咄嗟についた噓はバレている!?
【88話】
お通夜会場は、ヤマモトポ〇プ店なので、母と家から徒歩で向かう。
お通夜に参加するのは、これで3回目。
ひいおばあちゃん、トモオくん、そして、ヤマモトさん。
・・・
俺と母は、参列者として列の後方に並ぶ。
その先には、女の子とお母さん見える。
・・・
今更だけど、女の子に合わす顔がない。
女の子は、うつ向いたまま。
とても、悲しい表情で、泣くのを堪えてる感じに見える。
・・・
母「この度は、ご愁傷様です。・・・」
母は、お悔やみの言葉を伝えているが、俺は、何を言えば良いかわからない。
女の子が俺に気づいた!?
女の子は、俺を睨みつける。
そうだよね、そりゃ、睨むよね。
・・・
俺は、勇気を振り絞って、女の子に謝った。
「あんなことを言ってしまって、ごめんなさい!」
俺は、深々と頭を下げた。
「108くん、顔を上げて!」
俺は、恐る恐る、顔を上げる。
お母さんの表情は、とても優しい。
女の子は、もう、俺のことを睨んでない。
・・・
お母さん「108くん、ミユキに言ったことは、気にしないでね。主人も108くんのことは、よく話していましたよ!こんなに大きくなって。最後に挨拶をしに来てくれて本当にありがとう!」
・・・
優しい言葉に触れ、自然とあふれ出す涙。
オヤジから、男は人前で泣いちゃダメだぞ!
と言われ続けてきたが、涙を止めることができない。
・・・
「こ、こちらこそ、ありがとうございます。ヤマモトさんにプレゼントでもらった『ロビンソン・クルーソー』の本は、今でも大事にしています!」
・・・
「ミユキちゃん、本当にごめんさい!!」
ミユキちゃんの瞳から、涙が零れ落ちている。
「うん。もう気にしてないから!」
シクシク・・・
!?
隣を見ると俺母も泣いている。
・・・
勇気を出して、ヤマモトさんのお通夜に来て良かった!
ミユキちゃんに謝れて良かった!!
ヤマモトさんの顔も最後に見れて良かった!!!
・・・
その後、俺の読書感想文は「ロビンソン・クルーソー」になった!
6年生、中学1年生と二年連続で!!
・・・
コージーコーナーでクリスマスケーキをゲット!
そして、カラオケボックスにイン!
これから、2時間のクリスマスパーティー♪
いろいろと楽しみだ!!
・・・
ソファーに座り、カラオケブックをアオイに渡す。
俺「今日は、アオイからね!」
アオイ「じゃあ、中山美穂の愛してるっていわない!を歌います!」
今日のアオイは、どことなく色っぽい。
この歌の歌詞も、意味深なのか!?
・・・
やっぱり、アオイは、かわいい!
あれれ、なんだか、悶々としてきたぞ!?
・・・
曲が終わり、とりあえずのハイタッチ!
ムネタッチも今日中にしたい。
そのまま抱きしめたいけど、勇気が出ない。
子供の頃は、本能のまま動けたのに・・・
・・・
俺「B'zの愛しい人よGood Nightを歌います!」
ムードのある曲で攻めてみる!?
以前、伯父さんが、中村雅俊の『ふれあい』を歌い、語っていたのを思い出した!
俺「シン伯父さんって、歌メチャクチャ上手いね!」
伯父さん「108、女を口説くには、曲選びは重要だぞ!」
俺「えっ!どんな歌がいいの?」
伯父さん「やっぱり、しっとりと聴かせる歌だな~!」
・・・
それを試してみよう!?
・・・
パチパチパチパチ♪
アオイ「108くん、聴かせるね~!」
おぉ、これは、高評価なのか!?
俺たちは、交互にカラオケを歌った~♪
そして、あっと言う間に1時間が経った。
・・・
俺「そろそろ、クリスマスケーキ食べちゃう!?」
アオイ「いいね!食べちゃおう!!でも、その前にお手洗いに行ってくるね~」
・・・
俺は、急いで『蒼いマグカップ』をテーブルに置いた!
