机の中のラブレター
【94話】
「お母さんに一緒に暮らさないかって言われたの」
お母さんが新しい彼氏と結婚して、娘と一緒に暮らしたいってことだよな。
「それって、新しい彼氏も一緒に暮らすってことだよね?」
「うん。でも、不安もあるし。108くんとも会えなくなっちゃうから、迷っているの。・・・108くんは、どうすれば良いと思う?」
・・・
児童養護施設より、お母さんと暮らす方が数倍良いと思う。
お母さんの婚約者も優しい人っぽいし、企業勤めであれば、生活の面では安泰だと思う。
アオイの将来のことを考えると、後押しするべきだと思う。
・・・
それでも、アオイとは別れたくない。
やっと、アオイと向き合おうと決めたばかりなのに・・・
いろいろなことが、頭の中で駆け巡る。
・・・
「お母さんと一緒に暮らすとしたら、東京なの?」
「大阪になると思う。・・・」
「えぇっ!?マジで!?」
大阪って、メチャ遠いじゃんか!?
東京だったら、会いに行けるのに・・・
・・・
「お母さんの彼氏は、単身赴任で東京に来ていて、3月末に大阪に戻るみたい。・・・そのタイミングで、一緒に暮らそうって言われたの・・・」
・・・
アオイの幸せだけを考えたら、気持ちよく見送ってやるべきだと思う。
本来であれば、喜ぶべきことなんだけど、俺は凄く落ち込んでいた。
でも、やっぱり、アオイと別れたくない。
何て答えればいいか分からない。
・・・
「アオイの人生だから、アオイが決めるべきだと思うよ」
・・・
「そうだよね。108くんも困るよね!」
・・・
アオイ「わかった。もう少し考えてみるね・・・」
・・・
あれから、2週間、アオイと話していない。
俺は、アオイからの声がけを待っていた。
・・・
そんな、ある日の朝。
あれ!?机の中に手紙らしきものが置いてあるぞ!
この便箋は、もしかして、ラブレターか!?
こんな状況下でも、ドキドキするのは、男の性なのか。
ドキドキしながら、トイレボックスに駆け込み、手紙を読む。
・・・
『相談があるので、今日のお昼休みに屋上で待ってます。リン』
えっ!?これだけ?
しかも、リンちゃん。
何だろう?あまり気が進まないが、気にはなる。
・・・
屋上は、リンチされた嫌な思い出しかないが、行くことにした。
俺は、リンちゃんが教室を出ることを確認してから、屋上に向かった。
屋上に行くとリンちゃんがいた。
リン「108くん、ごめんね!こんなところに呼び出しちゃって!」
いつもの元気なリンちゃんだ。
「別にいいけど、話って何!?」
・・・
リン「うん。アオイちゃんのことなんだけどね」
アオイのこと!?
リン「アオイちゃん、大阪に引っ越すかどうか、本気で迷ってるみたいだよ!108くんは、ぶっちゃけどう思ってるの?」
・・・
何で、リンちゃんが、そのことを知っているんだ!?
そもそも、アオイとリンちゃんは、仲悪いよね!?
・・・
俺「アオイの引っ越しのこと、アオイ本人から聞いたの?」
「そーだよ。・・・アオイちゃん、108くんのこと本気で好きだから、別れ離れになりたくないけど、お母さんとも一緒に暮らしたいし、どっちが良いか決められないって。可能であれば、108くんに決めてもらいたいって言ってたよ!」
・・・
「俺の中でも、対比する考えがあるから、決めることができない。・・・アオイの人生なんだから、アオイが自分で決めるべきだと思う!」
「アオイちゃんは、108くんの本当の気持ちを聞きたいんだよ!」
・・・
「それは、アオイと一緒にいたいと思うよ・・・」
「だったら、そうだって、アオイちゃんに言ってあげてよ!」
俺だって、そう言えるんだったら、言いたいよ。
To BE CONTINUED🔜