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If you can dream it, you can do it.

頭部からの墳血

【79話】

 

リビングルームに行くとソファーにオヤジが座っている。

 

俺は、対面に座る。

 

「担任の先生から電話があったが、おまえ授業をサボってるみたいだな!」

 

普段だったら、母が電話に出るのに・・・

 

俺は、一部始終を話した。

 

「話は分かったけど。授業には出ろ!」

 

・・・

 

「次にその先生が暴力を振るったら、俺がそいつをボコボコにしてやるから、おまえは心配するな!」

 

そー言うことじゃないけど。

 

・・・

 

オヤジは、10代の時、隣町まで悪名を轟かせるほどのやんちゃ坊主だったみたいだ。

 

それが原因で、母と駆け落ちする羽目になったのだけど。

 

でも、オヤジもゴリラには勝てないだろう。

 

あいつに投げられたら終わる!

 

まぁ、そんなシミュレーションしても、大の大人が喧嘩することはない。

 

たぶん。

 

・・・

 

「わかった。授業には出るよ」

 

父「ところで、おまえ、学ランはどーした?」

 

「破れたから、捨てちゃったよ」

 

母「なんで捨てたの?あの学ランは、おまえの入学祝いでもらった大切なものだろ!」

 

カオルに破かれたことは言えない。

 

言い訳が見つからない。

 

父「おまえ、本当に捨てたのか?」

 

ボロボロの学ランを見られたら、心配をかけるので学ランは捨てた。

 

「捨てたよ」

 

オヤジの怒りが伝わってくる。

 

中学生になってからは、ボコられてないが、オヤジがキレたらヤバい!

 

・・・

 

「校則違反の学ラン着てるって本当か?」

 

俺も捨てたくて捨てた訳じゃない。

 

先生もセキヤマたちも、7人のヤンキーも、オヤジも全てがムカつくな!

 

堪忍袋の緒が切れそうだ!

 

「そーだよ。だから何だよ!」

 

俺は、その場を離れようと立ち上がり、後ろを振り返る。

 

次の瞬間、頭に激痛が走る!?

 

頭が割れるように痛い!?

 

俺は、頭部を触る。

 

手のひらは、真っ赤な血。

 

母の叫び声が響く!

 

あまりの激痛で俺は、うずくまる。

 

頭が熱いし、血が噴き出ている。

 

壁にまで血が噴き出ている。

 

リビングが血だらけだ。

 

おそらく俺は、死ぬんだな・・・

 

これだけ、血が頭から吹いてて助かるわけがない。

 

・・・

 

母がバスタオルで頭を押さえる。

 

父「車を出してくる!」

 

俺は、母に連れられて車に乗る。

 

バスタオルは、すでに血だらけだ。

 

病院までは、車で約20分。

 

なんだか、意識が遠のき始めてきた。

 

もう、あまり痛さはない。

 

あのオヤジがパニくっているのが分かる。

 

母「大丈夫だからね!死ぬんじゃないよ。あと少しで病院だから」

 

・・・

 

血だらけの俺を見た先生も吃驚している!?

 

先生「これは、すぐに縫わないと手遅れになるよ!」

 

そして、頭を剃られる。

 

麻酔を掛けられて、頭を縫われる。

 

先生「血も足りないから、献血の準備をしてください!」

 

看護師さんがとても忙しそうだ。

 

隣を見ると母がベットに寝ている。

 

俺は、母から血をもらった。

 

なんだろ?俺は、助かったみたいだ!

 

・・・

 

帰りの道中。

 

母「本当に助かってよかったよ!」

 

父「おまえの頭から血が噴き出してるの見て、やっちゃったと思ったよ」

 

それにしても、何が頭に刺さったらあれだけの血が出るんだよ。

 

・・・

 

翌日、俺は、頭に包帯を巻き、サクラダの授業を受けた。

 

サクラダ「その頭、どうしたんだ!?」

 

俺「ちょっと、打ち所が悪くて、もう少しで死ぬところでしたよ。サクラダ先生」

 

サクラダの顔が青ざめるがわかった。

 

・・・

 

 

それにして、リンチでコブだらけになっている頭に『ガラスの灰皿』ってとどめだよな!

 

まぁ、死ななくて良かったけど。

 

 

 

フユヤマとタキタ

へと続く。

 

 

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