トイレでジッポライターを没収された
【67話】
ケンジ&パチオがいるからから、最近は部活に出るのが楽しい!
先輩もちょっかいを出してこないし、顧問の先生も優しい。
俺の基準は、松山先生だから、すごく優しく感じる。
ド素人なので、野球の上達も早い気がする。
・・・
放課後の下駄箱にて。
マツダ「108、今日も一緒にキャッチボールしようぜ!」
俺「今日は、カーブを投げるから、しっかりキャッチしろよ!マツダ」
下駄箱に上履きを入れ、運動靴に履き替える。
「おい!」
振り向くと二人の男が立っている。
クロタニ&シロヤマだ。
できることなら、卒業するまで会いたくない二人。
・・・
マツダ「シロヤマさん、チワース!」
マツダは、二人に会釈をする。
「108、俺、先に行ってるな」
マツダが去り、2対1の状況。
クロタニ「108、おまえ、サッカー部に入れって言ったよな!」
・・・
クロタニ「まぁ、いいや。こっちに来い!」
シロヤマは相変わらず、ニタニタしている。
俺は、二人の後をついて行く。
・・・
ここは2階、2年生のフロアだ。
そして、2年のトイレに入る。
トイレには、良い思い出がない。
・・・
先週もトイレで、ジッポライターを先生に没収されたばかりだ。
俺は、中学生になってから、雑貨を集めることにハマってた。
・・・
この、ジッポライター良いな!
「ジジッ。ッテー!!」
これは、面白いジッポライターだな。
明日、学校に持って行こう。
・・・
翌日、1年トイレで、ジッポライターをマツダに渡した。
マツダ「なに?ここでタバコ吸うのは、まずいでしょ!」
俺「いや、火を付けてみてよ」
「ジジッ。ッテー!!」
俺は笑う。
マツダ「電気が走ったぞ!このライター」
そう、このライターは、指先から肩にかけてビリッと電気が走る、稲妻ライター。
マツダ「いやー。だまされたよ!放課後、ケンジやパチオにも仕掛けようぜ!」
マツダは、このライターが気に入ったようだ。
・・・
トイレのドアが開く。
そこには、担任の先生『ヤマイチ』がいる。
俺は、咄嗟にライターをポケットに入れた。
ヤマイチ「108、ライターを持っているな?」
誰かがチクったみたいだ。
俺は、素直にライターを出す。
ヤマイチ「タバコも出せ!」
・・・
タバコは、持っていません。
ヤマイチ「嘘をつくな!ポケットの中を見せてみろ」
俺は、学ランの両ポケットとズボンのポケットの中を出して見せた。
・・・
ヤマイチ「学ランの裏ポケットも見せてみろ!」
俺は、ボタンを外し、裏ポケットを見せようと学ランを開いた。
ヤマイチ「そ、その学ランは、学校指定じゃないな!?」
そう、この学ランは、裏地がムラサキの変形学ラン。
・・・
俺「先日、自転車でコケて学ランが破けちゃって。子供の頃から貯めているお年玉貯金で新しい学ランを買いました。でも、もう貯金がないので3着目は買えません!」
・・・
まぁ、半分当たっているが、真実じゃない。
・・・
俺は、長々と言い訳をして、最終的にヤマイチが折れた。
・・・
ヤマイチ「このライターは、卒業式の日に返してやる!」
そう言いながら、ヤマイチはジッポライターに指を掛けた。
「ジジッ。ッテー!!」
ヤマイチは、飛び上がって、尻餅をついた。
そして、ライターをトイレの床に落とした。
「なんじゃ!これは!?」
それにしても、ビックリし過ぎた。
俺たちは、笑いをこらえるに必死だった。
でも、ヤマイチ先生がショック死しなくて、本当に良かった。
・・・
クロイワ「シロヤマ、ちょっと外で見張ってて!」
シロヤマ「りょーかい!」
・・・
クロイワ「おまえ、カオルにやられたみたいだな」
もう、勘弁してもらいたい。
「今日は、俺の番だな!」
勝手に順番を決めるな。
クロイワのパンチが飛んで来た。
俺は、両腕でガードする。
クロイワは、ジャブとストレートを交互に打ってくる。
完全にボクシングスタイルだ!
そして、時々、右のミドルキックが飛んでくる。
膝を上げて、ミドルキックをガードする。
クロタニの動きが手に取るようにわかる。
カウンターを入れて、ボコボコにしたいが、それが出来ない。
・・・
「はぁはぁ、はぁはぁ」
クロイワの息は荒くなり、とても苦しそうだ。
もう、3分くらい殴り続けているので、クロイワはヘトヘト。
3発、顔に入れられたが、はっきり言って痛くない。
しかし、俺は殴られながら、効いてるフリを演じた。
クロタニが満足するからだ!
・・・
クロタニ「俺が卒業するまでの間、おまえを殴り続けるから、覚えとけよ!」
そう言い残し、クロイワはトイレを出て行った。
へと続く。