108 Blog

If you can dream it, you can do it.

全力で逃げたらパパにバレた

【第7話】

 

2個上の先輩のイイダ君は、お金持ちだ。

 

イイダ君には、4個下の弟がいる。

 

イイダ君のお父さんは、ペンキ屋を経営している。

 

町役場に隣接した3階建ての豪邸。

 

裏庭には、オモチャが沢山捨てられている。

 

箱に入れられたまま捨ててあることもある。

 

僕が欲しいオモチャが山積みだ。

 

 

【ある日の放課後】

 

同級生のマサオ君とヒデキ君に呼び止められる。

 

嫌だなと思ったけど、無視することはできない。

 

ヒデキ「お前、イイダ君の家のオモチャを盗んで来いよ!」

 

僕の家は貧乏で、オモチャは買ってもらえないけど。

 

人の物を盗んだことはない。

 

僕もオモチャは欲しいけど、人の物を盗むことしたくない。

 

僕「盗むのは嫌だ!欲しければ、自分で盗めばいいだろ!」

 

僕は勇気を振り絞ってヒデキ君に言った。

 

ヒデキ君とマサオ君は、顔を見合わせキョトンとする。

 

そして、一瞬間が空き。

 

ヒデキ「生意気なんだよお前!」と言われみぞおち辺りを殴られた。

 

一瞬だけ息が止まったけど、そこまで痛くない。

 

普段からパパに叩かれていたので、それと比べたら大したことがない。

 

マサオは、何もしてこない。

 

マサオママと僕のママは、たぶん仲が良い。

 

マサオ君の妹は、僕の妹のミナツと同級生。

 

マサオママとは、よく井戸端会議をしているからだ。

 

その距離感が暴力まで振るわない理由だろう。

 

マサオ君は、ヒデキ君と一緒にいる時だけ、ちょっかいを出してくる。

 

僕と2人で下校する時は、たわいもない話で盛り上がることもあるくらいだ。

 

マサオ君は、二重人格なの!?

 

それとも、ヒデキ君が怖くて仕方なく僕を虐めるの?

 

僕は、マサオ君のことが判らなくなっていた。

 

 

ヒデキ「108、もう一発殴るぞ!」

 

マサオ「、、、、、、」

 

怖くなった僕は、その場から逃げた。

 

ヒデキとマサオが僕を追っかけてくる。

 

イイダ君の家から僕の家までは、約400m。

 

逃げなれてることもあり、僕は足が速い。

 

「はぁはぁ、はぁはぁ」

 

苦しくて息が続かない。

 

ようやくボロアパートが見えてきた。

 

後ろを振り返ると、ヒデキとの距離感は約20m。

 

マサオの姿は、かなり後方だ。

 

あの角を曲がれば、僕の家だ!

 

玄関まで、あと10m。

 

その時、足が滑って転倒しそうになる。

 

家の庭は、砂利だった。

 

体勢を整えようとしたが、砂利に足を取られコケてしまった。

 

玄関に目をやるとパパと目が合った。

 

パパは横になりテレビを見ているみたいだ。

 

暑かったのか、玄関はオープン。

 

しかも、裸だ笑

 

後ろを振り返った瞬間。

 

「ズズズズズ」ヒデキもコケた。

 

僕もヒデキも手足が擦り剝け、血がにじんでいる。

 

パパは、パンイチで庭に出てきた。

 

「108、大丈夫か!?」

 

「うん。大丈夫」

 

後ろを振り返ると、足を引きずりながら逃げるヒデキの後ろ姿。

 

マサオ君の姿は、そこになかった。

 

 

パパ「どうした?そんなに息を切らせて」

 

心配かけたくないし、怒られたくない。

 

僕「追いかけっこしてただけだよ」

 

涙目の僕は答えた。

 

パパ「お前、もしかして虐められてるのか?」

 

僕「違うよ、、、本当に追いかけっこして遊んでいただけ」

 

パパ「喧嘩だった絶対に負けるな!」

 

僕「違うから、本当に」

 

パパにバレてると思ったが嘘をつい通した。

 

 

 

 初めての友達が出来る!? 

へと続く。

 

 

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