死の淵を彷徨う7歳の誕生日❷
【第2話】
目覚めた僕を見たママと妹が泣き出した。
パパは悲しそうな顔で、僕に何かを語りかけている。
3人の顔を見た僕は、死の淵から生還したことに気づく。
ホッとした僕は、起き上がろうとするが、体が動かない。
パパ「起き上がっちゃダメだ!」
ママ「生きてて、良かったぁ。心配したんだよ、本当にぃ」
妹のミナツは泣きじゃくってる。
ミナツ「お兄ちゃん、大丈夫!?」
僕「たぶん、大丈夫。体が動かないけど」
何やら息苦しい。
僕は目線を上に向ける。
鼻から透明な管が外へと伸びている。
足やら腰からも管らしい物が出ている。
身体がとてもだるくて、頭がボォーとする。
救急車で運ばれてから、ずっと独りぼっちだった。
でも、今は目の前に家族がいる。
何だかとても安心する。
「あの、白い空間にいたお爺さんに少し似た安心感だ」
その後、先生と少しお話をした。
パパは、仕事に戻ると言って病室を出て行った。
ちょっと涙目だったような、、、
しばらくすると、管が刺さってる腰あたりが痛み始めてきた。
僕は痛さに耐えられなくなり、泣き始めた。
痛くて痛くて、涙が止まらない。
ママが何かボタンを押す。
そして、僕の手を握る。
ママ「今呼んだから、看護婦さんが来るまで我慢して!」
少しすると看護婦さんがやって来た。
『松田聖子!?』
看護婦さんは、僕の好きな松田聖子に似ている。
痛みが一瞬だけ無くなった気がした。
看護師さんが薬を渡してくれたが、僕は薬を飲むのがとても苦手だ。
7歳の僕、いや8歳になったばかりの僕には錠剤が大きすぎる。
飲もうとすると「げぼっ、げぼっ」と吐き出してしまう。
なかなか飲めずに四苦八苦してると。
看護師さんが錠剤は砕いてくれた。
そして、薬を飲み込むことが出来た。
「ありがとう!聖子ちゃん!」
看護師さんが、微笑みながら「どういたしまして。108君」
それが、僕の初恋だった。
どれだけ経ったか覚えてないが、体から管が全て抜かれた。
僕はとても嬉しかった!!
「これで、動けるぞ!」
とても、自由になった気がした。
リハビリは大変だったけど、頑張った。
僕の原動力は、聖子ちゃんだ!
聖子ちゃんは、ほぼ毎日、僕に会いに来てくれた。
そして、絵も描けるようになっていた。
ママ、パパ、ミナツ、僕。
そして、聖子ちゃんの似顔絵を描いた。
ある日、担任の福山先生!?がお見舞いに来てくれた。
そして、千羽鶴とクラスメイト!?からの手紙をもらった。
手紙を読みながら、自然と涙があふれてきた。
8歳の僕には、千羽鶴の意味はわからなかったけど。
味気ない病室が少し華やかになった気がした。
福山先生「友達も待ってるから、早く良くなって、また一緒に勉強や運動しようね!」
僕「はい!ありがとうございました」
福山先生は、すぐに帰ってしまった。
、、、、、、
あれ!?ママが『福山先生』って言ったいたけど。
先生の名前も顔もうろ覚えだった、、、
それからも、リハビリを一生懸命頑張った。
ずっーーと寝たきりだったので、リハビリはとっても楽しかった!
入院してから、歩けるようになるまでに2か月ほど経っていたと思う。
まだ、走ることはできないけど。
「歩けるし、もう家に帰りたい!!」とママに伝える。
ママ「検査結果が出たら家に帰れるよ」
僕「検査結果って何?」
、、、、、、
ママは少し寂しそうな顔で、僕を諭すのだった。
【それから数日後】
ママがベッド脇で、僕の手を握りながら、突然泣き始めた。
、、、、、、
ママ「108はもう、家には帰れないのよ」
僕「!?」
へと続く。