松山先生からの手紙
【55話】
「ユ、ユウコちゃん。何でここに!?」
ユウコ「大勢の男子が公園に入るところを見ていたら、108君が見えて。そしたら、108君が囲まれて。私、先生を呼びに学校に戻ったの」
・・・
俺「そうだったのか、おかげで助かったよ。ありがとう!」
・・・
俺たちは、久しぶりに『禁断のベンチ』でいろいろなことを話をした。
トモオ君のこと。
膝の怪我が原因で、サッカーを辞めたこと。
最近は、映画とカラオケにはまっていること。
・・・
こんなに自分のことを話したのは、ユウコちゃんがはじめてだった。
・・・
ユウコ「夕日がとてもキレイですね!」
俺「キレイだね!」
いつの間にか、日が傾き始めてた。
二人が並んだベンチで、夕日を眺めていたら。
心の荷が下りて、気持ちが楽になっていた。
・・・
俺「ユウコちゃん、ありがとう」
・・・
「い、108君、明日も公園で話しませんか?」
俺「うん。そうしよう!」
・・・
その後、ちょっかいを出して来るやつはいなかった。
ユウコちゃんが、呼んだのは、松山先生だったことが要因だろう。
俺は、間接的に松山先生に救ってもらった。
・・・
『卒業式』
卒業式も無事に終わった。
女子達は、友達同士で写真を撮っている。
母「記念写真を撮ろう!」
俺「恥ずかしいから、いいよ」
母「すみません。写真を撮ってもらえます?」
母は、とても明るい人だ。
そして、マイペースの天然でもある。
・・・
母「おまえは、友達と写真は撮らないの?」
友達、いないし。
「別に撮らなくていい」
・・・
マー坊「サッカー部の人、集まってください!記念写真を撮りますよ」
俺は、退部はしてないけど、県大会以降、サッカー部に参加してない。
母「呼んでるよ。行っておいで!」
断る理由もない。
・・・
6年生のサッカー部員は、20人。
そこに校長先生と松山先生が入り。
「はい。ポーズ。カシャ!」
記念撮影が終わり、松山先生から、一人一人へ手紙が渡された。
俺の番になり、手紙を受け取る。
松山先生「108、おまえには可能性がある!中学生になっても、サッカーを続けろよ!」
俺は、小さくうなずいた。
そして、松山先生と握手をした。
・・・
俺は、サッカーを止めようとしていた。
しかし、手紙を読んで、その気持ちが変わった。
『松山先生からの手紙』
108を始めて見た時、2年後には、チームの主役として活躍してる未来が見えた。
だからこそ、練習をサボってばっかりの、おまえが残念で仕方なかった。
6年生になり、真面目に練習に参加するようになった。
俺は嬉しかった!地区大会に間に合ったと思った。
しかし、おまえは、また練習をサボりだした。
俺は腹が立った。
そして、おまえに喝を入れた。
もう、戻って来ないと諦めたが、おまえは、戻って来た。
そして、努力をした結果、自分の力でレギュラー組に入った。
俺は、そんなおまえを誇りに思う。
膝は癖になるから、しっかり治すこと。
中学校では、サッカーを続けてもらいたい。
・・・
俺は、松山先生のことを誤解していた。
血も涙もない、鬼教師だと思っていた。
・・・
中学生になっても、サッカーを続けよう。
そう、心に誓った。
松山先生、短い間でしたが、本当にありがとうございました!!
へと続く。