大阪男の10回の告白
【102話】
「108君、遅くなってごめんなさい。いろいろとあって前日になっちゃった」
「何があったの?」
「・・・明日って原宿で会える?」
「うん。行けるけど、大丈夫なの!?」
「大丈夫だよ。明日会ってから話すね」
俺は、アオイに会えることにホッとした。
「わかった。じゃあ、明日13時に改札出口で会おう」
・・・
ベースボールキャップのつばの位置が決まり、電車に乗り込む。
不安な気持ちとアオイに会える喜びが入り混じっている。
とても変な気持ちだ。
原宿駅に着き、改札を出るとアオイがいた。
「108君、久しぶりだね。あれ!?身長伸びた?」
「うん。180cmになったよ!アオイは?」
「私は、もう成長止まっちゃったよ~」
あれ!?いつものアオイっぽいぞ!
俺の不安は消え去り、楽しい気分になって来た。
・・・
「ところで、108君は、原宿に来たことはあるの?」
「はじめてだけど、アオイは?」
「私もはじめてなんだよね。ねぇ、どーする!?お腹空いた?」
「そうだね、取り敢えず、クレープでも食べようか!?」
「うん!そーしよー!」
アオイの笑顔をゲット!!
俺たちは、竹下通りを歩きながら、クレープ屋を探す。
思っていたより、混んでいて、クレープ屋も多いことに吃驚。
「私、108君とクレープの食べ歩きをしたかったんだよね!今日、夢が叶ったよ!」
やっぱり、アオイはかわいい!
・・・
こんだけ混んでるし、手を繋ぐのは自然だけど。
約4カ月ぶりなので、手を繋ぐのも躊躇する。
「108君、今日は、えーかっこだねー!キャップもナウいね!」
「アオイ、しゃべり方変わったよね!?」
「うん。もう4カ月だし、大阪に馴染めるように頑張って覚えてるの!」
「へ~、そうなんだ!大阪でも、友達はできたの?」
・・・
アオイの表情が曇り始めた。
「108くんに話したいことがあるって言ったよね。・・・」
「うん。でも、嫌な予感がするけど、当たってる!?」
・・・
アオイの表情を見れば、悪い話に間違いない。
「アオイ、喫茶店に入って話そうか!?」
俺たちは、喫茶店に入り、アイスコーヒーを頼んだ。
アオイは、とても話しにくそうだ。
・・・
「いいよ。ちゃんと話して!」
「うん。大阪の学校に通い始めて、2週間が経ったころ、同じクラスの男子に告白されたの。もちろん、108くんと付き合ってるし、ちゃんと断ったよ。でも、その男の子は、3回も私に告白してきて本当に困ってたの。・・・あまりにもしつこいので、私は108くんのことを話したけど、彼はそれでも私のことを諦めないって。・・・そして、10回目に告白された時に彼にキスされちゃったの。・・・」
覚悟は、してたけど、やっぱり男絡みか。
アオイは、一般的に見ても可愛いから、それは当たり前のことだと思う。
10回告白って、そいつマジだな!?
それでも、俺はアオイを信じていたし、信じたかった。
・・・
「それで、アオイとそいつは付き合ってるの?」
アオイは、顔を横に振る。
「違うの、付き合ってないけど、108君にも会えないし、最近、彼のことは気になり始めてるの。・・・」
これは、彼のことを好きだって認めたってことか!?
それとも、会いないことの寂しさから、近くの男になびきそうなのか!?
何れにしても、裏切られた感が強い。
・・・
でも、実際、俺も気になる人はいるし。
なんて言っていいか分からない。
このまま、別れた方がお互いにとって良いのか?
近所であれば、毎日でも会いに行ける。
そして、アオイの気持ちを振り向き返すことができる。
しかし、この距離は、頑張って一年に2回。
・・・
最近は、どこかで、俺たちは難しいなぁと思っていた。
やっぱり、距離には勝てない。
俺は、しばらく考えて、アオイに告げた。
「俺も気になる人ができたから、別れようか!?」
・・・
アオイは、ポロポロと泣き始めた。
俺も泣きたいが、男は人前では泣いちゃいけない。
・・・
「俺も頑張るから、アオイの大阪で頑張れよ!!」
「うん。108くんのことは、今でも好きだけど、会えないのはやっぱり辛いの。大阪案内できなくてゴメンね。・・・」
そして、俺たちは、喫茶店を出て本当に別れた。
人ごみの中、涙が止まらない。
キャップを深く被り、周りにバレないように歩く。
・・・
あっ!?そうだ、アオイにプレゼントを渡すの忘れてた。
まぁ、いいか、もう別れたのだから。
・・・
To BE CONTINUED🔜