決戦は日曜日
【81話】
それから、タキタは昼休みになると、リンちゃん情報をマメに伝えてくる様になった。
毎日、リンちゃん話を聞いてると、リンちゃんのことが気になり始めてきた。
授業中、リンちゃんが先生に指されるとチラ見してしまう。
これは、恋なのか?
それとも、洗脳的な勘違い?
・・・
それを確かめるには、アオイちゃんしかいない!
俺は、もともとアオイちゃんが気になっていた。
タキタの吹込みがなければ、アオイちゃんオンリーだ!
俺は、久しぶりにクワタに会いに行った。
・・・
昼休み、クワタの教室に行く。
「クワタ、久しぶり?」
クワタ「おう!久しぶり」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
・・・
俺は、アオイちゃんが気になるとクワタに伝えた。
「アオイちゃんって、彼氏はいるのかな?」
クワタ「わからないけど、いつも帰りが早いし、いないと思う。気になるんだったら、俺から聞いてみようか!?」
俺「大丈夫!俺が直接聞くから。少しだけ協力してくれないか?」
クワタは、快く協力してくれた。
・・・
ざっとした感じだが、作戦はこうだ!
日曜日、クワタが相談があると言い、アオイちゃんを誘い、ミスタードーナツに行く。
クワタ情報だと、アオイちゃんは、ミスドや甘い物が好き!
俺は少し遅れてミスドに入り、偶然を装う。
そして、3人で談笑する。
会話が盛り上がってきたら、クワタが予定があるから帰ると、その場を去り、俺とアオイちゃんが二人きりになる。
話の流れ次第だけど、彼氏がいるかどうかをそれとなく聞く。
聞けないにしても、俺の感情を確かめる。
まぁ、典型的な感じだけど、俺はアオイちゃんと話をしてみたい。
話して、俺の気持ちを確かめたい!!
・・・
そして、決戦の日曜日!
クワタとアオイちゃんは、11時にミスドに入った。
俺は、探偵のごとく電柱の陰から、ハンバーガーをかじりながら二人を見守る。
ミスドの店内は、ガラス張りなので外から見える。
クワタと座る位置は、あらかじめ決めていた。
俺の位置から、クワタの顔は見えるが、アオイちゃんは背を向けている。
アオイちゃんが振り向かない限り、俺のことはバレないと思う。
ドキドキしながら二人を見守る。
俺が突入するタイミングは、クワタが指示する。
クワタが頭を3回かいたら突入だ!
・・・
それにしても、クワタの相談とはなんだろう?
まぁ、嘘の相談だから、なんでも良いけど・・・
ちょっとだけ気になる。
・・・
クワタとアオイちゃんが席について15分。
話し始めは、笑顔だったクワタの顔が真剣な表情だ!?
そろそろかなと思うと、ドキドキが加速する!
このシチュエーションなのか、アオイちゃんだからなのが、人生最音の鼓動が脳内までに響く。
・・・
クワタが頭を3回ほどかいた。
そして、チラッとこちらを見る。
合図が出た!!
俺は、ミスドの店内に入り、ホットコーヒーとドーナツを一つ注文した。
ハンバーガーを食べたのと緊張で、大柄なのに小食モード。
すごい緊張状態で、階段を上がるとクワタと目が合う。
クワタ「108、こっちこっち!」
アオイちゃんも振り返る。
アオイちゃんと目が合ってしまった!?
緊張がバレないように冷静を装う俺。
「おう!クワタとアオイちゃん。ぐぅ、偶然だね!?」
アオイちゃんは、軽く会釈をする。
クワタ「108、ここべスポジだから座れよ!」
!?
クワタが席を立ち、俺は窓際の奥に座る。
クワタは、ニコニコしているが、アオイちゃんは複雑な表情だ。
何を話せば良いかわからない。
沈黙・・・
クワタ「俺、予定を思い出したので、先に帰るよ。あとは若い二人で楽しんでください!」
って、おい!
どのタイミングで去るんだよ。
話が違うじゃないか!?
・・・
クワタは、席を立ち『あばよ!』と一言いい残し、帰ってしまった。
おまえは、柳沢慎吾か!?
あばよ!って振られた時のセリフだよな。
・・・
そして、アオイちゃんと二人っきり。
しかも、その距離、約90cm。
ドキドキ音は、きっと、アオイちゃんに聞こえている。
俺は、気を落ち着かせるためにホットコーヒーを一口飲む。
アオイちゃんを見ると、アオイちゃんはうつ向いてる。
俺がクワタにお願いした、この企画。
なにか話さないと・・・
「アオイちゃん、ミスド好きなの?」
これが、いま精一杯のトーク。
アオイちゃんは、顔を上げてにっこりして頷く。
「うん。ミスドは好きだよ!」
おぉ、アオイちゃんの笑顔からの笑窪がとてもかわいい!
「108くんもミスド好きなの?」
・・・
俺は、ぶっちゃけ、甘い物は苦手だ。
断然、パンより白米派。
コーヒーもブラックコーヒーだ。
・・・
俺「ミスドも好きだけど、白米は、もっと好きだ!」
なんだか、愛の告白みたいになってしまった。
アオイ「そうなんだ。私も白米が好きだよ!」
あれ!?両想いなのか?
変な錯覚に陥った。
・・・
アオイちゃんの笑顔も見られたし、俺のドキドキも少しは治まっていた。
To BE CONTINUED🔜