108 Blog

If you can dream it, you can do it.

二度とベンチに座らない

【51話】

 

ただいま。

 

母「おかえり。試合は、どうだった?」

 

俺「優勝したよ」

 

母「おまえは、試合に出れたの?」

 

・・・

 

俺「体調が悪くて、休んでたよ」

 

・・・

 

俺は、嘘をついてしまった。

 

そして、キレイなユニフォームを洗濯カゴに入れた。

 

 

夏休みも、そろそろ終わる。

 

今年の夏は、俺なりにサッカーの練習を頑張ったと思う。

 

毎日の練習に疲れ果て、夏休みの宿題は3割程度しか終わっていない。

 

夏休みも残すところ3日間。

 

毎年恒例の行事として、慣れてる俺は、宿題を3日間で終わらせた。

 

この時の集中力は、凄まじい物がある!

 

 

久々のランドセル登校。

 

校門前にユウコちゃんがいる。

 

「おはよう!ユウコちゃん」

 

・・・

 

ユウコ「おはようございます」

 

どことなく寂しそうな表情のユウコちゃん。

 

そー言えば、夏休み期間、サッカーの練習が忙しくて会えなかったなぁ。

 

ユウコ「108君、今日の放課後、公園で話しませんか?」

 

俺「今日もサッカーの練習があるから、少しだけなら大丈夫だよ」

 

・・・

 

夏休み中、一度も誘わなかった俺に怒っているのかな。

 

でも、俺たちは付き合ってる訳でもないし。

 

夏祭りに誘えば、良かったかな。

 

・・・

 

 

「キーンコーンカーンコーン」

 

俺は、ダッシュで公園に向かう。

 

先に着いた俺は、ベンチに座り、ユウコちゃんを待つ。

 

・・・

 

「108君、お待たせしました」

 

「あまり、時間がないから、聞いちゃうね」

 

「108君は、私のことが好きですか?」

 

・・・

 

好きだけど、サッカーも好きだし、どうしよう。

 

好きって言ったら、サッカーをする時間が奪われる気がする。

 

サッカーとユウコちゃんを両立することは、無理だと思う。

 

長い沈黙が続く。

 

・・・

 

トモオ君の分もサッカーを頑張るって決めたし。

 

ユウコちゃんは、落ち込んでる俺を元気にしてくれた。

 

・・・

 

ユウコ「嫌いってことですか!?」

 

・・・

 

俺「嫌いじゃないけど、、、俺、サッカーを頑張るって決めたから、ユウコちゃんとは、もう会えない」

 

そんなことを言うつもりじゃなかったのに。

 

・・・

 

俺は、下を向いた。

 

ユウコちゃんの顔が見られない。

 

・・・

 

鳴き声が聴こえる。

 

顔をあげて、ユウコちゃんを見ると。

 

ぽろぽろと大きい雨粒のような涙を落としている。

 

俺は、何を言えば、良いか分からない。

 

・・・

 

誰かが公園に近づいて来る。

 

俺たちは、音の鳴る方に目を向ける。

 

ユウコちゃんは、ベンチから立ち上がり、そのまま走って行ってしまった。

 

・・・

 

 

そして、俺の恋は終わった。

 

あの日以来、公園のベンチに腰を掛ける事は、なくなった。

 

 

 

ロスタイム

へと続く。

 

 

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