思いを込めて手作りしたマグカップ。
アオイが喜んでくれたら、嬉しいな!
ドキドキしながら、俺はアオイを待つ。
・・・
あれ~なかなか戻って来ないな・・・
心配になった俺は、アオイを迎えに行く。
・・・
!?
フロントから、聞きなれた声が聴こえるぞ!?
俺は、フロントに向かう。
あぁ、やっぱり、ケンジ&タキタだ!
「おーい!おまえらもカラオケか!?」
ケンジ&タキタが振り返る。
!?
二人の後ろに女子が3人いるぞ!?
アオイとリンちゃん!!
もう一人は、知らない女子だ。
リンちゃん「やっぱり、108くんも来てたのね!?」
ケンジ「あれ!?もしかして、アオイちゃんと付き合ってるの?」
鋭い観察眼だな、ケンジは!?
俺は、アオイの顔を見る。
複雑な表情のアオイ。
ここは、ごまかさないと・・・
・・・
タキタ「実は、俺が二人も呼んだんだよ!ケンジに言ってなかったっけ?」
咄嗟にしては、ナイスフォーローだけど、ケンジは怪しんでる。
ケンジは、女子たちを見る。
女子たちの雰囲気も変な感じだ。
リン「アオイちゃんと108くんも一緒にカラオケしよーよ♪」
・・・
タキタ「すいません。6人ですが部屋は空いてますか?」
タキタは、俺にソフトウインクをする!?
・・・
定員「1時間待ちとなりますが、予約を入れますか?」
タキタ「それじゃ、お願いします!」
・・・
おい!タキタ!俺たちは、どーするんだよ!?
リン「108くん、紹介するね。彼女は『マドカちゃん』。引っ越して来たばかりで、私と同じバレー部なんだ!かわいいでしょ!?」
マドカ「はじめまして。マドカです!よろしくお願いいたします!!」
確かにかわいい!
俺「108です!よろしくね!」
・・・
そんなことより、この状況どうする!?
アオイ「ごめんなさい。わたし体調悪いから帰るね」
ざわざわ・・・
リン「アオイちゃん、大丈夫?ミスドで休む!?」
・・・
タキタ「あの?やっぱり、予約キャンセルでお願いします!」
アオイ「大丈夫。一人で帰れるから・・・」
・・・
アオイのコートは、ボックスに置いてある。
まだ、マグカップも渡してないし、どーしよ!?
・・・
タキタ「108、立ちションに付き合えよ!」
今は、それどころじゃないけど、俺はタキタとトイレに行く。
タキタ「わりーな!咄嗟に嘘ついちゃって。アオイちゃん大丈夫かな!?」
俺は、タキタに一部始終を話し始めた・・・
「ギー!?」
トイレのドアが開き、ケンジが入って来た!
おまえら、俺も連れションに誘えよ!寂しーだろ。
タキタ「今、それどころじゃないんだよ!」
・・・
ケンジ「108、隠し事は無しだぜ!」
もう、バレバレだよな。
俺は、ケンジにも現状を話した。
ケンジ「じゃあ、俺たちはマックかミスドで時間をつぶすから、その間にアオイちゃんと二人でカラオケすれば良いじゃん!あと30分だろ。俺たちのカラオケは1時間後だから、バッティングしないだろ!」
タキタ「リンとマドカちゃんには、俺から上手く言っとくよ!108は、とりあえず自分の部屋に戻って、リンちゃんを待ってろ!」
・・・
「ケンジ、タキタ、恩に着るぜ!!」
・・・
俺は、部屋に戻り、アオイを待つ。
それから、10分後「ガチャ!?」
ドアが開いた!
「ドキドキ」
そこにいたのは、アオイだった。
他には、誰もいない。
ミッション成功だ!!
・・・
To BE CONTINUED🔜