チワース!チワース!チワース!
【61話】
入学してから2週間、7人のヤンキーとは、まだ会っていない。
授業が終わり次第、ダッシュで帰宅している。
そして、1年生の教室は1階だから、下駄箱に直行できるからだ。
入学式以来、マツシゲからの呼び出しもない。
このまま卒業まで、トラブルがなければ、良いのになぁ。
・・・
昼休み、クワタとだべってる。
「俺は野球部に決めたけど、クワタは?」
・・・
「〇〇108君、ちょっといい?」
マツダが声を掛けていた。
マツダは、ニコニコしている。
なにかを企んでるな、コイツ!?
・・・
俺「マツダ、俺に何か用か?」
マツダ「108君、野球部に入るの?」
俺「そーだけど」
マツダ「俺も野球部なんだ!今日の部活一緒に行かない?」
あんなことがあったのに馴れ馴れしいやつ。
俺は、期限ギリギリまで迷っていたので、入部が遅い。
マツダや他の1年は、先週から部活に出てるみたいだ。
一人で行くより、マツダと一緒の方が良いかもな。
「いいよ。一緒に行こう!」
・・・
放課後、マツダとグランドに行くと、何人かの生徒がいる。
マツダ「俺と同じクラスの〇〇108君」
マツダは、俺のことを紹介してくれた。
「カミヤです。よろしくね!108君はポジションはどこなの?」
俺「野球は素人だから、わからない」
カミヤ「えっ!マジで!?」
・・・
1年が、次々とグランドに集まって来る。
その都度、マツダが俺のことを紹介してくれた。
マツダの話だと、1年の部員は25人もいるらしい。
しかも、俺以外は、みんな東小出身の経験者。
・・・
西小は、サッカーが強い。
関東ベスト4の強豪だ!
東小のサッカー部は、地区予選1回戦負けの弱小チーム。
東小の野球部は、地区予選4回戦程度だったらしい。
ちなみに西小には、野球部はなかった。
それにしても、西小出身が俺だけって寂しい。
・・・
マツダの紹介は続く。
マツダ「彼はコジマ君。前の学校では、エースだったみたいだよ!」
中学からの転校生みたいだ。
それにしても、めちゃくちゃガタイがいいな。
腕もプロレスラーみたいに太い。
野球帽を頭にチョコンとのせている。
被り方にクセがあり、ソリコミが入っている。
いずれにしても、悪ガキ特有のオーラが全開のやつだ!
・・・
遅れて、先輩がグランドに入って来る。
「チワース!」
1年生が上級生に挨拶をする。
なに!?このダサい挨拶。
マツダ「先輩には、チワースって挨拶するんだよ」
それにしても、上級生も知らないやつばかり。
もしかして、おれ以外、全員が東小出身なのか?
・・・
「チワース!チワース!チワース!」
今日一番の『チワース』だ!
主将のお出ましか!?
それとも顧問の先生か!?
・・・
頭の上にチョコンと野球帽がのっている。
しかも、斜めに被ってる。
あれ、どこかで見たことがある。
・・・
こいつは、7人のヤンキーの一人。
プレハブ小屋の主。
カオルだった。
へと続く。