108 Blog

If you can dream it, you can do it.

死の淵を彷徨う7歳の誕生日❷

【第2話】

 

目覚めた僕を見たママと妹が泣き出した。

 

パパは悲しそうな顔で、僕に何かを語りかけている。

 

3人の顔を見た僕は、死の淵から生還したことに気づく。

 

ホッとした僕は、起き上がろうとするが、体が動かない。

 

パパ「起き上がっちゃダメだ!」

 

ママ「生きてて、良かったぁ。心配したんだよ、本当にぃ」

 

妹のミナツは泣きじゃくってる。

 

ミナツ「お兄ちゃん、大丈夫!?」

 

僕「たぶん、大丈夫。体が動かないけど」

 

何やら息苦しい。

 

僕は目線を上に向ける。

 

鼻から透明な管が外へと伸びている。

 

足やら腰からも管らしい物が出ている。

 

身体がとてもだるくて、頭がボォーとする。

 

救急車で運ばれてから、ずっと独りぼっちだった。

 

でも、今は目の前に家族がいる。

 

何だかとても安心する。

 

「あの、白い空間にいたお爺さんに少し似た安心感だ」

 

その後、先生と少しお話をした。

 

パパは、仕事に戻ると言って病室を出て行った。

 

ちょっと涙目だったような、、、

 

 

しばらくすると、管が刺さってる腰あたりが痛み始めてきた。

 

僕は痛さに耐えられなくなり、泣き始めた。

 

痛くて痛くて、涙が止まらない。

 

ママが何かボタンを押す。

 

そして、僕の手を握る。

 

ママ「今呼んだから、看護婦さんが来るまで我慢して!」

 

少しすると看護婦さんがやって来た。

 

松田聖子!?』

 

看護婦さんは、僕の好きな松田聖子に似ている。

 

痛みが一瞬だけ無くなった気がした。

 

看護師さんが薬を渡してくれたが、僕は薬を飲むのがとても苦手だ。

 

7歳の僕、いや8歳になったばかりの僕には錠剤が大きすぎる。

 

飲もうとすると「げぼっ、げぼっ」と吐き出してしまう。

 

なかなか飲めずに四苦八苦してると。

 

看護師さんが錠剤は砕いてくれた。

 

そして、薬を飲み込むことが出来た。

 

「ありがとう!聖子ちゃん!」

 

看護師さんが、微笑みながら「どういたしまして。108君」

 

それが、僕の初恋だった。

 

 

 

どれだけ経ったか覚えてないが、体から管が全て抜かれた。

 

僕はとても嬉しかった!!

 

「これで、動けるぞ!」

 

とても、自由になった気がした。

 

リハビリは大変だったけど、頑張った。

 

僕の原動力は、聖子ちゃんだ!

 

聖子ちゃんは、ほぼ毎日、僕に会いに来てくれた。

 

そして、絵も描けるようになっていた。

 

ママ、パパ、ミナツ、僕。

 

そして、聖子ちゃんの似顔絵を描いた。

 

 

ある日、担任の福山先生!?がお見舞いに来てくれた。

 

そして、千羽鶴とクラスメイト!?からの手紙をもらった。

 

手紙を読みながら、自然と涙があふれてきた。

 

8歳の僕には、千羽鶴の意味はわからなかったけど。

 

味気ない病室が少し華やかになった気がした。

 

福山先生「友達も待ってるから、早く良くなって、また一緒に勉強や運動しようね!」

 

僕「はい!ありがとうございました」

 

福山先生は、すぐに帰ってしまった。

 

、、、、、、

 

あれ!?ママが『福山先生』って言ったいたけど。

 

先生の名前も顔もうろ覚えだった、、、

 

 

 

それからも、リハビリを一生懸命頑張った。

 

ずっーーと寝たきりだったので、リハビリはとっても楽しかった!

 

 

入院してから、歩けるようになるまでに2か月ほど経っていたと思う。

 

まだ、走ることはできないけど。

 

「歩けるし、もう家に帰りたい!!」とママに伝える。

 

ママ「検査結果が出たら家に帰れるよ」

 

僕「検査結果って何?」

 

、、、、、、

 

ママは少し寂しそうな顔で、僕を諭すのだった。

 

 

 

【それから数日後】

 

ママがベッド脇で、僕の手を握りながら、突然泣き始めた。

 

、、、、、、

 

ママ「108はもう、家には帰れないのよ」

 

僕「!?」

 

 

 

108君は死ぬまで病院から出れない❶

へと続く。

 

 

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