108 Blog

If you can dream it, you can do it.

7人のヤンキー

【57話】

 

ここは、『ビーバップミドルスクール』の巣窟だった。

 

中学2年生は、体が大きい!

 

まだ、春休みだから、正確に言うと中学1年生だけど。

 

そんな、ヤンキーが7人もいるプレハブ小屋。

 

こんな、迫力のある光景を見るのは、始めてだった。

 

・・・

 

これから、何が始まるのだろう。

 

不安しかない

 

見た感じ、クロタニ以外は、東小出身。

 

クロタニ、ソリコミパーマ、シロヤマは、俺と同じくらいの背格好。

 

他の4人は、横幅があり、170cm以上はありそう。

 

タイマン張っても、勝てる気がしない。

 

・・・

 

クロタニ「カオル、外でやっちゃっていいか?」

 

ソリコミパーマ「今は、誰も居ないから、いいよ!」

 

ここは、ソリコミパーマの家で、名前は、カオル。

 

クロタニ「108だけ、外に出ろ!」

 

・・・

 

クロタニとカオルがプレハブ小屋から出る。

 

これは、確実にボコられるな。

 

ボコられると知ってて、外に出るのは嫌だ!

 

「早く立てよ!」

 

ガタイの良い角刈り鬼ゾリが、俺の腕を掴み上げる。

 

しかし、足が痺れ、思うように立てない。

 

ナカタ、オカベ、ヒデキは、様子を見ているだけ。

 

コイツ等は、冷たい同級生だ。

 

俺は、痺れた足を引きずりながら、外に出た。

 

外には、クロタニ、カオル、角刈り鬼ゾリ、シロヤマがいる。

 

他の2年とクールな同級生たちは、プレハブ小屋の中に残ってるみたいだ。

 

・・・

 

クロタニ「やっとこの日がきたぜ!!」

 

シロヤマは、ニヤニヤこちらを見ている。

 

角刈り鬼ゾリは、うんこ座りで、俺のことを睨んでる。

 

カオルは、バイクに腰を掛け、高みの見物。

 

・・・

 

反撃したら、地獄を見ることになるのは、一目瞭然だ。

 

殴られたくないから、取り敢えず、避けられるだけ避けよう。

 

クロタニが、ゆっくりと近づいて来る。

 

コイツは右利だから、右のコブシで殴ることは、分かっている。

 

二人の間合いが1mまで近づく。

 

こちらから殴れないのが、とても歯痒い。

 

クロタニは、ガンをつける。

 

・・・

 

もう、10秒は、睨まれている。

 

これは、ヤンキーの仕来りなのか!?

 

隙だらけである。

 

殴りたいのに殴れない。

 

・・・

 

15秒が経過した。

 

次の瞬間、脇腹に衝撃が走る。

 

初っ端は、右ミドルの蹴りだった。

 

読みが外れた。

 

元エースストライカーの蹴りは、痛い。

 

透かさず、顔面にパンチが飛んでくる。

 

脇腹が痛い。

 

避けるのが厳しそうなので、両手でガードする。

 

『キン肉ガード』だ!

 

とにかく、顎と鼻は守る。

 

クロタニのパンチは、軽くて痛くない。

 

たまに蹴りも飛んでくるが、警戒してるから避けられる。

 

・・・

 

「はぁはぁ」

 

クロタニの息が上がり始めた。

 

・・・

 

ガードを固めながら、ふと思った。

 

それにしても、ステゴロで良かった。

 

ヌンチャクを使用されたら、ひとたまりもない。

 

・・・

 

「はぁはぁ、はぁはぁ」

 

たばこを吸っていると、息が上がりやすいのかな?

 

・・・

 

そして、クロタニの動きが止まった。

 

良し!何とか耐えた。

 

・・・

 

クロタニ「イワサキ、交代だ!」

 

えぇっ!

 

もしかして、順番に殴られる刑なの!?

 

角刈り鬼ゾリが近づいて来る。

 

コエーよ、コイツ。

 

ガタイと見た目のパンチが効きすぎ!!

 

クロタニは、バイクのシートに腰掛ける。

 

・・・

 

右のストレートが顔面に飛んで来た。

 

俺は、咄嗟に右側に避けた。

 

瞬間、襟首を掴まれた。

 

そして、投げられた。

 

俺は、背中から地面に叩きつけられた。

 

息ができない。

 

そして、起こされて、また投げられる。

 

息ができなくて、とても苦しい。

 

イワサキ「先輩をなめるなよ、コラァ!」

 

そして、何度も投げられる。

 

・・・

 

クロタニが、バイクのシートから腰を上げ、近づいて来る。

 

俺は、地面にうずくまっている。

 

クロタニ「シロヤマも来い!」

 

・・・

 

そして、クロタニとシロヤマにボコボコに蹴られた。

 

俺はうずくまり、頭だけは必至でガードしていた。

 

・・・

 

カオル「そろそろ、戻るぞ!」

 

クロタニ「おい、お前も来い!」

 

俺は、体を引きずりながら、プレハブ小屋に入った。

 

・・・

 

どうやら、ナカタ、オカベ、ヒデキは、無傷みたいだ。

 

傷だらけの俺を見た3人の顔がこわばっているのが分かる。

 

・・・

 

クロタニ「ナカタ、オカベ、ヒデキ、お前ら中学でもサッカー部だよな?」

 

「はい!はい!はい!」3人が返事をする。

 

クロタニ「108も、サッカー部な!」

 

俺は、黙る。

 

「聞こえなかったのか、毎日、俺がシゴいてやるからな!」

 

クロタニは、この風貌で、サッカー部みたいだ。

 

シロヤマ「俺もサッカー部だから、お前らよろしくな!」

 

・・・

 

イワサキ「お前は、柔道部に入れ!毎日、投げてやるから、」

 

・・・

 

なんのオファー合戦!?

 

俺の中学生活は、生き地獄が確定した。

 

・・・

 

 

 

入学式の便所にて

へと続く。

 

 

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