鳴り響いた。

 

 普段はあまり電話が鳴らないので、少し驚いた。

 

 俺は電話を取り上げ、耳に当てた。

 

「もしもし、○○です」

 

「108君いますか?」

 

「俺だけど、誰?」

 

「ナカタだよ」

 

 ナカタが俺に電話をかけてくるなんて、珍しいことだ。

 

 何かあったのか?

 

「どーしたの?」

 

「これから出てこれる?」

 

 卒業したばかりの俺たち。

 

 もしかして、リンチのリベンジか?

 

「えっ、なんで?」

 

 ナカタはやや緊張した声で続けた。

 

「先輩から呼び出し食らって、108も連れて来いって言われちゃって」

 

「先輩って誰?」

 

「俺もオカベから電話があって。誰だかわからないんだよ」

 

「行かないとダメなの?」

 

「来なかったら、中学でボコボコにされるってよ!」

 

「マジかよ。行きたくねぇな」

 

「じゃあ、30分後に中学校で待ち合わせな」

 

 電話を切った後、俺はミナツに「ちょっと出かけてくる」と言い残し、急いで準備を始めた。

 

 心の中では、不安と恐怖が交錯していた。

 

 中学校に向かう途中、春の風が肌を撫でる。

 

 桜の花びらが舞い落ちる中、俺の心は重かった。

 

 中学校に着くと、ヒデキもすでに待っていた。

 

 彼の顔にも不安が色濃く浮かんでいる。

 

「呼ばれたのは、ナカタ、オカベ、ヒデキ、俺の4人か」と俺は確認するように言った。

 

 ヒデキがオカベに尋ねた。

 

「オカベ君、誰が俺たちを呼んだの?」

 

 オカベは困惑した表情で答えた。

 

「俺もわからない。聞いた事のない奴から電話があって、中学校まで4人で来いって言われた」

 

 

 校門で待つこと5分。

 

 向こう側から、学ランを着たヤンキーが歩いて来る。

 

「おい! おまえらか!?」

 

 誰!?

 

 ソリコミ、キンパツ、タンラン、ボンタン。

 

 バリバリのヤンキーなのは、わかるけど誰?

 

 3人の反応から見ると誰も知らないみたいだ。

 

「俺は、2年のシロヤマだ! お前ら、俺の後を付いて来い!」

 

 俺たちは、シロヤマの後を自転車で追いかける。

 

 シロヤマは何も言わず、ペダルを回す。

 

 もう20分は走っている。

 

 見たことのない景色だ。

 

 俺たちの小学校は町の西側にあるが、向かっているのは東側だ。

 

 シロヤマは東小出身だということが分かった。

 

 中学校を出て30分、族車が置いてあるプレハブ小屋前で止まった。

 

 そこには、族車や改造された原チャリが停まってる。

 

湘南爆走族』で見たことがあるぞ!?

 

 シロヤマがプレハブ小屋のドアを開ける。

 

 嫌な予感しかしない。

 

 部屋の中には、6~7人のヤンキー。

 

 煙草の煙で、顔が良く見えない。

 

 ソリコミ、パーマ、キンパツ、タンラン、ボンタン、アンパン!?

 

 が見えてきた。俺は、最後に部屋に入る。

 

 ソリコミパーマ「おう!コイツが108か!?」

 

「そう、コイツだよ!」

 

 そこに居たのは、クロタニだった!?

 

 ソリコミパーマ「おまえら、突っ立ってなくて、座れよ」

 

 俺たちは、座った。

 

 クロタニ「108は、正座な!」

 

 クロタニは、バリバリのヤンキーになっていた。

 

 クロタニは、かつてボコボコにして池に落とした1個上の先輩だったが、今やバリバリのヤンキーになっていた。

 

 

 

中学ヤンキー伝説~試練の幕開け

へと続く。

 

 

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